B4_射撃特性ディープ編

 ここでは当初の目的の一つであった武器補正と予測精度の実際について解説し、射撃システムと機体運動の処理上の原理から導き出される実践的な武器の命中率や有効な回避運動に関わる要素や仕様に焦点をあてて解説したい。ハナシは処理上の概念にまで及んでしまうのでかなり細かい例をあげながらの解説になってしまうことと、筆者がこういうのもナンですがかなり冗長な文章が長々と連なるワリに情報量はたいしたこと無いので興味のあるところだけつまんで読むことをオススメします。また解説がどうしても実践的な状況を例にしたものになってしまいがちだが、それらは戦術論やアセン論ではなくあくまで機体操作や命中率と回避率の関係あるいは各武器の戦術的な相性に仕様が与える影響についての理解を深めるための解説として捉えていただきたい。

−−−目次−−−

予測射撃武器の命中精度
  射撃システムの構造
  単一運動への命中精度
  弾速と戦術距離
  弾速の分配誤差と精度変動

サイトギャップ
  基本的なサイトギャップの性質
  視点カメラの遅延によるサイトギャップの増大
  サイトギャップの影響

射撃と回避に関わる要素
  軸と狭角・広角化
  狭角化と広角化の原則
  射撃システムと武器種の相性
  広角回避に関わる要素
  狭角射撃に関わる要素
  手動補正射撃に関わる要素
  着地硬直に関わる要素
  連携戦術に関わる要素

連射衝撃による固めと固め抜け
  最短脱出時間と固め抜け境界
  発射間隔と着弾間隔
  地上被弾硬直と不確定要素
  アセンと操作方向よる予備動作
  水平射撃と跳ね上げ再着地
  二脚系の固め抜け
  四脚の固め抜け


<<予測射撃武器の命中精度>>

 ACの射撃武器には武器個別の「予測精度」あるいは「命中精度」に関わる隠しパラメータがある、と考えていたのだが解析・検証調査の結果として直接関係するパラメータは存在しないという結論に至った(プログラムした本人ではないので断言はできませんが)。つまり射撃システムの違いを除いて武器個別の予測精度に差はないことになる。そして射撃システムは大別して精密予測射撃と通常予測射撃と予測角度射撃の3種に分類され、この分類に起因する精度の違いが発生する。そしてそれぞれの射撃システム内では主に集弾性と弾速と戦術距離との相互関係が命中効率に影響し、そこに弾速に起因する変動要素が若干作用するという構造が各パーツの命中率に関わる主な要素と推定される。

○射撃システムの構造

 射撃武器の予測精度差の最も大きな原因は射撃システムによって予測と射撃及び弾の移動開始のタイミングが異ることによる。

 精密予測射撃武器は座標を基準とした射撃で予測と射撃に1f分のギャップがある(以降は予測ギャップと表現)、つまり1f分過去の予測にしたがって射撃され、その結果として射撃後に目標が単一運動を維持している場合には1f分の移動距離だけ後方へ逸れる。具体的な処理課程までは解析していないが予測追跡に常に1f分の後方修正がされており、発射された弾はその瞬間から弾速にしたがって移動し、射撃武器は1f間に移動した点と点を結ぶ直線が当り判定となるため射撃fに射撃点から弾速距離まで判定が発生する。

 通常予測射撃武器は精密系と同様に1f分の予測ギャップをもち座標を基準として射撃するが、加えてこのタイプは射撃fに弾が移動距離をもたない。つまり射撃fには射撃点に弾が発生し、次fに射撃点から目標に向けて弾速分の距離を移動するので、実質的に弾が射撃点で1f待機する。このため射撃fには判定が発生せずに次fに判定が発生することになり、結果として射撃後に目標が単一運動を維持している場合には2f分の移動距離だけ後方へ逸れる。余談だが射撃点を1f前に残してくるような条件になるため、高速平行移動しながら射撃すると弾が取り残されるように見える。

 そして各武器の予測精度という仕様はなく、仮に各武器を全て同じ弾速(と集弾性を0)にした状態で双方の位置関係と運動ベクトルなどを同条件にすると全ての精密・通常予測武器が同じ座標にむけて射撃し、通常系の弾の移動遅延により1f分の差が生じる仕様になっている。そして各武器とも一部の例外を除いて判定サイズパラメータを持たない。つまり命中率の主な違いは精密系と通常系の僅か1f分の弾の移動差によって発生している。したがって座標を基準とした射撃の予測精度にはこの精密予測と通常予測の2種類しか存在しないと結論できる。またCPU側の射撃は上記の精密・通常予測射撃システムともに予測ギャップ(1f分)が発生しないのでそれを含めると4種類になる。
 余談だが予測ギャップと弾の移動遅延は原理的に別物なので中距離以上の単一運動など単純化できる条件では同等に扱えるが至近距離や複雑な運動条件などでは同列に扱えない。例えば精密系は射撃fに判定を持つので精度とは別に近距離ほど有効性が高まる性質があり、弾の移動遅延によるメリット・デメリットに有効距離は直接関係しない。予測ギャップは1f分ずれる点で移動遅延に似るが、予測座標に影響しない移動遅延に対して予測座標が変わるので有効距離の影響があり、予測ギャップの有無には判定発生の違いや射撃点の位置(1f前に置いてくる)などの相違もないため予測ギャップ有の精密系=予測ギャップ無の通常系のような単純な構図にはならない。

 予測角度射撃武器(主に肩キャノン)は、常駐する予測処理の目標座標に最も近い方向(内部角度)に砲身を向けるギミックに従い、その砲身方向に射撃する。そして肩キャノンにも弾の移動遅延(CN35を除く)があり、加えて射撃が砲身旋回の制約と内部角度の死角により移動目標の後方へずれて射撃されることが多くなる(死角により前方へずれることもある)。一方でこの砲身追跡運動に機体運動や旋回で補正がかけられるため若干ながら手動操作による自由度が残されており、この射撃システムの性質は座標基準のものとは大きく異る。

○単一運動への命中精度

 座標基準の射撃システムを持つ予測射撃武器の「予測精度」は基本的には2段階しか存在せず、射撃の瞬間に弾道や着弾点の調整はできない。したがって座標基準の予測射撃では射撃から着弾までの間いかに目標の運動を制約できるか、あるいは制約できる条件で射撃するかが命中率を左右する。そして予測射撃が射撃時の目標運動に対して1〜2f分後方へそれる特性があるため、逆に回避側としては射線(射撃の延長線)に対して直角に機体被弾半径以上の距離を1〜2fで移動する速度で運動し続ければ切り返すことなくその被弾範囲から脱出することができる。

 たとえば機体被弾半径は全機体で“75”なので、単一運動に対して予測ギャップと移動遅延を合わせて2f分後退する予測射撃武器では、射線に対して直角に“38”以上の実速度で水平移動し続ければ、自機の移動ベクトルと弾道の交点の後退する距離が機体被弾半径よりも大きくなり命中しなくなる。これを運動性能(速度値の単位)に換算すると“2432”以上の速度で射線に直角に移動している目標に命中させることはできないことになる。ただし厳密に直角に運動するのはなかなか難しく、下記に説明する誤差や変動要素もあるので実際に有効な速度は距離や弾速等で多少前後する。一方で単一運動に対して予測ギャップもしくは移動遅延のどちらか1f分後退する予測射撃武器では、射線に対して直角に機体被弾半径“75”以上の実速度で水平移動し続ける目標には命中できなくなり、これを速度値に換算すると“4800”で二脚系の限界速度に相当する。ただし限界速度は絶対軸依存なので移動方向によっては速度4800以上で移動することが可能で、後述する広角回避に示した方法でも回避することができる。そして予測ギャップも移動遅延のいずれもない予測射撃武器は後退する性質が無いため単一運動による回避はできない。

 またこれらの例はあくまで集弾性を0(拡散しない)と仮定し単一運動をしつづける条件に限定したもので、実践的には「命中精度」と「命中率」はまったく別物なので誤解なきよう。例えば切り返し運動で回避する場合は予測ギャップや移動遅延で後退する距離を余分に移動しなくてはならない性質があり、回避に時間的余裕のある条件や射撃タイミングが予想できる条件などでは予測射撃が正確なほど回避しやすくなり、逆に切り返しタイミングを予想できる条件やそれを引き出せる条件では後退する武器の方が命中させやすくなる。なお各武器個別の命中率に差があると感じられるが実際には予測精度に差がないので、その原因は弾速や有効距離に起因する操作や戦術上の要素によるものが大きいと思われるが、戦術次第では以下に示す弾速に起因するいくつかの要素が命中を左右する場合がある。

○弾速と戦術距離

 まず座標基準の射撃システムについて、予測処理は戦闘中に常駐されており射撃時に射撃点と予測座標を結ぶベクトルのx・y・z軸の成分比にしたがって弾速を比例分配すると推定される処理を行っており、予測座標は弾速を基準として着弾までに要する時間と目標がその間に移動する距離から割りだされると推定される。つまり座標を基準とした射撃だが厳密には射撃座標と目標座標を結ぶ直線として処理されるのではなく、座標を目標とするベクトル成分比を各座標軸方向の速度に分配して射撃する構造になっている。この処理により後述する分配誤差による若干の死角(着弾できない位置)はあるものの、それは機体被弾サイズにくらべて十分に小さく、かつ距離による死角の増減は周期的で角度射撃のように遠ざかるほど拡大しつづけるような欠点はない。つまり距離が離れるに従って精度が低下する現象はほぼ発生しない。このため弾速は着弾までの時間的余裕の大きさという意味合いが強い。

 そして予測座標が何f後の目標位置になるかを弾速が決定し、着弾までの時間が長いほど予測座標が移動目標前方の遠い位置(遠未来)に、着弾までの時間が短いほど近い位置(近未来)になる。つまり弾速が速いほど距離が近いほど予測座標と現在座標の差が小さくなり、弾速が遅いほど距離が遠いほど大きくなる。この性質は目標が単一運動をしている場合には影響しないが、目標が加減速を伴う場合にはその加減速に対して予測座標が変化する大きさに影響する。したがって弾速が遅いほど距離が遠いほど予測座標の変化が大きくなり散りやすくなる。また被弾側の機体は点ではなく大きさがあり、加減速による予測の変化の大きさが機体被弾サイズよりも小さい範囲では命中率にあまり影響しないが、予測の変化量が被弾サイズよりも大きくなる条件では急激に命中が難しくなる。したがって武器の戦術有効距離は弾速と敵機体の運動性能に依存し、その有効距離を超えると命中率が低下する。このため一般的には弾速が遅いほど敵機体が高機動なほど有効距離が短くなるが、集弾性や平行射撃あるいは判定サイズなどの武器特性次第でも前後する。また回避側の観点では特定の加減速を伴う特殊挙動による回避運動の有効距離も弾速によって変化する。
 そしてこれに予測・移動ギャップを含めて扱う必要があり、例えば単一運動の場合それに起因する弾道の後退の大きさは相対距離に関わらず目標運動速度に比例するため、後退が機体被弾半径を超えるベクトル速度で移動している目標には距離に関わらず命中できない性質がある。また戦術的には目標運動を見掛け上抑制して戦術有効距離を広げることも必要になるため狭角射撃や連携戦術が重要になり結果として弾速の比重が大きくなる。

 一方角度基準の射撃は射撃点を基準とした内部角度(銃口追跡ギミックの追跡角度)ベクトルの成分比にしたがって弾速を分配する。最小でも内部角度単位でしか射撃できず、銃口追跡の旋回単位は機体旋回よりも若干粗い(機体は一周4096だが銃口旋回は数分の1程度)ため死角が発生しやすく、必然的に距離が離れるほど死角になる範囲が増大し続ける性質がある。そして弾速が高いほど予測の変化量が小さくなる点は座標基準タイプと同様だが、角度射撃では現在位置と予測位置の差が座標間の距離差ではなく射撃点から見た角度差にあたるため、弾速が速いほど距離が遠いほどその角度差が小さくなり、弾速が遅いほど距離が近いほど角度差が大きくなる(距離による影響が座標タイプと逆になる)。対して角度射撃の手動補正は弾速や距離に関わらずその瞬間の旋回速度や運動速度に対して定量的に進角する性質があるため、現在位置と予測位置の角度差が小さくなるほど手動補正による角度分が相対的に大きくなる。つまり弾速が速いほど距離が遠いほど手動補正が強く効く。そして手動補正は強すぎても弱すぎても命中できなくなるので特に弾速と機体の運動性能、そして弾道や着弾範囲あるいは予測ギャップや弾の移動遅延などの武器特性の兼ね合いが戦術有効距離に与える影響が大きい。

 このように弾速は回避運動の余裕などとともに、武器の有効距離・戦術に与える影響は大きい。

 余談だが弾速はx・y・z軸を相互に3次元分配するため距離範囲の概念が球状になり、似たようなものに1次ロック中に表示される距離は銃口から目標機体表面(機体中心までの距離から機体半径を除いた値)のx・y・z軸座標の差分(ついでに大雑把)なため距離範囲の概念が球形領域になる。これらは円柱領域になる通常の距離概念や機体運動処理あるいは最大ロック距離などと扱いが異なるため、例えばロック距離ギリギリで高度差があると稀に弾がとどかなくなる組み合わせがあったりする。また高度差が大きくなると射撃精度が落ちる(大雑把になる?)ような現象が見られるがこのあたりに原因があるかもしれない。
 もう一つ余談だが射撃した弾の処理には各軸に分配された速度と武器射程距離を超えられる最小の寿命が設定され、毎fその軸速度で移動した分の直線が当たり判定になり寿命が尽きると消滅もしくは自爆する。このため弾の攻撃判定の限界は厳密には武器射程距離ではなくそれを超える弾速の最小倍数まで維持される。例えば弾速“2700”で射程距離が“22000”の場合には寿命“9”になり“24300”まで攻撃判定を維持する(ロック可能なのは22000)。またグレネードキャノンの爆破距離は現在位置の相対距離を基準にそれを超える最も近い寿命で設定されるので、爆破可能なのはGN230は“600”おき、IR24は“800”おきの間隔になり、例えばIR24で射撃点から目標(機体中心)までの距離が“799”の場合は“800”で爆破され、“801”の場合は“1600”で爆破される。ただしミサイルの場合には各弾頭ごとに寿命パラメータがあるため射程距離と最大飛距離に相互関係は無い。

