EX1_機動戦力エクストラ編
いまさらだがACは面白い。知れば知るほどパーツの新たな可能性を発見し戦術や戦略にバリエーションがうまれてくる。元々隠されているパラメータが多いのもあるが、初代からみればやりこみや新しい発見で色々なパーツが立場を失ったり復権したりしてきた経緯があるらしい。それにしても不可思議なほど細かい部分にまで多様な設定が施されており、一見関係無いように思われる各種仕様が複雑に絡み合って様々な現象を生み出している。奇妙なほど違和感なくガシャガシャと走り回る歩行動作はその種類や方向ごとに地上を経由する全ての機動パフォーマンスに影響を及ぼし、エイミング動作はもちろんバランスをとるように稼働する腕部やダッシュ前傾あるいは移動中沈み込む四脚など様々なモーションに連動する機体パーツ群のギミックなどの演出までもなぜか戦術バランスにまで深く食い込んでいる。そして武器カテゴリ毎に異る射撃システムやどう考えてもネタとしか思えないのにアイデア次第で妙に使える武器達、単なるスキマを埋める立場にとどまらない中量二脚やアイデア倒れで終わらない逆関節や四脚設定の作り込み。そのわりに一部極端に理不尽なパラメータ設定やバグなどツッコミ所も満載なのだ。これがすべて偶然の産物なのか?いやそんなことはあるまい、この世界では万物は数字で構成されているのだから。おっと、脚部の機動戦力のハナシであった、だらだら書いているとますます長文になってしまう・・・そもそもここまで読んでいるかどうか疑問ではあるが。
さてここでは仕様やパラメータが実際に各運動性能や挙動特性に与える影響などから各脚部カテゴリごとの特性とその活用方法に焦点をあてて考察してみたい。本項のコンセプトは「できるだけ多くのパーツを選択肢に」だ。そんなわけで筆者の主観的な意見に加えマイナージャンルほど解説が長いのは御愛嬌。以下に各脚部カテゴリそれぞれの特徴に特化した戦術的アセンの可能性について考察するが、このアセン・戦術で決まり!という意味で説明しているのではなく、あくまで仕様や各特性に基づいて性能を発揮させるにはこういった考え方もありますよという紹介のつもりで解説しているので参考までに。鉄板アセンやすでに確立されている戦術などの解説は先人が築きあげたモノが多々あるのでそちらを参考にしていただきたい。そして細かい仕様にまで踏み込んで具体例を上げているものの、アセンの可能性を狭めたり、他の戦術を否定するような意図のものではまったくないことをご了承願いたい。むしろキモさえ押さえればネタ機でも十分戦える内容を目指したい。そもそも筆者はたいした対人戦の経験もなく、現在となってはそういった環境での検証も難しいというなんともビミョーな立ち位置で書いていることを一応念頭に置いておいてほしい、自分で書いておいてナンですが断定表現等に惑わされぬよう。また各脚部の違いに焦点をあてるためその特徴を強調した説明となっている。期待に胸膨らませて「ゼンゼンダメじゃんコレ」などとガックシしないように。
※訂正:安定性と被弾衝撃に関して検証方法に問題があったため再検証して記事を修正しました。問題点は射撃側のアセンや動作次第で射撃点が被弾側の機体中心よりも低い位置になる場合があり、地上同士でも跳ね上げ&再着地が発生しこれが再現してしまう条件で検証していたためです。なお実践的には安定性に関わる要素は画一的な条件だけを満たしても対処しにくい場合があることをご了承ください。詳しくは射撃特性ディープ編・固めと固め抜けの項で解説しています。
※以下の文章ではミサイルカテゴリの表現として、複数の武器との連携攻撃の適性が高いものを連携用ミサイルとして便宜的にまとめて表現します。また射撃時に弾の移動開始に遅延の無い武器種を精密予測系、1fの移動遅延が発生する武器種を通常予測系と便宜的に表現します。そして全ての記述が機体基準内・非強化を前提としています。
※戦術や操作、ブレード等の検証作業は機体基準内アセンで実現できる範囲を想定していますが時間短縮や再現性の確認のため一部メモリーデータを操作して運動性能を制御しながら行っています。また1f単位などの細かい解説もありますが、厳密な操作を要求するものではなく無意識でも結果として効いてくるモノとして解釈してください。ついでに原理的には可能というものでも筆者が通常のCPU戦で再現可能なものについてはそのまま紹介していますのでご了承ください。前項までは仕様や技術的な解説でしたが本項は機動戦力「考」として位置づけており主観的な意見等を多く含みますので、何度も申し上げますがあくまでも参考程度にして下さい、シツコイかな?誰も読んでないかもしれないけど。いやぁまあ前項まではともかくこっから先はどっちかていうと各ユーザーの楽しみ的な範囲かなと、なんとなくかんぴょ〜さんの畑に爆弾(産廃?)投下しちゃってるような気がするもんで。
−−−目次−−−
・軽量二脚
・中量二脚
・重量二脚
・逆関節
・四脚
・タンク
各サブトピック
運動性能と特殊性
安定性能
アセン考
空中ブレード適性
機動戦力にみる評価
