射撃の縦アングルによる判定について

このレポートは経津さんより頂いたテキストと画像を基にかんぴょ〜が作成しました。元々はこちら宛の私信的なテキストであったので、若干の修正や追記などを行っています。

な〜んとなく思い付いてテキトーに試して書いていた「垂直方向で軸避けをしようとすると水平方向とは違うおかしな結果になる」ということを調べていただいた結果、このようなを導き出してもらいました。


<はじめに>

ACには全高・半径で設定されている円柱状の被弾判定サイズとは別に垂直アングルをつけて射撃するとその円柱を縦に伸ばしたような判定を発生させることがあります。この現象をとりあえず”ベクトル固有判定”と表現します(ちなみに経津さんとのメールのやり取りでは”上下判定”、”垂直判定”、”縦判定”という言葉を使っていました)

なお、描画ベースの観察がメインで詳しい解析を行っていないため、推測による部分が多く含まれていることをご了承下さい。


<被弾判定サイズの原則>

ACの当たり判定には弾に対する判定の”被弾判定サイズ”、地形やAC同士などに対する”機体実サイズ”の2種類があります。

機体被弾判定サイズは全高・半径で設定される円柱状の判定になっています(以下、機体円柱と表現)。基準座標からの距離で接触を判定し、領域内への侵入や領域同士の重複を取得します。今回の件で重要なのはこちら。

もう一つ、被弾判定には関係ない機体実サイズは地形と同様のブロック型オブジェクト。6面体の表面同士の接触を判定しますが、この直方体は方位固定で旋回できずオブジェクト内へ侵入したものは取得できません。こちらは今回の件には関係無し。

機体への攻撃判定は前者の被弾判定サイズである機体円柱のみが対象となります。これは構え姿勢などの例外を除いて常に一定で変化せず、原則としてあらゆる攻撃判定を受け付けます。つまりバグ等を除いてどんな状況でも被弾判定サイズへの攻撃は常に有効です。以降、ベクトル固有判定との混乱を避けるためにこの原則が重要になります(パッと見では被弾判定サイズに当たった場合とベクトル固有判定のどちらであるか区別が難しいケースがあるため)

以下の画像は軽二と四脚の機体円柱判定を視覚化し、水平、45度、垂直でそれぞれ撮影したものです(12方向になっているのはノーロックで16方向から撃っても当たらない向きがあるため)。水平に発射した弾が命中する判定範囲の輪郭にそって着弾エフェクトを固定しました。エフェクトサイズ分は余計なので実際の機体円柱はこのイメージより小さくなります。

※もしかするといきなり座標や判定の話もしてもわけがわからないと思われる可能性もあるので、ここで前段階の話として書いておく?


<ベクトル固有判定>

上下角度を付けて射撃すると機体円柱が縦に伸びたような判定を発生させる現象が起こります(見た目上は何も無いACの頭上や足下の空間に着弾する)

この長さは弾速ベクトルのz軸成分に依存します(x軸=南北方向、y軸=東西方向、z軸=上下方向)。弾速は発射方向に応じてx・y・z軸の3軸に分配されるため、完全な水平方向に対して射撃する場合以外はz軸成分を持つようになります。つまり角度が深いほど、弾速が大きいほど縦に伸びる割合が大きくなります。また、この長さは位置関係によって大きく振幅します(位置関係が同じ場合、ロック中に上下角度だけを変えてもこの長さは変化しない)

したがって機体円柱判定は特定の判定領域として不変のもの、ベクトル固有判定は変動し消失することもある曖昧な現象、となります。これらは処理的にも実践的にもまったく別のものであることに注意が必要です。

以下の画像は目標固定・射撃角度固定・自機x軸固定として自機をzy平面で移動させながら発射した弾が命中と判定された範囲の輪郭を視覚化したイメージです。

また弾速のz軸成分を持たない武器(ブレード、地形ダメージ)や領域判定型の武器(肩グレネードキャノン、浮遊機雷、爆風)は無関係で、これらは機体円柱にしかエンカウントしません。また、ベクトル固有判定は機体から縦のみに判定が逸脱する現象であり、水平判定に対しては一切影響しません。


(1)ベクトル固有判定の影響要素とそのアルゴリズム(仮説)