○弾速の分配誤差と精度変動

 他に弾速が武器の命中精度に若干ながら影響を与える可能性のある要素がある。

 まず弾速分配誤差について、射撃座標に対する予測座標の位置関係が例えばそれぞれx軸方向に距離500、y軸方向に距離100、z軸方向に距離200の場合、射撃した弾の弾速を5:1:2になるようにベクトル成分として分配するが、処理上は小数点以下の数値を切り捨てるため必ずしも正確な分配にならない場合がありこれが分配誤差となり、必然的に分母となる分配元の弾速が小さいほど切り捨て分の誤差の影響が大きくなる。そしてこの誤差は双方の位置関係によって発生する方向が変わる、つまり移動する予測目標の前方側へずれるか後方側へずれるかは条件によって異る。
 しかし射撃システムによって移動後方にそれる距離が被弾判定に対して非常に微妙な位置関係になる場合が多いため、この僅かな分配誤差が命中率に影響を及ぼす場合がある。例えば弾速600のベクトルy軸成分が1の誤差を発生するだけでも距離3000で水平方向へ距離“5”ずれることになる。距離や位置が変わると予測座標を修正するので周期的に増減し角度射撃のような誤差の増大にはならないが無視できるほど小さいとも言いきれない。そして弾速の速い武器よりも分配誤差の影響が強い弾速の遅い武器の方が命中しやすい状況が条件次第では発生しうる。

 弾速による精度の周期変動について、弾速は1f値という最小処理単位であり予測は弾速に依存するfごとの段階的なもので弾の判定も現f座標と前f座標を結ぶ直線内になる、つまり弾速が小さいほどこの直線が短く予測周期が細かくなる。そして実際におよそ弾速距離単位で周期的に予測(射撃)精度の極大点と極小点が発生する現象が観測される。ただし精度極大点とは予測点に近い位置に着弾するのでより正確に後退するという意味になり、その極大点を境に目標運動の未来側か過去側へ精度が悪化する。そしてこの現象により弾速が小さい武器ほど精度変動の周期が頻繁に起こるため戦術有効距離の範囲内でもより変動しやすい。詳しく解析できなかったが参考までに、おそらく目標機体が予定時間後に達する予測座標自体は正確に算出されるはずなので、この現象は予測点への弾速分配処理上の射撃精度に相当するものだと思われる(予測座標への相対距離が弾速の倍数に近いほど誤差が小さい?)。またこの影響は結局弾速分配の際に誤差として反映されるため精度極大点では分配誤差が小さく精度極小点で大きくなるとおぼしき現象になるが、若干前後に振幅する程度でさほど大きな変化ではない。前述の分配誤差と切り分けるのが難しいがコントロールできる物ではないので分けて考える必要はない。

 これらの影響について例えば対面して平行移動をする四脚の巡航速度を変えながら各武器の命中境界速度を検証するとそれぞれの武器で若干の違いがあり、そしてその差が距離によって逆転する現象がみられる(余談だが対面して平行移動する機体間の予測射撃は移動に対して直角にはなりえないので、厳密に直角に移動している場合の命中境界速度とは異なる)。理屈上では通常予測系は“2432”以上、精密予測系は“4800”以上の速度で切り返さずに命中圏から離脱できると解説したが、実際にはこの弾速分配誤差による影響との兼ね合いで命中できる速度値には前後に平均200程度、大きいと900程度の差が発生する場合がある(ただし水平運動に限定した場合の実測統計値)。距離に換算して最大でも“15”程度のずれになるが、例えば被弾半径が75、最高性能の加速度896を移動距離に換算すると14/f、精密系と通常系の命中境界の差が38/f程度などを考えると無視できるほど小さいわけでもない。このため射撃が命中境界に近い状態では前方側へ弾道がずれると命中しやすくなるなど、条件次第では命中できないハズのものが命中する場合がある。もちろん命中できるハズのものが命中できない場合もあるので単純なメリットではなく、実際の影響は特定(非ランダム)の変化をする小さい集弾性のようなものになる。なお空間処理が正確な三次元処理ではないためか垂直角度が深くなると誤差が大きくなりやすいようで水平に近い条件に比べ若干射撃が粗くなる。いずれにしても集弾性パラメータをもつ武器に比べると弾道がブレる幅は小さく特に気にする必要はないが、回避行動が命中境界に近くなるような条件では散発的な命中に影響することもあるのでそういった観点も含めて弾速の遅い武器を選択肢にしてみるのも面白いかもしれない。


<<サイトギャップ>>

※レポート改訂前は「サイトラグ」と表現していましたが「ラグ」が一般的に通信処理の遅延を意味しているらしいので「サイトギャップ」に改めました。

○基本的なサイトギャップの性質

 ロック範囲は機体中心を基準とした視点正面(コクピットビューに相当)から上下左右への角度範囲で設定されている。これに対しモニタ表示の起点となる視点カメラは機体の後方斜め上の位置を基準にしているため、実際のロック範囲と表示されるロックサイトには位置的なギャップが発生し、正確な位置には表示しえない。例えば停止している時の正面のロックサイトは実際よりもやや上にずれた位置に表示されており、ロック範囲の起点位置とカメラ位置が遠くなるほどこのギャップが大きくなる。カメラの基準位置は機体被弾全高に依存するのでアセンによって決定され、上下旋回や地形接触などによるカメラと機体中心の距離の変化やその角度によっても変化する。またこの性質のため目標が接近するほど相対的にこのギャップが大きくなる。
 この影響でモニタ上では目標をロックサイト内に捉えていてもエイミングやロックができない場合がある。以降この実際のロック範囲と表示されるロックサイトのずれをまとめて「サイトギャップ」と表現する。なおコクピットビューではこの現象は発生しない。

 イメージとしては、例えばまず懐中電灯と硝子玉を一個づつ用意しその懐中電灯で正面を照らした状態で光のあたる空間領域がロック範囲に相当し、奥の壁への照射範囲(壁に光があたって明るくなっている部分)がモニタに表示されるロックサイトに相当する。光のあたる空間領域は電球を視点中心とした角度範囲になるが、その後方上側からのぞき込む視点がモニタ表示になる。そして硝子玉を壁と懐中電灯の間で動かした場合、電球視点からは硝子玉が光のあたる空間領域にあるかぎり必ず壁への照射範囲に含まれるが、後方からのぞき込む視点からは硝子玉に光があたっていても壁への照射範囲内に硝子玉が見えるとは限らず、接近するほど硝子玉と照射範囲が上下へずれる。このように光があたる空間領域(ロック範囲)よりも壁に照射される光の範囲(モニタ表示のロックサイト)の方が上へずれて見えてしまい、視点(カメラ)が電球(ロック範囲の起点)から遠ざかるほど視覚とのずれ(サイトギャップ)が大きくなり、硝子玉(敵機)が懐中電灯(自機)に接近すればするほど視覚とのずれ(サイトギャップ)が大きくなる。

○視点カメラの遅延によるサイトギャップの増大

 視点カメラの追随運動は機体運動に対して若干遅れる性質があり、機体の移動速度や旋回速度が高いほど機体とカメラが離れるため、結果的にサイトギャップは機体速度に比例するように大きくなる。例えば横方向への移動時は移動の逆方向へ、旋回時は旋回している方向にそれぞれサイトがずれて表示され、かつその速度が大きいほどそのずれが大きくなる。

 イメージとしては、さきほどの例で懐中電灯を移動させると視点が少し遅れてついていく状態になる。例えば右方向へ少し懐中電灯をずらして壁と電球のちょうど真ん中に硝子玉を置くと、視点からは硝子玉の位置が壁への照射範囲よりも若干右に寄って見える。つまり移動逆側へロックサイトがずれて描画される。旋回では懐中電灯だけをそのまま左右に旋回させたような視点になり、同じように硝子玉が光のあたる中心にあっても壁への照射範囲が硝子玉の位置よりも旋回方向にずれる。つまり旋回側へロックサイトがずれて描画される。そしてそれぞれ懐中電灯と視点が離れるほどこのずれが大きくなるので、それぞれの速度が大きいほどサイトギャップが大きくなり、双方が同じ方向へ作用する場合は増幅し、逆向きに作用する場合は打ち消し合う。

○サイトギャップの影響

 サイトギャップは運動性能や運動状態あるいは双方の位置関係などによってロックサイトとロック範囲との視覚的なズレを引き起こすので、有視界射撃が基本になる武器種や戦術では馴れが必要になり、特にサイトギャップが大きくなる接近戦と空間戦への影響が強い。サイトがずれる原理を把握して操作に馴れることである程度軽減できるが、始めのうちはサイト内に目標を捉えているはずなのになぜ1次ロックすらしないのか疑問に思うことがあるかもしれない。

 まず基本的には接近するほどサイトギャップが大きくなり、離れるほど小さくなる。これに加えてロック範囲がロック起点を頂点とする四角錐状の空間領域なので接近するほど頂点に近づいて断面積が狭くなり、かつロック目標は敵被弾サイズの中心つまり点なので機体の一部を捉えてもロックできず接近すればするほど相対的に視覚と一致しにくくなる。さらにサイトギャップは機体運動速度に比例して増大するため運動性能が高い機体ほど影響を受けやすく、水平運動と旋回運動が相互に影響するため戦術的な影響が大きい。例えばサテライト運動のように平行移動と旋回が逆向きになると同じ方向へ作用してサイトギャップが増大し、切り返し運動などでは必然的に機体運動よりもカメラ運動の方が大きくなるため、特に空中戦では機体制御がままならないと上下左右に不安定に増大しすぎてロックどころか視界の確保も難しくなり、特に空中で下を向いたまま高速で後退すると機体がカメラを追い越して視点そのものが逆転することもある。このためロック範囲が小さいと視覚的なロックサイトとまったく一致しなくなることもあり、またモニタ上のサイト中心が機体正面にならないため攻撃や回避運動などの目安としても使いにくい。逆に平行移動と旋回が同じ方向になると減少し、引き・追いなど旋回と横移動が小さくなる条件では安定しやすい(が場合によって自機が視界を遮って前が見えない)。
 このためサイティングが苦手な場合にはまず機体挙動や高度制御などを安定させる練習を優先するとよく、また接近戦や空間戦の方が感覚的な負担が大きくなるので戦術やアセンのアプローチを変えてみるのもいい。そしてサイトギャップはほぼ常に運動状態や位置関係にしたがって定量的に発生するので、必然的にサイトサイズが小さいほどサイティングに感覚的な対応力を要求されるのでその使い勝手は単純な範囲の差以上の違いがある。

 余談だがこのカメラワークにより実際の機体挙動や速度を感覚的につかみにくい面もあり、一方でAC挙動の軽快感を演出している側面もあるようだ。機体中心を軸に後方を旋回しながら追いかけるカメラは必然的に機体挙動よりも大きな速度と加減速を伴い、さらにカメラが遅延する仕様がそれに拍車をかける(ゴムでつないで上下左右にふりまわしているようなもの)。このため限界速度などでほとんど同じ速度域にあっても旋回性能や加速度の増加にしたがって機体が軽快に感じられるなど感覚的に実速度をつかみにくい。たとえばブレホで限界速度に達していれば運動性能による水平方向への追跡速度に差はほとんど無い(四脚は別)が、上昇性能と旋回性能の増大(4倍で効く)に伴ってカメラが上下左右に飛躍的に大きく振り回されるため感覚的に速度が大きく感じられる。そして四脚は空中などでも切り返しが若干鈍く感じるが実際に鈍いのではなく、四脚・タンクは二脚系よりも視点が機体に接近しておりカメラワークが若干小さくなることで結果として重く感じる原因の一つになっていると思われる。例えばコクピットビューにすると動作がかなり重く感じられる。分割対戦で二脚に比べて四脚・タンクがかなり大きく見えるがこれもカメラ位置を原因とするものだ。このあたりは初代がミッション遂行型として開発されたという影響があるだろうか。


<<射撃と回避に関わる要素>>

 機体の挙動処理と射撃システムの特性をふまえて効果的な射撃技術と回避技術について考察してみたい。またACにはそれぞれの武器で特徴的な性質を持つものが多いためその特徴を理解するための予備的な知識として合せて紹介する。ここでは弾道の通る直線を「射線」、目標機体の移動ベクトルを延長した直線を「移動軸」と表現する。具体例はあくまで「射撃」と「回避」の効果的な方法で戦術論ではないのであしからず。

○軸と狭角・広角化

 まずPSACでは掲示板等で散見される軸という概念が一般化しているため誤解を招かないようにここで軽く説明しておきたい(詳しく知りたい場合は裏話編で)。この文章を作成した時点において軸という概念にはさまざまな説があり、かなり広義な意味をもつ名称として用いられているようなので、ここでは機体移動軸と射線の交差角度を狭めるあるいは広げるという限定的な条件として便宜的に「狭角化」や「広角化」と表現する。また目標側の運動に対する後退が大きい通常予測武器は一般に軸武器、後退が小さい精密予測武器は一般に軸無視武器と呼ばれるものにおおまかに対応する。