確認されている影響要素は以下の3つです。

・射撃の垂直アングル
・弾速
・射撃点(おそらく各fの弾速ベクトルの起点座標)と機体円柱との位置関係

(画像)

PSACでは各弾に1fあたりの移動距離(弾速パラメーター)が設定されており、発射すると弾速はxyz軸速度に分配したベクトルとして扱われ、この1f分の弾速ベクトルの移動距離線が当たり判定(いわゆる線判定)になります。上記画像の左上図を参照。

そしてACとの判定はxy軸の2次元平面とz軸の1次元距離を別々に処理していて、まず2次元(xy)平面でエンカウントを判定します。具体的にはACの機体被弾半径の2次元円と弾速のxyベクトルがそのfで接触する座標を取得、これは2+1次元空間的には高さの概念がない垂直に無限に伸びた円柱になります(画像右図、以降は無限円柱と表現)。似たような処理にブレホがあり、それもxy座標同士を半径(円領域)基準で接近反発させる高さに無関係のアルゴリズムを持ちます。

ここから(図右下)は仮説になりますが、残った1次元(z軸)の処理として「無限円柱との接触座標から機体までの垂直距離」「弾速z軸成分」を何らかの条件で比較してエンカウントが有効か無効かを判定し、有効な場合は無限円柱の接触点に判定エフェクトを表示するという処理をしているようです。 このために機体円柱上面に判定が発生することはなく無限円柱表面でそれを代替していることになります。が、この最後の1次元処理の段階で大きな誤差を発生させ、これがベクトル固有判定を引き起こしていると推測しています。またベクトル固有判定は機体上下に発生します(絶対値で扱っている?)

<余談>

恐らくこの処理と同様の処理をしているのがロックオンで、上下に角度を付けると通常よりもロックオン距離が伸びるという仕様に覚えがあるのではないかと思います。ロック距離は弾速とは違ってxyz軸ごとに分配されず、水平距離はロック距離で固定、z軸のみ上下角度で変動するという形式になっているので斜め45度方向、ロック距離の√2倍の距離にまでロック距離が伸びているのではないかと推測されます(ロック距離は機体を右側から見た場合、コの字のような変化をしている)。そのため、本来ならロック範囲は球形になるはずが、実際は円柱状になっています。


○ベクトル固有判定の変動

■補足を追記

さらにこの判定現象には位置関係が揺らぎとして大きく影響することが分かっています。これについてPSACの仕様といくつかの調査結果から考えて、弾速z軸成分とは「そのフレームの弾速ベクトルの起点座標から無限円柱との接触座標までのz軸ベクトル成分の残渣(そのfで判定までに消費されずに残ったz軸成分)」の可能性がありそうです。このせいで互いの位置関係でベクトル固有判定が変化・消失すると推測していますが、実践的には座標の位置関係はまず制御できないのでベクトル固有判定は機体円柱判定プラス0〜弾速z軸成分の範囲でランダムに変動すると考えていいと思います。

以上が現在確認されている3つの影響要素と判定変動との関係を満たすアルゴリズムの仮説ですが、あくまで一つの仮説で検証による特定はしていません。またこれだけでは上下のベクトル固有判定が非対称に大きく揺らぐことの説明ができないので、見落としがあるか間違っている可能性も十分あります。いずれにしろものすごく奇妙なアルゴリズムのようですが、そもそも2+1次元でも誤差を抑える処理は難しくないと思うのでひょっとしたらこれは空中ブレホのような救済措置的な仕様なのかもしれません。


それはともかく実践的な変化や影響を予想する上で因果関係にあるアルゴリズムの解釈は有用かと思い説明しました。


○ベクトル固有判定の性質

このようにベクトル固有判定は空間概念から切り離されていて、そのfの弾ベクトルごとに独立して有効なエンカウントかどうかが判定されているのは間違いなさそうです。したがってこれは機体判定が伸びた命中範囲になるような現象ではなく、弾ごとに有効な判定が別々に機体から逸脱すると解釈するのが正しいと思います。

例えば目標機体に対して同じ座標を通過した弾でも射撃角度や弾速によって命中するかは異なり、もしまったく同じ弾速・角度の弾が同じ座標を通過したとしてもベクトル起点の違いで命中したりしなかったりするわけです。
また判定の逸脱は地形に遮蔽されないのでベクトル固有判定も地形とは無関係に発生します。以下は足元の橋を隔てたベクトル固有判定をEスナで狙撃している図です。

まとめると目標への命中判定の見かけの性質は以下のようになります。

・機体円柱判定は不変の判定領域を形成する。
・射撃の垂直アングルと弾速に比例してベクトル固有判定の逸脱が大きくなる。
・ベクトル固有判定は位置関係によって0〜弾速(z軸成分)の範囲で変動する。
・横判定にはいっさい影響しない。


○弾の判定に縦幅がある可能性

弾そのものの判定が縦に変動する可能性について、地形ブロックオブジェクト(箱形の表面のみに接触判定を持つオブジェクト)に対してはベクトル固有判定を発生せず、機体以外の地形領域オブジェクト(地底湖の鍾乳石など円柱領域判定を持つオブジェクト)にも発生させないことは確認しました。したがって弾の線判定が縦に変化している可能性は低いと考えられます。


○ベクトル固有判定の観察

ベクトル固有判定は1発づつ別々に判定しているので特定の判定形状やエリアを持ちません。というわけでここに掲載しているキャプチャ画像は一つずつ命中と判定された結果的な個別判定の集合体であり、この範囲なら命中するという判定範囲を視覚化することができません。しかしイメージとして視覚化を試みるには撮影点を射撃点のできるだけ近くに固定することが必要条件になります。ベクトル固有判定はあくまでその弾道から見た有効な判定なので、射撃点から撮影点が離れるほどギャップが大きくなるからです。

以下の画像は限界まで下を向いた状態で上昇しながら連射しているものを横から撮影したものです。

上下角度を目一杯付けた状態での射撃の当たり方の例←GIF画像(2329KB)

この方法は射撃アングルとxy座標を固定、目標機体の無限円柱を固定、縦軸のみの移動しながら判定エフェクトを視覚化しています。つまり大元のz軸成分の残渣を固定するのでエンカウント座標を抽出してそのベクトル固有判定を数値で特定するにはおそらくベストに近い方法だと思います。メモリデータからあれこれするような検証には適しているのですが、見て観察という意味では射撃点が縦に大きく移動するので最適な撮影点がなく、横から見ると過剰に逸脱した判定群として視覚化されてしまいます。

例えば、図のように頭上に逸脱して見える判定のうち射撃点から見て機体円柱内に収まっている判定は(機体円柱上面への判定を無限円柱上で代替している)正常な範囲の判定といえますが、横から見ると異常な判定との区別が付きません。また横からは頭上に数機分逸脱しているように見えますが射撃視点からは機体1機分程度の逸脱に見えます。

以下の画像は同方法(実全高を5にして低速落下しながら連射)で射撃角度0〜750まで50おきのベクトル固有判定を視覚化したものです(コックピットビュー)。1枚目左端が射撃角750、3枚目の右端が50、アングルを変えるだけでもかなり激しく揺らぐのが分かりますが機体円柱の判定をロストすることはありません。左から四枚目は左端と同じ状態を視点角度750で撮影したもの、右端は左画像とは別の時のものですが同じようなベクトル固有判定を垂直に見下ろした図です。

別の方法として両機体の位置を固定して射撃角度を縦に変えながら連射して判定群を視角化し、その位置のまま撮影する方法があります。この方法では撮影点と射撃点が近くその位置関係から見た判定として直感的には分かりやすいですが、射撃アングルを変えてしまうこととつられて射撃点(ベクトル起点)が前後方向にも移動する欠点があります。視覚化された判定は全て独立した個別判定の群れになるので、できれば条件を変えながら何枚も撮影して判定群の変化と揺らぎの影響を統計的にイメージするのがベターでしょうか。メモリデータを抽出するような検証には向きません。

以下のサンプル画像はこの方法で撮影したベクトル固有判定群ですが、あまり数をサンプリングしていませんのであくまで参考までに。なおサンプルでは敵座標を固定していますが念のため水平移動中および垂直移動中でも同現象が同じように発生することを確認しています。またサンプル画はどれも拡大縮小していないので画像の縦幅がモニターの縦幅と同じになります。