 そして通常・精密系の座標基準の射撃システムでは弾が機体挙動や慣性の影響を受けない点、2次ロックさえしていれば射撃方向が砲身の向きやロックサイトの位置等に影響を受けない点、弾は判定サイズを持たない点、そして射撃システムにより0〜2f分移動目標の後方へ着弾する点などを把握した上で効率のいいあるいはその性質を利用できる射撃方法を模索する必要がある。つまり座標基準系の射撃では弾道を操作できないので射撃の瞬間の機体の向きや機体挙動、ロックサイトと目標の位置関係などは一切留意する必要はなく、命中率の向上を狙った射撃技術はその瞬間の「目標側の運動状態」に依存する。したがって目標の運動をいかに制限できる状態で射撃できるかという点が重要で、目標が現在の運動状態では被弾半径から離脱できない状態や角度あるいは距離からの射撃を狙うことがカギになる。

 一方で、肩キャノンやロケットあるいは特定条件を満たした腕武装の手動補正射撃など角度基準系の射撃と機体慣性の影響を受けるミサイルはその弾道や軌道を機体操作によってコントロールできるため座標基準系の射撃とは切り分けて扱う必要がある。つまりPSACには軸という単一の概念だけでは説明しきれない全く異なる特性をもつ複数の予測射撃システムが実装されておりその射撃システムを選択的に使い分けて戦術的な駆け引きも展開できる。

○狭角化と広角化の原則

まず射撃と回避の最も基本的な要素として、
 狭角とは、射線と移動軸の角度を狭める
 広角とは、射線と移動軸の角度を広げる
ことを原則に、主に前者が射撃側の、後者が回避側の要素としてそれぞれの効率に影響する。

 移動目標を攻撃する場合、発射から着弾までの間にその目標が予測された着弾範囲から脱出すると命中させることはできない。したがってその間に目標機体が着弾範囲からできるだけ脱出できないような条件で射撃する方法が有効で、その一つとして射撃に対する目標の角速度(自機の周りを旋回する速度、モニタ上を移動する速度)を小さくなるようにポジショニングして射撃する方法がある。ここではこのように自機の射線と相手の移動軸との角度を狭めることを「狭角化」、意図的に狭角状態を狙うか狭角化する方向へ加速や旋回運動をして射撃する方法を「狭角射撃」と表現する。また戦略や戦術によって相手の運動を阻害ないし誘導することで目標の角速度を狭めて射撃する方法も広義に狭角射撃に含み、射撃システムや武器種によってそれぞれ効果的な狭角条件が異なる。

 回避側の視点では相手の射線と自分の移動軸との角度ができるだけ大きくなるように回避運動をすることで相手の射線に対する角速度を増し、自機を被弾範囲から離脱させる時間を早めることで回避運動の効率を高めることができる。そして広角回避は単純に射線に対し広角運動を行うだけではなく、各武器の射撃特性や追跡兵器に対してそれぞれ適した広角化による回避運動を行う必要がある。このように射線と移動軸を「広角化」することが回避の基本動作となり、ここではこの原則にそった回避運動を「広角回避」と表現する。

 以下に命中率や回避率に関わるかなり細かい要素あるいはごく短時間の操作について解説するが、それらは仕様上の理論的なもので実際の操作ではそう単純に実践できるものではない。また長時間同じ動きに固執すればただの的になってしまうので注意していただきたい。そしてこちらの動作に対して相手側も対処するので必ずしも思い通りにはいかないのが世の常というものだ。しかしそのような仕様や条件などを意識しているかどうかでも回避・命中効率あるいは戦術やアセンに多少なりとも影響を及ぼすのもまた事実だと思われる。

 まずそれぞれの原則として、狭角射撃は目標が離脱傾向にある場合にはその移動軸の背後を、接近傾向にある場合にはその移動軸の正面をとる方向へ移動することにあり、広角回避ではそれに対応する形で移動軸の背後あるいは正面を取らせない運動が要求される。この運動は攻守が同時に有利な条件で推移するため逆に動くと攻撃にも回避にも不利な条件に陥りやすい。そして攻撃時には敵機の運動が接近か離脱か、回避時には自機が前進中か後退中かで効果的な運動方向はおおよそ逆になる。なお慣性を受けるミサイルを除くと全ての射撃武器は停止した点から一定弾速の弾を射撃することになるので、離脱・接近傾向とは射撃点に対する目標側のみの運動傾向のことで相対距離の増減は関係ない。

 具体的な例として、離脱する目標に対してはモニタ上の目標移動方向とは逆方向に運動してその移動軸を目指す、逆に接近する目標に対してはモニタ上の目標移動方向と同じ方向へ運動することになる。例えば右奥へ離脱する敵を追う場合は移動軸の背後をとる、つまり左奥へ移動することで狭角射撃を行い、かつ敵機の射撃に対する広角運動を維持する。この場合単純に敵を追うように右奥へ移動してしまうと狭角化に逆行し、むしろ回避の立場で狭角化してしまう状況になりかねない。また目標がモニタ上を右に移動しながら接近あるいは追ってくる場合、移動軸の背後を取らせないためには同じように右方向へ平行移動状態のまま後退することで広角化に有利な状態を維持し、射撃時には目標移動軸に可能なかぎり直角に近い角度で接近することで命中効率が高くなる。やはり単純に敵から遠ざかろうと左後ろへ離脱することは自ら移動軸の背後に敵機を誘導することになる。このように単に画面上の敵機を追う、あるい逃げるといういわば本能的な動作は被弾リスクを増大させ命中精度を低下させる悪循環に陥りやすくなる。またACは基本的に1対1の戦闘になるので三次元戦闘でもこの二次元的運動を縦軸に傾けて考えればよく、空中目標は落下加速度に制約されやすく地上よりも運動性能が劣る機体が多いことや特に無慣性運動や特殊挙動による回避運動ができないため慣れてくると地上目標よりもはるかに狙撃がしやすくなるはずだ。
 ただし双方が同じ行動原理に縛られて運動すると相対距離や戦術が膠着しやすくなり機体性能や武器性能の差がそのまま表面化しやすくなる。一方で武器特性によってかなり狭角・広角動作の相性や有効性が変わるので、自機アセン・戦術に有利な条件にいか引き寄せ相手をいかに好条件から突き放すかという駆け引きも命中・回避効率に直結するので、できるだけそれらに関わる要素を把握しておきたい。

○射撃システムと武器種の相性

 まず精密予測射撃武器は単一運動では弾道からの被弾半径の離脱を容易には許さないが、逆に切り返し運動では被弾範囲の離脱が容易で回避されやすい性質があり減速運動に弱い。的確な回避に弱いため有効距離を外すと命中させるのが難しくなるが、回避運動の暇を与えないような近距離戦やその加減速の間を埋める連射力や適度な集弾性に優れるものほど高い命中率を発揮しやすく、加えて射撃fに弾速距離の判定を発生させる性質が近距離戦の適性をより高める。また単一運動にも強いでの大きく前進・後退を伴わない運動を維持する目標に対して性能を発揮しやすく、切り返しや減速に弱い点と瞬間・単発火力に劣るものが多いのでピンポイント狙撃や連携への戦術適性は低い。そしてこのタイプでも広角回避がしにくい角度からの射撃は有効で、射撃しながらの狭角化運動によってより命中率を高めることができる。

 通常予測射撃系は精密予測射撃に比べて1f分移動目標に後退する性質があり広角化しながら単一運動する目標に命中させるのは難しいので、狭角射撃は必須の射撃技術といえる。一方で移動後方へそれる性質は切り返し運動に対しては逆に先行する条件になり、空中やブースト移動中は慣性の法則にしたがって機体加速度に依存した減速をしなくてはならないので、高速域での1〜2f分の後退距離は切り返し運動の加減速度にして数f分以上の先行位置に相当する。このようにこのタイプはサテライト等の広角状態での単一運動と加速運動に弱く、逆に減速運動に強いので切り返し運動や引かせるあるいは追わせるような狭角化しやすい状況が作りだせればその性能を発揮しやすくい。ただしACの運動性能は全方位に対して安定して高いので狙撃タイミングはシビアににならざるを得ず、狭角射撃や切り返し運動への狙撃は相手の運動状況の把握や予想が要求され、被弾衝撃や被弾閃光あるいはサイトギャップなどによっても阻害されやすい。このため射撃技術や戦術あるいはアセンや連携武器などのサポート要素が通常予測武器の戦力を大きく左右する。なお座標基準系の予測射撃は武器切り替え直後や機体挙動が安定しない状態でも2次ロックさえしていれば目標に向けて射撃できる。

 角度予測射撃は機体操作によって射撃弾道に進角・退角補正を加えることができる。後退する射撃システムが弱点とする広角単一運動の目標も攻撃可能なので駆け引き的要素が強く相互に戦術性を補完・利用することでより性能を発揮しやすい。一方狭角状態では相対距離が大きく変動している場合が多くかつ横方向への運動も変動しやすいので、射線が機体挙動に引っ張られる角度射撃では安定した射撃はやや難しく、また銃口追跡に制約されるのでロック直後の射撃にはそれなりに高度な技術と武器特性を要求される。なお肩キャノンの旋回限界は上方に約60度、下方に約40度、それ以上はロックしていても旋回限界までしか射撃できない。旋回限界にはアセンによる例外が確認されており武器腕重量二脚(上約40度、下約60度)と武器腕逆関節二脚(上下約50度)。腕武装は単装状態(ブレード以外の射撃武器が腕武器のみ、もしくは肩武器を全て撃ち切った状態)を条件に武器切り替え&射撃同時操作で角度射撃に切り替えて手動補正射撃が可能になり、腕武装の旋回限界はほぼ無い。
 ロケットは技術次第で広角運動中の目標を攻撃できるため通常予測武器のサポートとしても相性がいい。ロケットの旋回限界は上下ともコアの角度を基準に45度。挙動によってコアの角度が変化し例えば空中やブーストダッシュ時などコアが前傾しているとロケットの可動範囲は若干下向きに旋回し、稼働範囲内ならFCSが自動的にガイド方向へ制御してくれるがコアの傾斜や動きのパターンは脚部カテゴリによって異なる。なお肩キャノンは展開時にコアを常に水平に制御するので同様の現象は起こらない。

 なお射撃システム以外の武器特性もそれぞれの特有の戦術的性質を持つ。例えば二門兵器は片側方向への移動目標に対して常に射撃幅分だけ判定の先行位置があるため左右で単一運動や加速もしくは切り返しや減速に有利な特性を持ち、手動補正射撃では横に広い当たり判定として扱える。拡散する武器は射撃精度は落ちるが単一運動や回避運動にも散発的に命中しやすく回避が難しい。衝撃は命中によって低運動状態を作りだすことができる。高速連射は不安定な挙動の間を埋められる。多弾発射はやや運に左右されるが広い命中範囲を持つなどなど。また特殊挙動による加減速や意図的に低運動状態から左右へ切り返す回避運動は予測射撃全般に対して安定した効果を持つが、二門兵器には片側方向への加速が無力化しやすく、集弾性に対してはギャンブル的になり、高弾速や高連射あるいは時限信管に対しては相性が悪い。このように射撃システムのカテゴリに捕われず各武器個別にも戦術的な特性や相性を持つ。

 ミサイルは武器種によって射出角度や弾速が大きく異なり、機体慣性を引き継ぐので射出操作の要求が高いが軌道コントロール性も高く変則的な攻撃ができる。パーツにもよるが戦術的には引く目標に対して相性がいいものが多いので射撃武器と相互に戦術性を補完することができ、かつ目標の運動を制約させやすく着弾までの余裕や衝撃硬直などにより連携戦術やポジショニングなどのサポート性能に優れるものも多い。

○広角回避に関わる要素

 座標基準系の射撃システムは予測と射撃に1f分のギャップがあるもの、加えて発射時に1f分の移動遅延があるものがラインナップされており、結果として予測射撃は機体中心を基準として移動目標の0〜2f分過去の位置に着弾する性質がある。この1〜2f間に被弾半径“75”を離脱できれば距離に関わらず切り返すことなく単一運動で射撃を回避することが可能になり、弾道から被弾半径を迅速に離脱するためには射線に対して直角に移動する方法が最も効率がいい。そして被弾半径“75”以上を1fで移動する速度は“4800”以上、2fでは“2432”以上になる。ただし集弾性や弾速の分配誤差・精度変動などによって射線が前後にブレるので命中境界付近では回避というよりは被弾率の低減になる。そして四脚は空中限界速度が“5376”なのでそれ以上の性能があれば広角運動中は拡散や大きな分配誤差を除いて1f分以上後方へそれる座標系射撃は命中できない。二脚系は限界速度ジャストだと命中境界上にいるため誤差を含めて若干のマージンがあると回避率が安定し、限界速度付近はさほど運動性能の上昇効率は悪くならないので四脚限界速度程度の最大速度があればサテライト回避の余裕を獲得できる。

 このように射撃システムによってある程度以上の運動性能を条件に射線に対して広角化しながら一方向へ運動するサテライト運動でも回避あるいは被弾率の低減ができる。そして座標基準の予測射撃では2f分の後逸タイプは地上四脚や空中の軽量タンクでも命中境界を超えることができ、1f分の後逸タイプの命中境界は二脚系の限界速度に相当するため巡航速度域に非常に近い。この命中境界に近いシビアな条件でサテライトで安定して振り切るためにはできるだけ正確な広角運動に加えて移動後方(過去方向)へ予測射撃を散らす必要がある。サテライト運動は敵を機体正面に合わせながら横移動する操作が基本になっているが、サイトギャップの影響でサイト中心が機体正面とは限らないので感覚的に修正するかロケットガイドやレーダーなどを基準にするといい。より正確な広角運動を要求される場合は射線に対して広角化するのが理想だがそんな余裕はないので敵機ではなく射撃点を基準にすると効率がいい。これは敵機が移動しながら射撃している場合は若干移動後方の位置になり、その移動速度や着弾までの時間(弾速や相対距離)で前後する。そして射線に対して広角回避すると必然的に次の射線に回り込んで広角化するようなやや複雑な形状のサテライト動作になり、なかば自動的に次の射撃に対して若干狭角化されることで速度を落とさずに僅かながら予測射撃を後方へ散らすことができる。つまり細かく広角円運動を調整するのではなく横移動しながら回避目標にタイミングを合わせて内側へ旋回を刻むような操作になるが、限界速度付近やそれ以下の最大速度機体では単純なサテライトで振り切れなくても瞬間的な軌道修正のレスポンスが安定して高いので旋回や前後加速を加えて意図的に自機を狭角化させるなどでより後方へ散らす効率が高まる。いずれも連射力が高いと個別に予測を散らすのは難しくなるが全ての射撃に回避を試みるより自機の運動性能と耐久力に応じた回避率を目標にした方が安定するだろう。

 また限界速度は絶対軸(方位に相当)依存なので高運動性能では移動方向によって速度が変化し、最大速度が限界速度を超えているとサテライト運動では360度を4分割した周期で加減速を繰り返す。この加速域では自動的に予測座標が後方へずれて有利になるが、減速域では若干不利になり余剰限界速度域では運動操作のレスポンスが安定しにくくなる。また予測・移動ギャップを持たないタイプや予測角度射撃など単一運動では相性の悪い武器種もあり、サテライト中は余剰限界速度域に達している場合が多く目視してからの回避はまず間に合わないのでそれを狙った狙撃に弱く武器によっては切り返しへの狙撃リスクも高くなる。
 なおサテライト戦は旋回性能の高い機体ほど有利なので、旋回性能に劣る場合は引くか広角化しながらサテライト目標と同じ方向に移動すると打開しやすい。運動性能差があっても同じ方向へ正対したまま平行移動すると広角運動を維持したままサテライト半径を広げて旋回性能差を吸収できる。これによりサイティングが安定する事に加えて旋回と移動方向が重なるのでロケットや手動補正射撃が可能な武器などがあれば運動性能に劣る機体でも攻撃手段を確保しやすい。またこれに後退を組み合わせて引くと崩しやすく飛び越される危険も低減できる。逆にイタチの尾を追うように円運動してしまうとサテライト半径を狭めて旋回性能差を助長してしまい、じきにサイティングが追いつけなくなり広角運動を維持したまま間合いを詰められて運動性能差に蹂躙されかねず、旋回と移動方向が競合して手動補正射撃やロケット狙撃も難しくなる。

 切り返し回避の条件について、予測射撃が移動に対して後退するタイプは射撃時の自機の速度域(主に射線に直角な速度成分)が高いほどシビアになる。まず予測射撃武器の後方へそれる距離は射線に直角な速度成分に比例しそれが大きいと切り返し運動でその分を打ち消すために余分な時間を要してしまう。例えば二脚系限界速度で2f分の後退距離150に被弾半径を加えた距離225程度を最大速度からの切り返しで命中範囲から離脱するのに必要な加速(減速)時間は空中で約8〜9fになる。限界速度以上の性能で最大速度に達していると余剰慣性の影響で運動性能差による切り返し回避のレスポンス差は小さくなり、運動方向が絶対軸に近いとむしろ高性能機体の方が悪化する。このため数f程度で着弾する距離では高速域からの切り返しモーションが狙撃チャンスになりやすく、少なくとも射撃時点で既に限界速度以下の減速域に達していないと不可避になりやすい。特に二門兵器に対して広角回避しやすい方向へ運動していると切り返し回避がさらに射撃幅分シビアになり、逆に予測・移動ギャップが少ないタイプはこの条件が若干緩和される。このため武器種によっては相手の射線に対して直角の速度成分を小さくして予測射撃の後退距離を抑えた状態から左右広角方向へ切り返しもしくは加速した方が回避しやすい場合もあり、余剰慣性の影響も抑制ないし解消できる。

 一方でまったく後退しないタイプは誤差を除いて精密に予測点へ着弾するので余剰慣性を除いて運動状態を加味する必要はなく、単純に予測点から機体半径を離脱させればいい。ただし目視回避は困難なのでタイミング狙いになり、できれば射撃より先に操作あるいは加減速を開始しているのが望ましい。また自機性能では着弾までに圏外へ脱し得ない距離では回避運動があまり意味を無さないが、二脚系(特に軽量二脚)の無慣性歩行や特殊挙動による回避、分配誤差が増大しやすい上下角の深い状態などではその限りではない。参考までに例えば空中でCPU側のRFM118(拡散しない精密系)を切り返し回避するのに必要な加速時間は最高性能かつ限界速度以下の速度域では3〜4f、最大速度に達していると余剰慣性で1〜2f程度余分に必要になり、限界速度級の機体性能では4〜5f程度になる。無限軌道系タンク(上昇ブースト加速度Lv20前後)で6〜7f、この場合5f程度で着弾する距離では回避運動はほとんど意味をなさないが、RFM118の弾速は700なので距離5000程度あればこのタンクでも左右への切り返しで回避できることになる。このため実践的に切り返し回避が要求される条件や単一運動では回避が難しい運動性能の低い機体は予測・移動ギャップの小さいタイプの方が回避しやすい場合もある。また回避不可能な条件での回避動作は操作的にも戦術的にも不利になるだけなので攻撃や位置取りに専念した方がよく、その範囲が広くなる低運動性能・高耐久のコンセプト機(特にタンク)ではこれ迅速に切り替えるのも重要になる。

 脚部特性や特殊挙動による回避について、予測射撃は弾速が遅い武器ほど予測を散らしやすく回避有効距離を短くでき、予測を散らす動作も射線に対して広角に運動するほど効率が良くなる。例えば軽量二脚の通常歩行では歩行振幅(進行方向に加減速を繰り返す、垂直は無し)により予測を自動的に散らすことができるうえ、ほぼ瞬時に切り返せるのでデメリットが少ない。逆関節の斜め前進歩行でも多少の効果があり、他の二脚系でもその場で広角方向へ左右に切り返して散らすこと(踊り)はできるが、歩行性能は脚部カテゴリ固有なのでレスポンスが低い脚部ほど有効距離が遠くなる。通常歩行のできない四脚はホバー離陸&タッチダウンを繰り返して地上速度と空中ブースト速度の速度差で散らす方法(水切り)があり、この場合は地上速度と空中ブースト性能の差が大きいほど効率がいい。ただし着地は減速(地上最大速度へ)で離陸は加速(空中水平加速度で)になるため機体性能や武器相性で有効距離やサイクルを調整する必要があり、ホバー離陸時の2fは前方へ自動加速(横方向は慣性維持)するため機体正面を若干移動方向へずらすとより広角化できる。タンクは左右に振るしか方法はないが余剰慣性を発生させないので加速度の低い地上はともかく空中でのレスポンスは悪くない。
 地上ブレードは移動中は瞬間停止して前方へ急加速・急減速し、移動・旋回・ブースト操作のいずれかでモーション後半を省略できる。そして瞬間停止は直前の移動方向が、急加減速は機体正面方向が射線に対して広角化できると効果が大きいが、敵機方向へブレードを発動してしまうと追撃が回避できなくなる。連続発動する場合は二脚系は前進しながら発動すると加減速比が大きくなり、四脚とタンクは歩行動作干渉がないので後退加速しながら射撃タイミングを狙って断続発動すると効率がいい。地上ブレードは加減速比が大きいので対空時や引きながらではさほど大きく広角化させなくても効果があるので使いやすく、特にミサイル回避に重宝する。
 また垂直運動による広角回避は全高の小さい四脚・タンクがより効果的だが垂直方向への有効な加速がしにくい脚部カテゴリにあたり、中量二脚は若干小さく、二脚系は全高が大きいがダッシュジャンプや脚部ジャンプで垂直運動がしやすい。垂直運動は射撃点が水平に近いほど広角条件になり、高度差や角度が大きくなると狭角条件に近づくので水平運動で調整する必要があり目標方向への落下や上昇は狭角方向への運動になる。また上下角度が深くなると射撃精度が悪化するようで、水平運動よりも偶発的に命中しやすい。

○狭角射撃に関わる要素

 射撃システムの仕様により広角運動が命中率や戦術に及ぼす影響が大きく、攻撃側の観点では射撃システムのタイプや弾速による有効距離やリロード、集弾性、衝撃などを加味した上で射撃方法やタイミングを変える必要がある。命中角度やタイミングについては具体的に示すことはできないのでそれぞれの感覚の世界になるが、アセンや動作効率などに若干の差がある。

 まず狭角射撃は目標の移動軸に接近して射撃するので近距離ほど移動軸までが近くなり効率が高まる。逆に的確な広角運動を維持するのは近距離の方が難しく、同時に回避運動の余裕が少ないこと、ついでに機体被弾範囲が相対的に大きくなることなど、近距離ほど射撃技術を生かしやすくなる。したがって接近戦では瞬発力(加速度)が重要になり、同時に近距離では機体運動に旋回が追いつかなくなりやすいため旋回性能も重要な要素になる。一方で近距離でも回避の基本は広角運動で、予測地点から1fないし2f以内に被弾範囲から機体を離脱させることで回避できるという条件は遠距離と変わらないが、常にサイティングを狙う運動は自機の限界を旋回性能に制約してしまうため戦術的な柔軟性に欠けてしまい狭角・広角運動をともに難しくする。このため近距離ではサイトサイズの価値がとても高く必中角度に踏み込んだ時点で攻撃範囲に捉えるための旋回性能をサイト範囲でフォローできる意義は大きく、機動戦での必中チャンスをより多く作り出せる点に優れ、連射武器でも命中率がかなり向上する。さらに上下角が深くなるほど正確な広角運動を維持することが難しくなることや分配誤差が大きくなりやすいことでサイトサイズが大きいほど対地・対空・空中戦での命中率を高めやすい。

 射撃武器の装備位置について、射撃点が機体中心から左右へオフセットしていることでその方向への狭角化運動には潜在的な先行位置を持っている。具体的には最高運動性能の水平加速度でゼロ速度から機体半径“75”を移動するにはおよそ3f必要(武器やアセンによってオフセット幅が異なる)で、基準位置や銃口エイミングで若干射撃点が変わることを加味しても武器装備方向への加速運動による狭角射撃には1〜3フレーム程度分の先行によるアドバンテージを持つことになり逆方向へは若干不利になる。このように装備位置が右か左かで狭角化運動の効率には若干の違いがあり、必中角度に達するタイミングも左右に差が生じる。これはさほど大きな差ではないので機動戦で実感するのは難しいかもしれないが、正確に位置関係や射撃タイミングをコントロールして検証するとはっきり違いがみてとれる程度には差がある。直接関係ないが二門兵器は予測に平行射撃するため、平行射撃側へはほとんど狭角運動をする必要が無いほどのアドバンテージがある。

 散開する武器種について、これらは射撃点を頂点とした集弾性による四角錐範囲にランダムに広がる。弾道が乱れて広がるので予測を逆に利用するような微妙な回避運動がしにくく、もともと後退する射撃システムの影響を散開方向次第で解消できるので若干命中効率の特性が異なる。具体的には距離が離れるほど散開幅が広がるので移動方向側へ散ると多少の広角条件でも命中しやすくなり、散開幅が大きくなりすぎると密度が低下して目標の運動状態に関わらず散発的な命中率も低下する。逆に接近するほど散開幅が小さくなり後退する射撃システムの影響が強くなるので狭角射撃が必要になるが散発的な不発を抑制できる。つまり相対距離で効果的な射撃方法が若干異なる。このため多弾同時発射に衝撃を持つものは散発的な命中で運動を低下させつつ狭角化しながら接近する戦術と相性がよく、弾数や連射力に優れる武器は角度がやや浅くても牽制や削り用に使いやすく、散開が小さめで瞬間・単発火力にも優れるものは距離や戦況によって狙撃と牽制を切り替えて扱える。

 操作性について、狭角射撃は目標の移動角度が深い方が狙いやすくなるが必ずしも移動軸と射線の交差角を狭めるほどいいというわけではない。ACの水平方向への操作性はおよそ8方向に制約されるが、交差角が平行に近づくと逆に広角方向への方向転換操作が容易になりかつ予測射撃の後退が解消されてしまうため、回避の余裕がある距離や状態ではむしろ狭角化するほど左右両側へ回避運動がしやすくなる。逆に命中角度まで移動軸に接近できるならある程度角度が残っている方が回避運動の操作性を切り返し方向側に制限でき、運動を維持しても切り返しても後退する予測射撃の命中範囲に捉えやすくなる。

 前進中と後退中の効率について、射撃する弾は慣性の影響を受けないため機体との相対速度の影響で前進する側が不利になりやすいが、狭角射撃自体は後退中は効率が悪く前進中の方が効率がいい場合がある。弾速の相対速度は例えば小型ミサイルと大型ミサイルは実速度差“50”、XP1000とカラサワの差が“100”。二脚限界速度は実速度“75”で引く機体と追う機体間の射撃戦で双方の弾速の実践的な相対速度差は大きくても〜150前後になるので、これが回避運動の余裕に与える影響は大きい。しかし狭角化運動は目標の移動軸へ直角に接近する方法が最も迅速に命中角度に到達でき、かつ自機の広角運動を両立しうる。そして互いに追う・引く戦術を展開している場合などでは前進しながら目標移動軸へ接近すると半ば自動的にそうなるが、後退している場合には結果として鋭角に目標移動軸に接近せざるを得ないので必中角度に踏み込むのに余分な時間と距離が必要になり効果が薄い。例えば目標が正対したまま左斜め前進(モニタ上で右方向へ移動接近)してくる場合、右前進で移動軸に接近するとより直角に近いアプローチができるが、自機を正対させたまま右斜め後退しても双方の平行運動に近くなるだけで移動軸に接近することはできず、加えてこの状態で接近傾向の目標へ射撃すると予測射撃によってかえって弾道が広角化する。