○機体二次元円内の判定

以下の画像は直上から垂直に撃ち降ろした弾の判定を視覚化したものです。無限円柱の内側から発射した垂直弾道では2次元円(足元の機体座標を中心とした被弾半径の平面円)上で判定して着弾エフェクトを発生、角度がついて機体円柱内側から外側に貫通する場合にはその位置で判定します。結果として上面に判定はありませんが、PSACの射撃仕様だとミサイルか爆雷くらいしか垂直に入射することはほぼありません。ただ平面円判定と機体円柱判定のエンカウントが別処理扱いの疑惑があり両方の判定が有効な武器は同fに重複判定する可能性があります。E爆雷が稀にスペック2倍威力になるのはこれが原因かもしれません。


(2)実践的な影響

○射撃角度

■補足を追記

この現象の増減は基本的には垂直弾速成分に依存しますが、アングルが深くなるほど同じ原理のスパイラルによって縦の逸脱範囲が増幅します(単純比例ではない)。これは射撃角度が深いほどベクトル固有判定が機体から逸脱しうる→さらに深い角度まで有効になる→さらに角度を深くできる→さらに逸脱→…という自己増幅が起こるのが原因のようです。そして逸脱しうる距離は射撃が垂直になるまで広がりつづけます(弾速が上限)が、視角的にはアングルが大きくなるほど小さく見えるようになるのでS字曲線のような変化として観察されます。ざっと検証した範囲では角度による自己増幅はわりと浅い段階から始まり、およそ15度〜45度前後の範囲で急激になり、視角的には30〜45度くらいで均衡して視角が縮小していくようです。また同じ理由で目標機体から角度が深い側(例えば下から見て敵の上側)により広がることが多いようです。

以下の画像は相対距離約3000(弾速800)固定で互いの位置(角度)関係別にそれぞれのベクトル固有判定群を視覚化したものの一例です。位置関係による変動が激しいのでこれは数パターンのなかから比較的きれいに見える一連のパターンを選びました。

なお地上に直立してロケットを撃てる範囲が上下に45度、キャノンが上60度下30度ということを考えると射撃アングルの常用範囲で十分にベクトル固有判定の影響があり、それに期待して視界が悪化するほどアングルを付ける必要はなさそうです。


○弾速

これも同じような自己増幅によって弾速が高くなるほどベクトル固有判定の広がりが加速します。実践的には弾速は射撃アングルをブーストするような効果になるので、ある程度角度があれば弾速が高いほど縦に逸脱→さらに深く→さらに逸脱という繰り返しが起こります。ざっと検証した範囲では急激に逸脱が拡大する弾速は1800前後なのでMAのEスナは例外的に逸脱したベクトル固有判定を発生させます。

以下の画像は相対距離2000で角度関係を上20度に固定して弾速別に視覚化したものです。通常の武器では弾速よりも位置関係による変動の方が激しく画像の弾速448も消失に近い状態になっています。もっと角度を深くすると相乗効果で弾速の影響も多少強く出るようになりますが、ちゃんと弾速差の影響を比較するには多数のパターンの平均をとる必要がありそうです。裏を返せばその程度の差ということですが、総合的には高弾速ほど命中率に影響するようなベクトル固有判定が発生しやすくなる(ロストしにくくなる)と考えて良いと思います。


また、実践的には遠距離になるほどアングルが浅くなりがちなので弾速が高いほどより遠距離でも有利に働くと考えられます。つまり弾速は命中率に対して単純に到達するまでの時間以上の影響があるということです。


○距離

同じく距離でも自己増幅現象を起こします。敵機体円柱は遠距離では点ですが接近すると視界内に占める角度範囲が大きくなります。これにより頭上や足元まで狙える角度が深くなる→より逸脱→さらに深くという増幅が起こります。これにより接近するとお互いの機体が水平の位置関係であってもベクトル固有判定が発生し、ざっと検証した範囲では相対距離1200〜1500くらいを境に急激に拡大し、弾速や角度などが絡むと〜距離2500くらいでもわりと安定して命中率に影響するクラスのベクトル固有判定が発生するようです。後述しますがベクトル固有判定の実用範囲はせいぜい上下に機体1機分程度なので、元が大きくなれば揺らぎで小さくなっても実用範囲のベクトル固有判定が残る可能性が高まります。

以下の画像は角度関係を上20度固定、弾速800固定で距離別に視覚化したものです(コックピットビュー)。距離5000と距離1200で収縮しているのは位置関係による揺らぎで、角度と弾速との兼ね合いでも変わりますがこのサンプル画像はあまり説明に都合のいいパターンではないです。ただ接近すると画面の縦幅の大部分を占めるくらいに拡大することが分かります。

また接近戦では上下方向に交錯することが多く、水平方向の回避動作がおろそかになりやすい(軸避けしにくい)のでベクトル固有判定の影響が相対的により強くなる可能性があります。これはwikiなどに見られる大バズやハングレが近距離なら判定でカバーできるという説を連想させますが、ひょっとしたらPP→MAでの緑ライフルの補正悪化説もサイトサイズとこの現象の関連に発端を見つけることができるかもしれません。


(3)予測射撃武器への影響

PSACは予測射撃を前提にしていて射撃アングルは自分では制御できず、目標のど真ん中に命中すればベクトル固有判定は無関係、射撃が目標から外れた弾にしか影響はありません。そしてPSACの射撃システムでは等速直線運動に対して正確な予測点から1〜2fの移動分ほど後ろにずれる性質がありますが仮に最高速で自由落下していても1fに移動する距離は150、2f遅れる武器でも目標の機体中心から300遅れ、機体全高が225ということは最大でも頭頂から機体1個分も逸れないことになります。散弾の散開幅も実用距離では機体1個分も外側に広がりません。

したがってベクトル固有判定がどれだけ大きく逸脱する条件を揃えたところで、実際にはせいぜい機体1機分程度の逸脱までしか影響しないわけです。逆に機体1機分程度まで逸脱してくれれば1Pサイドや軸武器のデメリットを軽減あるいは無視できることになります。このように予測射撃武器の場合のベクトル固有判定は視角(見た目の大きさ)よりも機体円柱から逸脱した絶対的な距離が影響します。もちろんこの判定には揺らぎがあるので常にとはいきませんが、空中戦や近距離戦などを積極的に仕掛けることで2P補正の影響を圧縮する効果があったのではないかと考えられます。

←少ない ベクトル固有判定の恩恵 多い→
2P軸無視武器<1P軸無視武器=2P軸武器<1P軸武器
集弾性小<集弾性大
遠距離<近距離
低弾速<高弾速

ただしこれは縦(垂直)判定だけの現象です。PSACは上下運動の操作性が低いので回避動作は横(水平)が多く、いわゆる軸避けも横移動で行います。横判定は正確なのでもともと水平方向には命中できるはずの弾にしか恩恵はなく実践的にはACの予測射撃の多くが水平方向に外れます。とはいえ意識しているだけでもそれなりに効果を期待できると思いますので具体例を幾つか挙げてみます。


○ベクトル固有判定が影響する実例

まず垂直運動への予測射撃は自分から離れて行く目標の方がアングルが深くなりベクトル固有判定的には有利に働きます。

例えば落下する敵に攻撃するとします。自分より上から落下してくる敵に予測射撃をすると射撃アングルは現在のお互いの位置関係より浅くなります。自分を通り過ぎて落下していく敵に予測射撃をすると射撃アングルは現在のお互いの位置関係より深くなります。同じように上空の敵に予測射撃する場合も、落下目標への予測射撃のアングルはより浅くなり、上昇目標への予測射撃のアングルはより深くなります。またお互いに落下しながら撃ち合うと、二機の高度に差があればより上空側の機体の方が撃ち降ろすアングルが深くなり有利になります。

地上付近で小ジャンプを繰り返す目標に予測射撃をするとします。命中しにくいのは射撃が水平に近くベクトル固有判定域が狭いのが原因の一つでしょう。むしろ上空の敵へのベクトル固有判定域が広いので相対的に小ジャンプに対しては上下に散って命中しにくく感じるのかもしれません。小ジャンプ時でも水平の撃ち合いより多少なりとも上空から撃ち降ろされる方が被弾率が高いのは気のせいではないようで、水切りにいたっては頭上側に散るはずの弾の回避率が激減するおそれがあります。そして仮に自機が地上にいるとすると、小ジャンプ目標を狙う場合は落下中より上昇中の方がベクトル固有判定的には多少有利、そして射撃アングルがつきやすくなる近距離の方が遠距離より効果的ということになります。素ジャンプのタイミングで撃った弾が命中しやすいのも気のせいではありません。