○手動補正射撃に関わる要素

 予測角度射撃系の武器は予測システムに機体操作による手動補正を加えて射撃することができる。予測射撃武器の2次ロック中は銃口が目標予測位置を旋回追跡しているが、自機が運動した分の追跡角度の修正が1f分遅れるため結果として機体の旋回方向や移動方向へ銃口エイミングが引っ張られる。つまり射撃の瞬間の自機運動にしたがい、1fの旋回角度分だけ射撃角度が旋回方向へ補正され、1f分の移動距離(弾道に直角の移動距離)だけ移動方向へ弾道がずれる。主に旋回補正による影響がより強く、旋回開始直後や切り返し旋回時に射撃するような場合には旋回加速度が、旋回しながら連射あるいは狙撃するような場合には旋回最大速度がそれぞれ重要になる。そして水平運動も同様に加速度と最大速度が影響し、旋回と同じ方向への運動で補正を増幅し、旋回と逆方向への運動で抑制する。たとえば高速移動目標を狙撃する場合や運動性能の低い機体では水平移動と旋回を同一方向へ加えて手動補正を強くすることができ、狭角化運動と組み合わせるとより効果が高い。逆にサテライト運動中は旋回と水平移動それぞれが逆向きに競合するため手動補正の効果が抑制されてしまうが、停止・低運動目標を狙う場合は補正を抑えたほうが都合がいい場合もある。そして旋回によって補正できる大きさ(1f分旋回角度の正面扇状の範囲)は遠距離ほど大きくなり、水平運動によって補正できる大きさ(1f分移動距離の正面帯状の範囲)は距離は関係ないので相対的に近距離ほど重要性が増し、これを組み合わせたその瞬間の運動が補正の大きさになる。垂直補正については2次ロック中の上下旋回は砲身旋回には影響しないので効果はなく、垂直運動のみに依存するため垂直方向へ補正をかけるのは難しい。
 余談だが機体旋回軸と装備武器の旋回軸や位置が異なる影響で、左右方向への補正強度が武器種や装備位置によって多少異なる。また銃口追跡にも旋回速度があり、かつ銃口旋回の最小単位と分配誤差のため射撃可能な最小角度は機体旋回に比べて粗くなる(死角)などの制約がある。このため手動補正による弾道変化はこれらの影響と1f分の機体運動との兼ね合いで若干変化する。

 手動補正は運動性能が高いほど大きくなるが、弾速が高いほど予測角度が浅くなるので結果として弾速が高いほど相対的に手動補正分の割合が大きくなり強く効くようになる。そして遠距離ほど旋回による手動補正分が大きくなるが、同時に遠距離ほど目標機体の大きさ(射撃点からみた角度範囲)が小さくなりかつ角度射撃の死角の制約で射撃精度が低下し、回避の時間的余裕も大きくなる。逆に回避の余裕が小さい近距離ほど目標機体の被弾サイズがしめる角度範囲が大きくなり、かつ近距離では弾速による影響を低減できる。しかし銃口の旋回速度には限界がありそれほど速くないため近距離では目標の瞬間的な加速や切り返しに追いつくには多少の時間がかかり、同時に近距離ほど自機の旋回性能への負担も大きくなるので補正をかけても予測射撃の後退を解消するのが難しくなる。またロックしても待機位置からエイミングを開始して予測位置まで達するのには多少時間がかかるのでロック直後の射撃には適さず、ロック範囲も広い方が操作性はいいが追跡ギミックの稼働範囲が広がることで銃口エイミングの制約も露呈しやすくなる。そして銃口エイミングは常に機体挙動に引きずられるので機体挙動が不安定だと射撃方向も不安定になってしまうため、特に近距離では運動性能だけでなく高いサイティング技術が必要で、加えて空中では姿勢制御技術が求められる。
 このように補正が弱いと予測射撃の後退を解消できず、強すぎると移動目標の前方を通過してしまうので、角度系の予測射撃には機体性能および弾速による補正強度にみあった有効距離範囲と相手の運動状態に応じた挙動操作で射撃する必要がある。したがって同じ武器でもその有効距離範囲は弾速と運動性能と操作技術に大きく依存する。ただし散弾系やグレネードキャノンあるいは武器腕など命中範囲が広い武器特性や回避の余裕に関わる高弾速や高連射など相性のいい性質などで欠点をカバーあるいは長所を伸ばすことができ、射撃システムに支配される座標基準射撃よりも格段に射撃の自由度が高い。もともと座標基準に縛られた予測射撃は目視しなくても回避しやすい性質があるため有効距離がやや短くなるが、自由度の高い予測射撃はタイミングや特定動作だけでは安定して回避できなくなるため的確に補正できればより長距離でも有効になる性質がありその視認性も武器特性として影響する。また巡航移動などの安定動作を攻撃しやすい性質により通常予測射撃武器と相性が良く、腕武装でも必要条件と操作性の問題をクリアできれば単一武器で座標基準と角度基準を瞬間的に切り替えて射撃できる。ただし腕武装の場合は一時的に2次ロックを解除するため連射には向かない。

 具体的な手動補正の方法としては、有効距離の確保とターゲットの未来方向へ旋回しながら水平運動を加えて(あるいはその逆)射撃することが基本になる。主にロックサイトを目標未来方向へ動かすことを目安に操作するとやりやすいが、手動補正はおよそ「予測角度+1f分機体旋回角度+1f分機体移動距離」になるので目標の運動より速くロックサイトを動かす必要はない。まず角度射撃でも座標基準の予測射撃と同様に予測ギャップや弾の移動遅延によって距離〜150ほど後退(死角により前後、遠距離では前方へずれることもある)することが多いので移動目標の前方側へ手動補正をかける必要がある。そして補正角度は射撃の瞬間の旋回・移動速度によって定量的に増減するので、射撃時の機体操作やそのタイミングをある程度パターン化することで予測角度に対して安定した補正角度を加えることができる。一方でACは限界速度によって巡航速度が機体構成に関わらず平均化しており、機体被弾直径は“150”と弾道の後退距離や手動補正による修正幅と同程度の大きさがあるので命中できる角度範囲にはだいぶ余裕がある。つまり単一運動(とはいっても数〜十数f程度で巡航速度に達する)中はどの機体でもだいたい同じ速度で移動しており、予測射撃が後退する距離も移動速度と射撃システムによってだいたい一定、そして手動補正の大きさも同じ条件ならだいたい一定、加えてそれらの変動幅に比べて機体判定サイズが十分に大きいので、多少おおまかな有効距離や手動補正射撃でも十分に命中範囲に捉えることができる。
 なおCPUには相手の機体正面から離れる方向へ移動するクセがあるため、特にそのロジックが優勢なランカーは移動未来方向へサイトを旋回させた瞬間(サイト旋回でCPUが自機の機体正面をまたいだ瞬間)に切り返してしまう。このためCPUでは手動補正射撃の練習がしにくく、実質ロックサイトの片側半分しか使えない。

 そして角度タイプの射撃武器とその他射撃武器の2次ロック状態以外は常に銃口の向く方向へ角度射撃する。原則として武器選択中にエイミングしていない場合は銃口はロック範囲中心へ向けており、エイミング範囲に目標を捉えるとそこからエイミングを開始する。そして銃口エイミング速度はアセンによる差は無く(肩キャノンと腕武装と武器腕では稼働部とその数が違うので若干異なる可能性はある)、かつ武器切り換えや視点リセット時に定位置に戻る動作も同じスピードで行われる。なお両肩キャノンは銃口の旋回追跡機能を持たないので手動補正射撃はできない。
 命中範囲の広い武器や高速連射武器ではこの性質や脚部特性なども利用できる。例えば移動目標がロック範囲に侵入してくるようにサイティングする方法や、落下目標の下側やジャンプの上側にサイトを待ち受ける方法でかなり前方にも射撃できるが、ややタイミングはシビアでも判定範囲や連射力があれば捉えられる。特にグレネードキャノンは目標がエイミング範囲内であればその瞬間に相対距離を取得して時限信管を有効化するため、かなり大雑把でも十分爆風圏内に巻き込める。例えば視点リセットを利用した頭上爆破や肩キャノンの展開動作解除あるいは四脚で射撃したい方向に向いて接地し射撃するなどの方法がある。またもともと後退するので降下中の目標に射撃して頭上で爆破し下向きに叩き付けることもできる。ただし稀にキャノン展開中に誤射したり、入力したまま接地発射すると自爆することがある(バグ?)。

 また銃口のエイミングは正確には脚部の動きではなく上半身の旋回(=サイト旋回)に引きずられるが、特定の機体ギミックを発生させるとサイトの旋回速度が増幅ないし抑制されることがある。例えば上半身の旋回速度は機体の旋回速度とは直接関係なく、平行移動中に移動方向を変更する操作などを行うと下半身の向きを入れ替えるギミックが発生し、その際に上半身が解除方向へ急激に旋回するので機体旋回速度よりも高速でサイトが旋回する。詳しい原理は調べていないが(逆操作をするとサイト旋回が一時遅くなるのでしわ寄せした分を開放してるっぽい)、たとえば旋回が目標に追いつけない場合には射撃の直前に前後方向あるいは逆方向への操作を入れることで一時的に上半身(銃口)を解放して旋回を速める方法があり、重四脚やタンクなど旋回速度が遅い機体でも利用できる。これは接近戦や背後を取るような機動戦の際に無意識に操作している場合も多いと思うが、操作に対して再現性のある運動なので意識してできるようにしておくと便利。余談ながら前後移動中などの旋回速度が平行運動時より高くなるという説はおそらくこれと同じ現象だと思われるが、これは上半身の動きによるもので機体自体の旋回速度は移動方向を変える瞬間に減速するためむしろ僅かに遅くなる。

○着地硬直に関わる要素

 ACは着地硬直が最大の隙になり、その間に破壊的なダメージを与えうる武器も多数あるため狭角射撃や手動補正射撃が難しい場合はその瞬間を狙う、あるいはそれを狙って起こさせることが戦術の一つの要になる。着地硬直はタンクを除く脚部機体が一定以上の速度で着地することで発生する。そして衝撃十数程度までの武器は目標の運動を増幅する方向に衝撃加速を加えやすい性質があるので、降下中の目標を攻撃すると下向きに加速させかつ被弾硬直中はブーストできないので撃墜して着地硬直を起こさせることができる。そして着地硬直はいったん完全停止し二脚系は再移動に予備動作が必要なので離脱方向が予想できれば移動開始まで追撃を加えやすい。なお着地硬直は着弾衝撃で解除されるので着地硬直への追撃は無衝撃武器もしくは高い単発威力の武器の有効性がより高い。

 追撃について、予測射撃は目標未来位置へ攻撃するので着地前に射撃すると地面側に散ってしまい、上空からなど敵落下軸へ狭角状態であれば着地前から攻撃できるがやや難しい。このため精密・通常予測射撃武器は主に着地後に射撃することになるので弾速と瞬間火力が高い武器ほど効果的になる。肩キャノンは追跡速度に限界があり砲身方向への射撃制約があるのでこれが落下運動と拮抗する近距離なら着地前から射撃可能で、事前に着地点に照準しておきサイト侵入に合わせてエイミング射撃する方法もあり、連射系は総火力が高いので無駄うち覚悟でも使いやすい。ミサイルは地上で水平射撃に近いと地面に喰われてしまうが、上向きに発射するタイプは着地前の発射でも可能、水平発射タイプはジャンプや切り替え直後の発射などで射出高度を確保できれば可能になる。ロケットは手動になるが高度が近ければ水平照準に絞れるので比較的容易だが、コアの角度を基準に旋回限界が引きずられるので上空からはその機体に慣れないとやや難しい。また光波ブレードであれば地上ブレードを着地前の目標に対して発動しても地面側へ散ることなく合わせれる。

 硬直後の移動について、着地硬直時間はアセン固有で16fもしくは20f、その後は二脚系の場合さらに4f程度の低運動状態から加速に移行し、後退方向へは予備動作が数f長くなるものが多い。歩行予備動作の時間はアセンによって若干異なる。このため回避側観点ではできるだけ広角方向にかつ予備動作が短く初速の大きい方法が望ましい。二脚系は落下の限界速度が最大速度よりも大きいので余剰慣性を生まず着地のタイミングをコントロールしやすいが、落下速度が速くなると着地点を大きく変更することが難しい。四脚は地上移動開始が早く前後左右のレスポンスに差がないが加速度が小さいため被弾圏外へ脱するには数fかかり、ホバージャンプは離陸の瞬間2fに強制的に前方へ加速するので向きが若干影響する。四脚・タンクの落下中は最大速度よりも限界速度がかなり小さく水平方向へのポジショニングには比較的余裕があるが、余剰慣性が大きくなると着地のタイミングをコントロールするのは難しくなる。タンクは着地硬直は無いが地上性能が低いため着地の瞬間を狙われやすいのでグレネードブースターか着地と同時に地上ブレードを広角方向へ発動する方法もある。また四脚・タンクはブレード動作中か被弾硬直中の接地で落下速度に関わらず8fの特殊接地硬直を発生させるので地上付近では非常に隙を生みやすく場合によっては致命的な弱点になるが、ブレードによるものは高速移動中でも狭い足場への着地や緊急停止などに利用できる。