それからやはり散弾系は使い方次第で影響しやすいカテゴリのようです。ハンドガン系やマシンガン系は距離があると機体被弾サイズ内に着弾する率が低下しますが、上下に角度を付けた位置関係で撃つと命中率・時間火力・実効火力ともに改善します。特にこれは縦に小さい四脚やタンクを目標にした時に差が出やすくなります。したがって攻撃側としては近距離で適度なアングルを付けて射撃、回避側としてはできるだけ水平寄りに距離を取るのがベクトル固有判定の観点からはベターだと思います。また視界的にはトップアタック側が有利ですが、地上側は下側のベクトル固有判定が埋没するので判定的には有利になり特に水上基地ではこの差がつきやすくなります。

以下は235を並走しながら連射したものを水平と上下角度を付けたものとで比較したものです。235はリロード0、1発辺りのダメージが1になるように攻撃力を調整。さらに下向きに撃たせたものは1P側の機体実全高を0、空中速度と加速度を地上速度と同じ値にして変更してあります。

水平で撃った場合←GIF画像(4512KB)

上下角度を付けた場合←GIF画像(4653KB)

※距離や角度の調整が適当だったのでちゃんとした調整して撮り直した方が良さそう。


○ミサイルへの影響

ミサイルは弾速が小さいのでベクトル固有判定の影響はさほど大きくないようですが、射撃武器ではありえない角度で入射できることと、弾道を自力で調整できるので無視できません。

まず回避側は水平回避するのがベターで、垂直ミサやマルチなどで高度を合わせるほうが回避しやすいのはこれが原因の一つのようです。直接関係ありませんがコアの迎撃機能もエイムに連動するので迎撃もしやすくなります。攻撃側は水平より角度が付いた方が上下運動で回避されにくく、水平に避けにくい多弾もしくは多連で散るタイプのミサイルの命中率を無意識に押し上げていると考えられます。実際に対空では撃ち上げるS60より水平のS40の方が回避しにくいようで、同高度では逆にS60の方が回避しにくいようです。なおミサイルロックはサイトのエイム角度が深いほど遅くなる(サイトアングルが深いほどロックカーソルが遠くに発生する)ので、高低差が大きい場合でもできるだけサイトのエイム角度を浅くして捉えるとロックしやすくなります。


○無関係の武器

この現象は弾速ベクトル判定を持たない攻撃には無関係で、それらは機体円柱判定にしかエンカウントしません。

具体的には弾速z軸成分のない空中ブレードと光波は無関係、地上ブレは不明。爆風は領域同士(中心同士の相対距離)で判定する処理らしくベクトルがないので無関係、爆風を発生させる武器は機体から逸脱した位置に当てると機体円柱まで遠くなり爆風ダメージが減少します。肩グレネード(近接信管20×20+現在距離基準の可変寿命設定による時限信管)と機雷(近接信管100×100+時限信管200固定)では、近接信管は領域判定で普通の武器のような弾速ベクトル判定を持たないので機体円柱領域にしか反応せず、発生した爆風も機体円柱にしか判定しません。このため射撃武器の中でも肩グレ(実グレとEグレ)だけは角度を付けて射撃しても判定的には水平発射と変わりません。


○特殊な武器

予測に縛られる武器と縛られない武器とでは影響が異なるようです。水平判定に手動操作で命中できれば縦エイムが多少おろそかでもベクトル固有判定が自動的にカバーしてくれることになるからです。主にロケットと肩キャノン(手動補正射撃)が該当しますが、このタイプの命中率には実際に大きく作用するようです。いずれも位置関係に高度差がある方がベター、肩キャノン等ではその射撃システムに適性な距離を、ロケットの場合はできるだけ近距離がベターとなります。


以下はMロケで上下のベクトル固有判定に当てたイメージ図です。

ベクトル固有判定はロケットにとって座標距離ではなく視界内の角度範囲で影響するので、必然的に画面上の視角の大きな縦範囲を占めるようになる近距離ほど有利に働きます。また弾速は高いほどベクトル固有判定が広がりやすいので小ロケ<Mロケ&スペロケ<Lロケの順に単純な弾速スペック以上に命中率に影響する可能性があります、ただしこのような使い方ではLロケの爆風ダメージにあまり期待できません。