 硬直後の脚部ジャンプについて、硬直から脚部ジャンプ動作へは安定して移行するがジャンプ発動までに7〜10fかかる(アセン固有)。脚部ジャンプは強大な瞬間加速度を持つが二脚系は被弾サイズが横より縦の方が大きく空中速度移行後の上昇ブースト加速度が小さいためジャンプ後の予測射撃でも被弾する危険があり、これは射撃システムのタイプによってだいぶ条件が異なるがいずれにしろジャンプを発動したら水平運動を加えた方がいい。二脚系は被弾高が大きく垂直運動だけで振り切るのはやや難しく空中へ脱出する場合でも近距離では脚部ジャンプより地上ブーストからダッシュジャンプなどの方が安全。軽量二脚は硬直が長く素ジャンプだけでも着地硬直を再発するのでチャージング中は踊りで、ジャンプ加速が小さい中・重二脚は歩行レスポンスが悪いが素ジャンプで再着地硬直しない。逆関節はジャンプの瞬間加速が突出して大きく素ジャンプの滞空時間も長く歩行性能も良好なので状況次第、四脚は被弾高が小さいのでジャンプ後の垂直運動への命中率は低く水平運動の限界速度も後退するタイプの命中境界を超えるので脚部ジャンプを優先してもいい。このように脚部カテゴリやその後の動きなどによって追撃が命中しうる時間や条件が変化する。また硬直から脚部ジャンプに移行するとかなり停止時間が長くなるので敵が側面にいる場合や至近距離などでは状況次第で地上ブレードを発動しブースト操作で後半を短縮してそのまま脚部ジャンプして停止状態のリスクを分散する手もある。

 なお着地硬直は爆風衝撃による自爆(自爆キャンセル)で瞬間的に解除でき、二脚系限定で着地と同時にキャノン構え即武器切り替え(構えキャンセル)で硬直時間を最短で10f弱まで短縮でき、旋回は構えを開始した時点から可能になる。特に自爆キャンセルは衝撃加速で直接へ空中へ移行できるので移動開始の予備動作も必要ない。自爆には右腕武器では下を向くか肩武器からスイッチ直後の射撃(同時入力有効)で下方に発射できる。またブレードモーション直後やその強制解除(着地か被弾衝撃)でも下向きに発射するので着地前に空中ブレード→着地解除&発射でも可能、ついでに右腕武装は開幕直後に直下に撃ち込むので開幕硬直回避や開幕避けも可能。ただし銃口を下げすぎると射撃点が地面下にめり込んで(?)爆発しないことがあり、脚部カテゴリや動作条件によって腕の動き(射撃方向)が若干変化するが操作をパターン化すれば安定する。なお水などに覆われている地形では通常は判定範囲を持つ武器以外で自爆できないが、射撃点が水面下かつ地面より上にあれば有効になるようなので、アセンや水深とタイミング次第だが肩武器からのスイッチ射撃か空中ブレード解除射撃で(肩キャノン構え状態からスイッチでも)自爆可能。肩武装は下へ旋回する必要があり砲身の旋回限界があまり大きくなくロケット系は上半身の挙動に引きずられる。自爆可能なパーツは右腕武器B2180(爆風衝撃5〜6)、PB26(同7〜9)、武器腕DC/2(同3〜4)、肩武器はラージロケット及び機雷。衝撃を無効化すると不可能になるが安定性が低すぎると爆風硬直が長くなり衝撃が弱いと加速度が小さくなる。肩グレネード2種は着地時に下方に射撃できるのはタンクのみなので自爆キャンセルには使えない。なお四脚・タンクは自爆による上向きの加速度(衝撃値と爆風位置による)と硬直時間(衝撃値と安定性による)の兼ね合いの条件が悪いと自爆で一瞬浮いた直後に特殊接地硬直を起こす場合がある。

○連携戦術に関わる要素

 ACでは多くの武器が回避やポジショニングに専念する相手に命中させるのが難しいため、衝撃やプレッシャーによって攻撃に有利な状態を作り出すことは狭角射撃と同等かそれ以上の戦術的効果を持ち、かつ連携戦術によって各武器の性能を相乗的に発揮しうる利点がある。そしてなにより連携戦術は組み合わせやアイデア次第で多くの戦術バリエーションを生み出せるので面白い。
 まず衝撃を起点にする連携戦術では主に先行武器はリロードが短いほど衝撃が強いほど弾速が遅いほど適性が高く、後続武器は弾速が高いほど瞬間火力(時間火力もしくは単発威力)が高いほど適性が高い。またプレッシャーによる回避運動を攻撃するような連携でも先行武器と後続武器の弾速差が大きいほど適性や汎用性が高い。

 武器の射撃間隔について、原則として発射後にリコイルカウント(リコイル武器のみ)を、続いてリロードカウントを行い解除後に再射撃が可能になるので連射間隔はリコイル+リロード+1fになる。リコイル・リロードカウントは武器を切り替えても引き継ぐため終了するまでは切り替え後の武器でエイミングと射撃はできない。ただしブレードはそれらを無視して発動可能で、ブレードモーション中はリコイルカウントは継続され、リロードカウントは一時停止しモーション終了後に再開する。このためブレードから別武器につなげる場合はブレホ前にリロードを解消している必要がある。なおミサイルの連続掃射は全て3f間隔(リロード2)、ミサイルは武器切り替えで掃射中断が可能だがリロードを無視するバグ(リロードキャンセル)が発生するため注意。余談だがこれを容認するとあらゆるミサイルで連携攻撃が可能になるので、対戦ルールによってはかなり豊富な組み合わせと汎用性の高い戦術のベースとして利用できるかもしれない。

 連携攻撃は武器切り替え直後に攻撃することが多くなるが、切り替え直後の射撃挙動は武器種によって異なる。座標基準系の予測射撃は2次ロックさえしていれば予測座標へ射撃可能で武器の準備動作に左右されないが、1次ロック中は銃口方向へ射撃する。肩キャノンは展開終了まで射撃不能(できる場合もある?)で時間がかかり展開直後は正面を向いており、展開時間は脚部カテゴリによって異なるがキャノンごとの差はなく20〜30f程度。2次ロック中も銃口方向への制約があるが追撃チャンスに展開が間に合えば様々な性質が連携戦術に有利で、特にグレネードキャノンは展開直後の1次ロックでも時限信管が有効になる。ロケットと爆雷はコアの向きを基準に待機しておりスイッチ直後の発射方向はアセンと機体挙動状態に依存し、ロケットは正面に発射する方法もあるがやや難しいのでガイド方向へ準備できるまで若干待つ必要があるが予測が散りやすい条件ではより使いやすい。ミサイルの待機中はコアを基準に上方を向いているため、ロックが早いと準備中に上向きに発射する。軌道コントロールには有用な要素だが有効距離が遠くなるので抑えたい場合は早めに切り替える必要がある(リロードキャンセルに注意)。両肩武器はパーツ旋回機能を持たないため両肩キャノンの2次ロックを除いてコア正面に発射するが、両肩ミサイルではある意味コントロール性が高いのでアセン次第の挙動パターンで機体速度に依らない軌道操作ができる。

 連携戦術の起点には適性の高いミサイルが使いやすいが、ミサイルにはロックオンジャマーやコアによる迎撃機能などの障壁がある。しかし高耐久力の重コアとD0コアの2種はミサイル迎撃システムが正常に機能しない(バグ?)ためほぼ迎撃不能でミサイル戦術がより効果的になる。コアの迎撃機能について、迎撃確率は詳しく調べていないが各コアの設定パラメータの範囲ではほとんど差が感じられない程度なのであまり気にする必要はないと思われる。迎撃範囲はコアパラメータ×4の数値がFCSのサイトサイズと同様に扱われる(PPでは倍の範囲?)。例えばコア迎撃範囲50をロック範囲と同じ単位にすると“200×200”の範囲になり、この範囲にミサイルを捉えると迎撃機能が作動する。有効距離は“5000”、上下方向への旋回も有効(旋回限界あり)なので迎撃に注力する場合はミサイルをサイティングした方が確率が高く、攻撃側はその死角をとれると効果的。

 固めを除いて最も効果的なのは撃墜して着地硬直を発生させることで、完全停止時間が長いので瞬間火力が存分にモノをいうが遠距離あるいは弾速やロックが遅い武器でも追撃する余裕がある。まず衝撃加速度には命中前の機体運動ベクトルを増幅する方向へ加わる条件があり、これが発生する条件で降下中の目標に命中するとそのまま落下方向へ衝撃加速が加わり、かつその間は硬直でブーストできずに落下加速度が加算され続けるので狙って撃墜硬直を起こさせることができる。そして衝撃が弱い武器ほど硬直時間が短いかわりに相手の速度にあまり左右されずにこの現象を発生させやすく、衝撃が強くなると目標機体の速度が小さいと逆転して発生しにくくなるが硬直時間と衝撃加速度は大きくなる。このため弱衝撃武器は下側からでも緩やかに降下中の目標を下向きに加速させ連射衝撃で引きずり墜としやすく、強衝撃武器は上から叩き付けると特に効果的だが若干下側からでも落下速度が大きめの目標を攻撃すれば下向きに加速しやすく、上向きに加速しなければ硬直中に落下加速させて撃墜しやすくなる。弱衝撃武器には命中率や連射力や狙撃適性の高いものが多く、小型ミサイルも降下中の連続命中で着地硬直へ発展させやすい。強衝撃武器は一部のミサイルやグレネードキャノンそして機雷など下側からでも目標頭上方向から攻撃できるものがある。なお四脚・タンクは被弾硬直中の着地で特殊接地硬直を発生させるため低空飛行やホバージャンプの瞬間などに上から衝撃を受けるとそのまま硬直に発展しやすく、地上でも至近距離で爆風が発生するとその衝撃で跳ね上げられて硬直中に再着地すると同様の硬直を発生させる。

 また地上で衝撃を与えるとその硬直時間と移動予備動作分の低運動状態を発生させる。このパターンでは完全に停止する時間は僅かなので、ミサイルを起点に追撃する場合は瞬間火力の高い武器が望ましく、連射力でカバーするか予測が散りにくい弾速の高い武器やロケットや肩キャノンなどが適している。ミサイルの命中サポート用としては命中率の高い弱衝撃武器か弾速が高めの小型ミサイルなどが適している。まず被弾時の衝撃加速と硬直中のブレーキングで硬直解除まで衝撃加速方向へ運動することが多く、弱衝撃では命中前の機体運動方向へ加速しやすく衝撃が強くなるほど衝撃加速方向が入射ベクトル方向に寄る。そして地上では下向きの垂直加速度を無視するので上空側から命中させるとより命中前の機体運動方向へ加速しやすい。また衝撃加速度は衝撃値のみに依存し安定性では軽減できないので強衝撃武器ほど着弾時に大きく加速する。したがって先行武器の衝撃加速方向が追撃武器に有利な方向へ働くように狙撃もしくは軌道コントロールできると追撃の命中率が高まり、かつ有利な位置取りと両立できればよりベターだ。硬直解除時は地上停止扱いになるので着地硬直と同じように移動やブースト開始に予備動作を必要とする。二脚系の場合はアセンによって操作方向のレスポンスが異なるためある程度脱出方向を予想しやすく、狭角化運動や武器特性も活かしやすい。例えば武器腕は狭角化運動と平行射撃を組み合わせるとカバーできる範囲が左右に広く、肩キャノンやミサイルは準備に時間がかかるが想定される加速方向へ補正できるので動き出した後も追撃しやすい。脚部ジャンプによる離脱や対四脚戦では事前に頭上を取ると追撃やその後の戦術展開に有利になる。

 先行武器によって相手の行動を抑制あるいはコントロールする方法も効果的で、実践的には撃墜硬直や衝撃方向のコントロールはそう簡単ではなく地形などの影響もあるので連携バリエーションは多いほうがいい。例えば通常予測武器は狭角状態か切り返し運動を引き出せないと狙撃は難しく、同様に片側方向への移動目標に有利な武器腕の平行射撃先行位置や、単一運動への狙撃に適したキャノンやロケットなど、特化的な武器種の多くは目標を回避運動に制約できれば相乗的に戦力を発揮しうる。特に着弾までに時間的余裕が大きい連携用ミサイルを起点にすれば衝撃連携も警戒して回避運動に追い込みやすく、ミサイルと連携狙撃を個別に回避している余裕は少ないためポジショニングにも有利に展開しやすい。そして追撃用の武器特性によってはミサイルをブーストで振り切るのも切り返し回避でも地形や地面に衝突して消滅させる方法でも攻撃チャンスになり、空中の回避運動中も撃墜硬直のリスクがあれば自由落下を利用しづらくE管理も逼迫させやすい。他にも機雷は戦術バリエーションが多く、キャノン(やロケット)はリロード中でなければ収納動作も切り替え後の武器の障害にはならないので展開しているだけで単一運動へのプレッシャーになり、武器腕や両肩キャノンは持っているだけでもかなり行動パターンを抑制できる。肩武器を撃ち切っている場合は腕武装だけでも角度基準の手動補正射撃と座標基準の後退する予測射撃の違いを利用してプレッシャーをかけて撃ち分けることも不可能ではない。


<<連射衝撃による固めと固め抜け>>

 ACの挙動や運動性能は被弾衝撃によって大きく阻害されるので攻守にわたって戦術的な価値が高いが、特に連射衝撃による固めと固め抜けに関しては多岐にわたる仕様や要素が複雑に絡み合いその結果の1fの差が勝負の行方を左右しかねないため検証できた範囲で詳しく解説する。安定性と被弾硬直の関係については被弾安定マニアック編を参照してほしい。

※このトピックはレポート改訂時に追加した内容です。修正前は水平射撃で跳ね上げ(垂直上向きの加速度)発生が再現する条件があることに気づかずに検証していたため重大な間違いがあり、再調査・検証した結果をもとに関連する記事を修正いたしました。以下は基本的にメモリのデータ推移を監視しながら調査・検証した結果をまとめたものですが、この要素のキモになる脚部動作は予定動作(単f入力で複f間の別動作を行う)として処理されデータを追えなかったので原因が特定できていない現象や変動要素が多いままです。ことが1f勝負の内容だけに他にも影響する要素が絡んで完全に再現しない可能性があることをご了承下さい。また特に脚部予備動作はPP以前とは異なる可能性が高いと思われます。

○最短脱出時間と固め抜け境界

 ACは地上で被弾衝撃を受けると硬直をおこし、硬直解除後に脚部予備動作を経て移動を開始する。そして地上で衝撃を受け続ける限りこれをループするため連射衝撃に対してはできるだけ迅速に空中へ脱出することが望ましい。具体的には「被弾間隔≧硬直時間+脚部予備動作+空中移行動作」の条件で空中への脱出に成功し、被弾間隔よりも右辺が確実に長くなる条件では完全に固まって脱出が不可能になる。しかしアセンあるいは操作や戦術によって1f単位で変化する要素が絡む。詳しくは順を追って以下に解説するが要約すると次の通り。
・被弾間隔:相対的な位置関係により−1〜+1f。
・硬直時間:機体安定性と衝撃値の組み合わせで+1〜+5f、加えて不確定要素とその発生抑制操作により+1〜+0f。
・脚部予備動作:二脚系(移動予備動作)アセン次第で4fか5f、ただし操作方向により+1〜+5fが余分に発生。四脚は脚部ジャンプに7f。
・空中移行動作(二脚系):ブースト発動+ダッシュジャンプ発動に3f〜(操作次第)。

 空中への最短脱出時間は硬直時間+7f(アセン次第で8f)になる。理想的な内訳は二脚系が「予備動作4f(アセン次第で5f)+ブースト1f+ダッシュジャンプ2f」で、四脚が「脚部ジャンプ予備動作7f」。硬直時間は衝撃強度と安定性による軽減で1〜5f。この最短時間以上の被弾間隔であれば固めの境界を超えて脱出可能になる。そして1f単位で変動する操作や戦術的な要素が成否の鍵を握る。ただしジャンプ発動が成功してもジャンプ加速度が下向きの衝撃加速に負けた場合は離陸に失敗することがある。

○発射間隔と着弾間隔

 発射間隔と着弾間隔は必ずしも一致しない。発射間隔は武器によって一定(自動連射で原則としてリロード+1)になるが、弾の判定は現fと前fの座標を結ぶ直線でその弾速分の線判定がfごとに段階的に移動する仕様になっているため、機体同士の相対距離が射撃間に弾速の倍数境界をまたいで接近すると着弾間隔が1f分短くなり、逆に境界をまたいで遠ざかると着弾間隔が1f長くなる。例えば発射後3fで着弾する相対距離と2fで着弾する相対距離の境界を前後すると1f分着弾間隔が前後する。そして着弾間隔が短くなれば脱出境界が1fシビアになるため脱出しにくくなり、逆に長くなれば脱出しやすくなる。
 実戦的には発射間隔中に弾速以上の距離を接近できる条件では必ず着弾間隔が1f短縮され、連射しながら接近すると相対距離が弾速境界をまたいだ前後の射撃の着弾間隔が短縮される。例えば弾速“800”はブーストしながら7〜11fで移動できる距離なので連射しながら接近すればかなりの頻度で短縮が起こりうる。したがって攻撃側の観点からは連射衝撃を起点とする場合は可能な限り接近しながら射撃するとより効率がいい。このため連射衝撃はブレード連携や近距離適性の高い武器と非常に相性が良く、引く側よりも押す側の戦術に適した性質といえる。

 一方で防御側の観点からは相対距離を引き離せれば被弾間隔を広げられるが、連続被弾中はほぼ攻撃側が主導権を握るため回避できない場合はできるだけ被弾初期に対処する必要がある。まず衝撃加速度を利用して距離を離せる方向へのブースト・ダッシュジャンプを優先し、できれば火力や衝撃武器を盾に相手の接近を制限することで被弾間隔の短縮を防ぎあわよくばそれ広げて脱出のチャンスを作りだす。このため後退方向へのブースト予備動作が短いアセンでは対応力が高く、それができないアセンでは後退ブースト発動は実用できないので被弾する方向に注意して位置取りをする必要がある。ただし後退が使えないアセンでもより正面に近い方向からの連続被弾が危険なので前方に広く火力を持っていれば弾幕を壁にしやすい。逆に急接近を阻む手段がない場合や遠ざかれない条件では脱出境界に十分な余裕がないと被弾した時点で斬撃や固めが確定しかねないため、固め切りの有効距離まで接近を許さないあるいは被弾時に不用意な方向へのブースト操作や地形に引っかからないように注意しなくてはならない。

○地上被弾硬直と不確定要素

※原理や発生条件が不明な現象です(バグ?)。固め抜けが1fに左右されるので参考として観測される現象を紹介します。

 被弾硬直時間は安定性と衝撃の兼ね合いによる1〜5fで決定されるが、地上で硬直した場合に限り実質的に1f余分に硬直が長引くことがある。しかしこの現象はその状況から判断して意図した仕様によるものではない可能性があり、発生原理が不明で確たる再現条件も対策方法もはっきりしない。関連性は不明だが被弾硬直処理のメモリ推移を見ると被弾硬直カウントに対して脚部動作カウント(この場合ノックバック動作)が1f余分にカウントされることがあり次動作へのカウント移行が1f遅れている。
 この現象はアセンと硬直時間の組み合わせで発生するパターン(以下、発現パターン)と全く発生しないパターン(以下、非発現パターン)があり、発現パターンでも操作や被弾条件などで発生頻度をコントロールできる場合がある。同じ硬直時間では衝撃値によっても若干左右されるが衝撃の高さとは関連性が無いか薄く、脚部カテゴリやパーツの組み合わせとも相関性を見出せない。しかし同じアセンや衝撃などの条件を満たすとこの現象の発生や抑制操作の効果もほぼ再現する。まったく原因が特定できないていないため未確認の要素や別の条件が絡んでいる可能性もあり、またしても筆者の見落としで的を外している可能性も否定できないのでアシカラズ。

 参考までに、硬直時間(とアセンの組み合わせ)による発現パターンの出現率と、発現パターンになった場合の現象の発生頻度のおおまかな傾向をまとめたものが以下の通り。非発現パターンではまったく発生しない。アセンの作用はおそらく機体安定性がメインと思われるが脚部カテゴリやパーツの組み合わせでも変化することがあり一貫性がなくつかみどころがない。
硬直時間1:発現パターン無し。調査した範囲では発生するアセンは発見できず。
硬直時間2:ほとんどのアセンが発現パターン。発現パターンの場合には発生頻度が極めて高く、抑制操作の効果は薄いアセンが多く完全発生してしまう場合も。ごく稀に非発現パターンがあるようだがほとんど発現パターンと考えていい程度。
硬直時間3:発現パターンほぼ無し。ごく稀に発現パターンがあるがほとんどのアセンが非発現パターンと見ていい程度。
硬直時間4:発現パターン率高。ときどき非発現パターンのアセンあり。発現パターンでの発生頻度は高く、抑制操作はそれなりに効くが条件次第で完全発生してしまうアセンもあり。
硬直時間5:発現パターン率小。ときどき発現パターンのアセンあり。発現パターンでも地形にかからなければ抑制操作でほぼ回避できる程度。

 参考までに発現パターンになった場合の発生頻度に関わると思われる要素。ただしいずれも統計調査での全体傾向で個別には必ずしも一致しない。
・発現パターンになる可能性の高い硬直時間ほど発現パターンだった場合の発生頻度が高め(つまり発生頻度は硬直時間2>4>>5>3>1)。
・射撃点から離れる方向への操作で発生頻度が低下、接近する方向(アゲインスト)への操作で発生頻度が高く、広角方向へは中間程度。
・安定性が高いほど抑制操作が効く場合が多い。
・脚部などの(おそらく歩行動作に関わる)アセンは抑制操作の効果に影響しやすい。
・地形等に押し付けられると発生頻度が高くなるあるいは完全発生して抑制できない場合がある。

 単純には硬直が1f延長される不確定要素があり、主に硬直2と4の条件で硬直+1fになりやすく、発射点に近づく方向への操作はリスクが高く、離れる方向への操作で抑制しやすいが完全に防ぐ手段はない。アセンが同じなら硬直時間で発現パターンが分かれるので特定の武器に対する固めが懸念される戦術・機体ではアセン時の安定性の優先度など気に留めておいた方が良さそうだが、この現象への対策になる抑制操作やポジショニングは他の要素でも効果的で競合しにくく、固め抜けの基本原則に従えば影響は低減できると思われる。参考までに、発生頻度の高い硬直4fは脱出境界になる該当武器がリロード10前後になるので被る条件が少なくそれなりに抑制操作が効くが、脱出境界に近い条件ではこの1f差は無視できないので特に地形接触には注意した方がいい。そして硬直2fが脱出境界になる該当武器はリロード8前後とまさに分水嶺の真っただ中にあるが、発生率が非常に高く抑制操作もやや効きにくいアセンが多いためアゲインスト方向への操作や地形に押し付けられるとほぼ完全発生して実質硬直が3fになってしまうアセンも少なくない。また他の硬直時間でも発現パターンになる可能性はあり、脱出境界に近い組み合わせでは抑制操作が固め抜けの成否を分ける場合があり、地形接触すると抑制しにくくなることがある。

○アセンと操作方向による予備動作

 被弾硬直は解除された瞬間に地上停止扱い(座標が移動していても)になり脚部予備動作を介して次動作へ移行する。この移動予備動作の長さはアセンごとに特定方向への操作で変化する。またこれは地上停止状態からの移動予備動作なので他に開幕・着地硬直・地上ブレーキング終了・地上ブレード終了・キャノン構え解除などと共通するが、軟着地時の脚部予備動作(着地硬直を起こさない着地時の動作、凪の要因)とは共通しない。

 この脚部予備動作の最短時間は4f、アセンや操作方向によってこれが延長される組み合わせがある。そして脱出には最短でブースト発動(1f)とダッシュジャンプ操作・発動(2f)を要する。以下は各脚部アセンごとに最短でダッシュジャンプを発動できる操作方向と最短発動時間。ただし全てのアセンで調査したわけではなく例外がある可能性は否定できない。なお重腕部は3001と1A46Jの2種、標準腕部はこの2種とK1を除く通常腕部、標準コアはCAコアとS0コアとD0コアの3種をさす。

軽量二脚:最短で硬直時間+7f、通常腕部で前面と左右と左後ろ(真後ろと右後ろ以外)、武器腕では右後ろのみ。
中量二脚:最短で硬直時間+7f、通常腕部は前面と左右(全後方以外)、武器腕では右後ろのみ。
重量二脚:通常腕部では最短で硬直時間+8f、前面と左右(全後方以外)。武器腕では最短で硬直時間+7f、前面と左右と左後ろ(真後ろと右後ろ以外)。
逆関節二脚:通常腕部では最短で硬直時間+7f、標準腕部&標準コアおよびK1&全コアで前面と左右と左後ろ(真後ろと右後ろ以外)、標準腕部&CHコアおよび重腕部&CLコアで右後ろ以外、重腕部&標準コアで全方向(!)、重腕部&CHコアで真後ろ以外。武器腕(CHコア以外)は前面と左右、武器腕&CHコアは左右と右前。
四脚:硬直時間+7fで固定、脚部ジャンプなため方向無関係。

 参考までに、以下は脚部予備動作の最短時間4fに対してアセンと操作方向によって動作が延長される時間。延長される方向への操作での脱出は格段にシビアもしくは不可能になる。ただし+1f程度でブースト発動可能なら状況次第では十分実用できる。
軽量二脚:通常腕部では真後ろと右後ろに+4f。武器腕は左右と前方全て+1fおよび真後ろと左後ろに+4f。
中量二脚:通常腕部では後方全て+4f。武器腕は左右と前方全て+1fおよび真後ろと左後ろに+4f。
重量二脚:前方全てと左右に+1fおよび後方全て+5f、武器腕では真後ろと右後ろに+4f。
逆関節二脚:標準腕部(K1を除く)CHコア以外で真後ろと右後ろに+4f、標準腕部(K1を除く)CHコアで右後ろに+4f、K1(全コア)で真後ろと右後ろに+4f、重腕部CHコアで真後ろに+4f、重腕部CLコアで右後ろに+4f、武器腕(CHコア以外)で右後ろに+1fおよび真後ろ左後ろに+4f、武器腕CHコアで右後ろに+1f及び正面と左前に+2f及び真後ろと左後ろに+4f。

 固め抜けに最短時間でダッシュジャンプを発動するためにアセンに最適化した有利な方向へ操作する必要があるが、固め抜けに関わる要素はいずれも目標から遠ざかる方向への操作が有効なため、後退方向への操作でも最短脱出時間でダッシュジャンプできるアセンは捕まりにくく脱出チャンスも生みやすいため時に硬直時間の低減以上の特性に匹敵しうる。
 余談だが脚部予備動作が長くなる条件ではブレード発動時にも同様の予備動作が干渉を起こすため地上ブレードを連続発動することでその有無を判断できる。

○水平射撃と跳ね上げ再着地

※レポート改訂前はこの跳ね上げ&再着地が再現していることに気づかずに検証を進めてしまい(射撃側を地上の四脚にしていたため二脚系に対して跳ね上げ&再着地で硬直解除する条件が高頻度で再現)、二脚系が地上で被弾硬直時間を歩行動作で解除する旨の解説と各脚部カテゴリの衝撃耐性を評価して、かなり的外れな考察をEX編などで垂れ流してしまった経緯があります。その頃に読んでいただいた方には大変申し訳ないですが、詳しく再調査・検証した結果から記事を修正・加筆させていただいたことをお伝えいたします。