参考までに垂直アングルによるロケットのz軸弾速は以下のようになります。

Mロケ アングル-341(約30度)でz軸弾速-260、アングル-512(45度)で-363、アングル341で249、アングル512で367
Lロケ アングル-341(約30度)でz軸弾速-293、アングル-512(45度)で-408、アングル341で280、アングル512で413

機体円柱判定の全高は二脚が225で四脚タンクが137、ベクトル固有判定は頭上と足元に最大でz軸弾速の範囲で逸脱します。ロケットは腕武器のように深いアングルを付けられないことと、弾速が遅めなのでアングル固有判定の逸脱はせいぜい頭上と足元に機体1〜2機分程度の分布になります。いろいろと実践的な条件に近づけてテストした結果もこれを裏付けるものだったので、逆にある程度アングルがつけば上下に1機分(縦に3機分)程度まではそこそこ実用できる確率でベクトル固有判定に命中できると考えていいと思います。

以下の画像は位置関係を45度に固定して相対距離約2700、約1800、約1500でMロケとLロケとSロケ(Lロケの弾速をそれぞれの弾速に変えたもの)でどの程度の違いが出るかをサンプリングしたもので、ついでに至近距離1200でお互いの角度関係30度と15度で試したものです。位置関係による変動が激しいですが上下に機体1機分の範囲で見ると弾速が高い方がやや安定しており、いずれにしろ至近距離で3〜40度ほど射角があれば縦エイムはベクトル固有判定に丸投げしてもいいかもしれません。まあ実質ランダム変動なので可能なら正確に照準するに越した事はないですが、さすがにCPUのようにはいかないので縦はエイムよりタイミングで狙う方が合理的だと思います。その距離で敵を視界に捉えて横エイムを合わせる事自体が至難の技ですが…。


<使用コード>

○横からのキャプチャ用

#MA用
#2P 旋回加速度
80045764 0000
#2P 旋回速度
80045766 0000

#2P 機体実半幅
801D85C8 0000
#2P 機体実全高
801D85CA 0000

#2Pジェネ最大容量
800457BA 0000
#2Pジェネ現在容量
8004556E 0000

#武器の最大ロック距離
800454A4 0000
#武器の現在弾数
8004549E FFFF
#武器の攻撃力
800454B6 0010
#武器の衝撃値
300454B8 00
#カステラ着弾エフェクトID
30099AEC 00
#カステラ着弾エフェクト表示時間
30099AED 00
#武器のリロードタイム
300454B3 00

###############
#2P Y座標
801D85A8 0000
#2P Z座標
801D85AA FF00
#2P X座標
801D85AC 0000
#2P 機体角度
801D85B2 0000

#1P Y座標
801D8430 0000
#1P Z座標
#801D8432 F000
#1P X座標
801D8434 01F4
#1P 機体角度
801D843A 0800

###############
#カメラモード(カメラ切り離し)
301E21F0 03

#1P 機体実全高
801D8452 0040
#ブースターのチャージドレイン
8004541C 0080
#待機時ジェネ回復速度
8004541E 0400

#1P上下角度
800453D0 0300

#カメラ座標
801E2204 F880
801E2206 FF12
801E2208 0000
#カメラ目標座標
801E220C 0000
801E220E FDC0
801E2210 0000


○分割で並走しながらの撃ち合い用

#1P座標と角度
801D4C08 0D4B
#801D4C0A FF00
801D4C0C F1CB
801D4C12 0400

#2P座標と角度
801D4D80 0573
801D4D82 FFFF
801D4D84 F1CB
801D4D8A 0C00

#1P武装
#武器の現在弾数
800454A0 0064
#武器のリロードタイム
300454B3 00
#武器の攻撃力
800454B6 0006
#武器の衝撃値
300454B8 00
#武器のE消費
800454A2 0000
#2P武装
#武器の現在弾数
80045840 0064
#武器のリロードタイム
30045853 00
#武器の攻撃力
80045856 0006
#武器の衝撃値
30045858 00
#武器のE消費
80045842 0000

#1P空中加速度と速度を
#205-SFの地上速度にする
800453BC 016C
800453BE 0E38

#1P機体実全高
#801D4C2A 0000

#1P上下角度
#800453D0 0160

#1PAP
801D4D68 0FA0
801D4D6A 0FA0

#2PAP
801D4EE0 0FA0
801D4EE2 0FA0


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