 地上同士の水平射撃や下側からの射撃では被弾衝撃で跳ね上げられる条件があり、空中で被弾硬直を解除できない場合か硬直中の落下加速度を上昇ブーストで解消できない場合は再着地する。このため跳ね上がっている間に硬直を解除して上昇できる条件ではその瞬間に固めから抜けることができるので、硬直1fまで低減していれば跳ね上がった瞬間にほぼ確実に脱出できる。逆に再着地する条件では、着地時に被弾硬直を解除し軟着地動作を経由してブースト発動できるため無効化以外の安定性は影響しない。この場合では衝撃加速度の大きさとその上向きのベクトルによって再着地までの時間が変化し、脚部カテゴリによって軟着地からブースト発動までの時間や初速が異なる。なお軟着地動作は被弾硬直(停止状態)からの移動予備動作とは共通しないが、ブースト発動はアセンや操作方向で若干変化する(多くは後方が遅くなる。ならないアセンもあるが固め抜けにはあまり影響しない、凪も可)。このため跳ね上げが発生した場合の固め抜け条件は安定性で硬直を十分短くしていること(できれば1f)、再着地した場合の固め抜け条件は脚部カテゴリごとの歩行性能と操作方向に依存し安定性は関係ないが脚部カテゴリによっては地上硬直より状況が悪化する場合がある。なお実践的には跳ね上げの発生条件はほぼ攻撃側の操作による。

 以下参考までに、跳ね上げの発生条件は上向きの衝撃ベクトルが発生すること。まず射撃目標は被弾判定サイズの中心の高さ、二脚系112、中量二脚106、四脚68、拡散武器を除いてこれより下側からの射撃で跳ね上げが発生し上側からの射撃では発生しない。また高度差があると接近するほど下向きあるいは上向きの角度が大きくなる。そしておおまかに地上での射撃点の高さを調査したところ右腕武器は二脚系の静止状態で160前後で歩行中はサイクルに合わせて若干上下し、ブースト中は歩行に比べ30前後(重二は10前後)低い位置に、歩行・ブーストともに左移動で高く右移動で低くなるが逆関節は移動方向の変化はほぼなし、射撃点が最も高いのは軽量二脚の左歩行時で170強。四脚は静止時140前後で移動中は100前後、タンクは静止時・移動時ともに110前後。武器腕では通常腕部より50前後低い位置になる。肩キャノンは軽二と中二とタンクが120〜130前後、重二と逆関が150前後、四脚は静止時150前後で移動時120前後。
 拡散ハンドガンが水平射撃で跳ね上げる条件をおおまかに調査したところ、機体中心よりも射撃点が高い場合でも発生する条件があり、逆に射撃側が空中にいる場合など十分高度差があると発生しない。射撃点の方が高い場合の跳ね上げ発生条件は主に1〜2発命中時で高度差が小さいほど発生しやすくなり、稀に全弾分の衝撃ベクトルが上向きにような拡散も発生するようだが高度差がかなり小さくないと跳ね上げない。結果としてごく至近距離の特に全弾命中時は射撃点の方が低い場合を除いてほぼ跳ね上げは発生せず、全弾命中しづらい距離では発生しやすくなり、空中からの射撃ほど高度差があるとまず発生しない。また衝撃加速ベクトルは被弾時の機体速度も反映されるためか移動していると跳ね上げられる可能性もあるが詳しい条件は分からない。

○二脚系の固め抜け

 固め抜けにはまず被弾硬直時間が対象武器の脱出境界に達しうる条件を満たしていなくてはならない。連射衝撃からの脱出のための条件を単純化すると、最短脱出時間は硬直時間+7f、通常腕部の重量二脚のみ硬直時間+8fになる。そしてこれが脱出境界になるので「着弾間隔≧硬直時間+7f(重二は8f)」の条件で固め抜けが可能になる。ただし戦術的には相対距離の変化による着弾間隔の変動と、硬直時間の延長現象が加わることがあるためこれに1〜2f程度の余裕をもって安全圏といえる。そして被弾間隔の短縮を抑制ないし伸長するための操作と被弾硬直の延長現象の抑制操作はどちらも射撃点から遠ざかる方向への操作になり、このため後退方向を含む操作でも最短でブースト発動が可能なアセンではより捕まりにくく固め抜けやすくなる。また戦術的に火力や衝撃を壁にしてこれらの要素を有利に展開できればなおベターだ。

 ただし敵の射撃から遠ざかる方向への操作はあくまでも条件を緩和あるいは悪化を防いで固め抜け(空中への脱出)の成功率を高めるためのもので、これは実質的に狭角条件になるので続弾の被弾リスク自体は高まる。つまり固め抜け条件の安全圏にある機体や、もともと脱出境界に達し得ない機体には同操作はむしろリスクが高まるので、続弾を回避・振り切ることを目的とする場合は広角方向への脱出操作を優先した方がいい。ただし散弾などの武器特性によっても異なる。また脱出境界付近のアセンでも被弾時に十分な慣性や歩行速度あるいは有効距離があれば衝撃加速や運動性能で振り切れる場合があり、特定操作に固執すると状況が悪化しかねないのでケースバイケースで使い分けたほうがいい。そして固め抜けが可能でも連射衝撃は無効化しないかぎり多大な機動力の阻害になるので可能なら無効化した方がいいだろう。

 固め抜け操作について、まず脱出に適した方向でかつ最短でブースト発動可能な方向を選ぶ必要があり、特にアセンによってブースト発動に時間がかかる操作方向へは実質不可能になるので注意(連続地上ブレードすら脱出困難)。そしてできるだけスムーズにダッシュジャンプするには連射するのが現実的な方法だ。入力継続タイプの動作は安定して次の動作に移行するが、ブースト中に入力解除&再入力操作を必要とするダッシュジャンプは狙ってf単位で操作するのはまず不可能なので連射するしかなくタイミングがずれて発動が遅れことがあるのはやむを得ない。ただし被弾初期や中距離以上では被弾による加減速や機体を振って予測射撃を散らす余裕が残っていたりするので固まる前にすかさず方向を選んで連射できるかは重要かもしれない。

 連射衝撃武器について、具体的に二脚系はリロード6以下の武器は衝撃を無効化するか自爆武器を用意しない限り自力脱出は不可能になる。対象はHG235(リロード5・衝撃3)、LN350(リロード5・衝撃3)、オプション付きSPGUN(リロード5・衝撃2)。この他に硬直時間次第で固まる可能性のある武器はHG770(リロード7・衝撃1)、HG512(リロード8・衝撃4)、RF/5(リロード10・衝撃7)。そして特にHG1(リロード8・衝撃10)からの脱出境界となる硬直時間は2f以下、通常腕部重量二脚は1f以下で単純な固め殺しからは脱出可能になるが、硬直2fは被弾硬直延長パターンになりやすい。そして急接近で被弾間隔が1f短縮さる可能性が高いため、HG1からの実質的な固め抜けの安全圏は1f以下になり、通常腕部の重量二脚は0f以下になるので達し得ない。これらを満たすことができる脚部は軽量二脚の2KZ−SP、逆関節4401と4403とH230及びS3以外の武器腕重量二脚になる。ついでにS50ロケット(リロード8・衝撃19)から脱出可能な二脚系機体は存在しない、が多分固め続けられる人も存在しない。

 余談だが、完全に固まって二進も三進もいかなくなったら最後の手段としてはキャノンを構えるという手がないこともない。二脚系限定だが構え時は判定サイズがだいぶ縮小して散弾の被弾率が低減し、かなり接近しないと全弾命中は難しくなるので耐久力に余裕があれば単純な固め殺しからは生き残れる可能性はある(特に水位が高い水上基地は有効)。ついでに構え中は被弾衝撃に関係なく旋回できるので状況や地形次第ではキャノンの猛火力で反撃するチャンスもあるかもしれない。また自爆武器が湿気る地形でも水深によっては構え姿勢から右腕武器へ切り替え&発射で自爆抜け可能なアセンもある。なお固め斬りに対しても肩キャノンを構えると瞬間的(構え・構え解除ともにサイト切り替わった時点で変化)に被弾高が低くなり、直後に構えキャンセルすれば最短10f弱の硬直(旋回はできる)ですむのでブレード被弾の瞬間を狙って多重ヒットの確率の低減をはかる手もある(しゃがみガード)。ただししゃがみガードはあくまで回避困難な状況での最終手段で相手の目前で足を止めざるを得ないため斬撃を軽減あるいは回避できても直後のリスクは格段に高まり、また攻撃側の脚部カテゴリによっても有効性が異なる。またなぜか軽量二脚はK1腕部に右肩キャノン構えで被弾判定高が変化しない(変化しない場合はカメラが動かないので判別可能)。

○四脚の固め抜け

 四脚の最短脚部ジャンプ発動は硬直時間+7fで安定。ただし二脚系と異なり四脚には特殊な要素と制約がありこれが不利に働きやすい。四脚・タンクは被弾硬直中に着地すると8fの特殊接地硬直を起こすため上昇速度の遅いホバージャンプはリスクが高く、脱出境界に達している場合は安定する脚部ジャンプによる脱出を優先させたほうがいい。脚部ジャンプはダッシュジャンプとは異なり入力を継続するだけで発動するため原理的には境界を超えた瞬間に脱出に成功する。しかし硬直解除時は動いていても地上停止扱いなためブースト操作をしていると脚部ジャンプが優先されて急停止してしまい後退とは両立できず、逆に被弾しながら後退を優先させていると再被弾かブレーキングが終了するまで脚部ジャンプができない。つまり脚部ジャンプで脱出するために着弾間隔の短縮を防ぐあるいは広げることを狙って後退することはできず、不確定要素の硬直延長の抑制操作も難しく(両立しない?)地形接触するとほぼ完全再現する状態に陥りかねない。このため四脚は脱出境界を有利な方向へ傾けることができず、逆に不利な要素を攻撃側に一方的に握られやすい。そして脚部ジャンプでの脱出条件は比較的はっきりしているので、これが不利であれば後退に切り替えてホバージャンプを成功させるしかない。

 ホバージャンプは脚部ジャンプよりも短い時間で発動可能だが、被弾硬直中にブースト操作を開始すると脚部ジャンプが優先されて急停止してしまうので、ホバージャンプのためには被弾硬直中ではない時に操作しなくてはならず硬直時間が長いほどシビアになり成功率が低下する。そして地上走行・ホバーとも二脚系のような瞬間加速度を持たないのでホバーが成功しても直後の低空で再被弾の可能性が高く衝撃加速方向や硬直時間次第で再着地してしまい、特殊接地硬直を起こす危険が高い。特に下向きに衝撃加速を受けるとより危険度が増すが、四脚は全高が低いため対二脚戦では地上からの水平射撃でも接近すると下向きの衝撃加速が発生しやすい。逆に拡散ハンドガンや斜面の下側からあるいは地上スレスレ武器腕などで跳ね上げ&特殊接地硬直ループが発生すると後退どころか旋回すら出来なくなり、当たりどころが悪いと自爆武器の爆風衝撃でも再現する。このため四脚にとって無効化できない衝撃武器はリロードより衝撃強度(硬直時間と衝撃加速度)の影響が大きい。

 したがって脚部ジャンプが可能かを判断し、難しい場合は後退しつづけられる性質を活用して地上性能とホバー加速で予測射撃を散らせるだけの距離まで広げ、慣性を利用して続弾を振り切るか離陸後の被弾で衝撃加速をできるだけ上向きにする必要がある。またホバージャンプ時に前方へ2f間自動加速するので横移動よりも前方への脱出で振り切る方が成功率が高い。よって意図しない特殊接地硬直と脚部ジャンプ動作による急停止はできるだけ避けなくてはならず、必然的に後方の空間的余裕と距離をとるためのサポート手段が要求される。一方で四脚は硬直時間を1fまで軽減できていれば跳ね上げや撃墜による特殊接地硬直をほぼ抑えられ、かつホバー操作を成功させやすいので二脚系では無効化しない限り脱出不可能な武器でも脱出しうる。そして元々脱出できない条件でもある程度コントロールしながら後退し続けることができるためポジショニングや反撃のチャンスを見出しうるという点では二脚系に比べて有利ともいえる。

 以上のように四脚は被弾衝撃がやや不利に作用する要素が多いが、肩キャノンを装備している場合に限り発射反動で通常7fの脚部予備動作を無視してジャンプを発動する方法がある。厳密にはこれはバグによる現象で、脚部ジャンプの予備動作中にキャノン発射反動が発生するとその直後に予備動作と発射反動を無視して地上扱いのまま飛び上がる。これには発射時に脚部予備動作を既に開始していることが条件で、発射反動が予備動作に先行した場合はホバージャンプに切り替わる。しかし四脚は十分な距離が無いとホバーでの脱出は実用できないため、脚部ジャンプ短縮で固め抜けを狙う場合は脚部予備動作中に発射しなくてはならない。つまり硬直解除後に予備動作開始と発射・ジャンプ発動までの時間的余裕が必要で、おそらく最短脱出時間は被弾硬直+4f程度になる。そして被弾硬直中(と予備動作開始前)に発射してしまうと失敗するのでタイミングに合わせて発射できるように被弾硬直時間は短いほどいい。正規の脚部ジャンプに比べて僅かな短縮だが硬直時間の低減と組み合わせると実質全ての連射衝撃から固め抜けが可能になる。なお全ての肩キャノンが発射反動を持つので、反動が無いように見えるキャノンでも可能。そして成功率は操作次第でやや不確実なのでリロードが短く弾数が多いキャノンの方が利用しやすい。
 余談だが、これを利用すると残弾の限り脚部ジャンプを短縮できるため地上停止時の垂直回避やチャージング時の隙軽減なども可能で、垂直軟着地時も直後に再ジャンプできる。バグではあるが四脚はもともと脚部ジャンプが短く空中発射不可やアセン的な制約もあり、実践的な用途もHG1の固め抜け用+α程度で少なくともバランスを崩すようなバグではなくむしろ肯定的に作用すると考えていいと思われる。


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