軽量二脚は確認するまでもなく機動力が命のACがベースとなる。ところが運動性能の上限と限界速度から評価する限りそれほど特徴的な特化はなされていない。なにしろ運動性能の上限も二脚系の限界速度も意外に低い設定となっているからだ。それどころか高機動ゆえの大きい「余剰限界速度」が生み出す余剰慣性による減速遅延というデメリットや、ある程度ブースター性能に奢れば重量級クラスでも余裕で限界速度を突破出来ることを考えるとブースターによる最高速度を武器に戦うのは軽量級の適した戦術とはいい難い。
○軽量二脚の運動性能と特殊性
軽量二脚の運動性能の長所は旋回性能と瞬発力だろう。圧倒的に軽い脚部重量と積載量の少なさから結果的に最高クラスになる旋回性能と、瞬時に限界速度に到達する加速性能を活用する。つまり機敏なフットワークを生かして相手のサイティングをかく乱し常に有利な間合いやポジションを確保すること、重要な局面では余剰慣性を意識して効果的に切り返すこと、そしてその瞬発力と旋回力を命中率アップに最大限活用することが基本となる。そして軽量二脚を軽量二脚たらしめる最大の特徴に突出した通常歩行性能があり多くの場面で窮地を打開するための強力な武器になるはずだ。困った時の対処はブレードに託し、高旋回・高加速度に見合った戦術に特化した機体を作ることが、俊足を旨とする軽量機体の王道といえるのではなかろうか。
旋回性能について、近距離での機動戦には特に重要なパラメータでサイティングはもちろん円旋回半径を狭めてより接近戦で攻撃と回避を両立させ、敵の攻撃範囲外を位置取りするのにも役立つ。旋回最大速度はサテライト戦等の一方向への運動や背後を取るような動作に、旋回加速度は細かく切り返すサイティングや狙撃チャンス確保などにそれぞれ重要になり、いずれも高いほど間合いを狭めて敵側視点の角速度を増すことでサイティングをかく乱し攻守のバランスを有利に展開できる。加えて手動補正射撃ができるなら旋回が高いほど補正角度が大きくなるためより近距離でも対応可能になる。つまり機動戦術の有効最短距離は旋回性能に左右され、射撃武器の多くは接近するほど命中率が高くなるという原則も含め接近戦における最重要パラメータといっていい。そして旋回性能は実質的に機体有効重量に依存するため必然的に全カテゴリ中最も優れる機体に仕上がる。逆に旋回性能を高めるにはほぼ軽量化するしか方法がないためベースとなる脚部重量は他の脚部では埋めがたいアドバンテージになり、仮に同程度の旋回性能を達成したとしても突出した優位性をもつ歩行特性と両立できるのは軽量二脚しかありえない。そして空中ブレードホーミングは旋回最大速度の四倍まで瞬時に加速する性質があり特に差が顕著になる。
ブースト加速度について、瞬発力は回避・攻撃どちらの観点からも機動戦を有利に展開するために極めて重要で、加えて高い旋回性能によってより近距離でもその瞬発力を遺憾なく発揮しうる。軽量二脚では意図的に低出力ブースターを選択しない限りはほぼ確実に地上ブースト性能は上限に達し、空中ブーストでも容易に上限あるいはそれに近い性能を達成できる。後述するように最大速度は限界速度によってメリットを制限されるが、加速度にはメリットの制限はなく高いほど機動力が上昇する。そして機動戦における命中率は方向転換や加速によって射撃の必中角度域にいかに迅速に達するかが重要(狭角射撃)になり、逆に時間がかかると敵機側に対応する余裕を与えてしまい有効角度に踏み込むは難しくなる。回避においては余剰慣性に注意して切り返すことでデメリットを解消することができるため瞬発力を最大限に生かせれば数字上の運動性能差を十分に発揮して機動力で圧倒しうる。また着地や被弾による硬直後の離脱パフォーマンスにも重要な要素になり、特にダッシュジャンプは上昇ブースト最大速度の1/4に相当する瞬間加速をほぼ予備動作なく発生させ、貴重な垂直方向の瞬発力として上限に近い性能を獲得できる。そして垂直運動は水平方向への速度に影響を与えないので左右へ切り返す運動よりも上下へ切り返す運動の方が速度や移動距離の損失が少なく、小ジャンプ移動でも滞空時間が長くなり着地減速を減らして平均速度を高めながらE回復にも有利になるため、ダッシュジャンプ加速度が高い機体ほど水平移動効率により優れることになる。軽量二脚が他の脚部に比べて軽快に感じるのはこの仕様と旋回性能の高さによるところが大きい。
限界速度について、軽量二脚ではほぼ確実に地上ブースト最大速度は上限(8960)に達し、空中水平最大速度も上限(7000)に匹敵する性能になるが、二脚系は空地ともに“4800”という水平限界速度の制限を受ける(運動特性ディープ編で解説)。このため余剰慣性が大きくなりやすく高速域では限界速度を超える速度値の大きさにしたがって切り返し減速や旋回による軌道修正の遅延を招くデメリットがあるが、限界速度は絶対軸(方位に相当)で独立して設定されているのでその45度方向(例えば北西)で計算上最大約“6788”までの最大速度が有効になるので方位依存という不安定さながらメリットにもなりうる。また同仕様により限界速度を大きく超える運動性能では円運動の一周を四分割した領域で緩やかに加速と減速を繰り返す現象が起こるため、特に近距離の円旋回時などで機体運動を正確に制御しにくい。そして射撃システムによっては予測を後方側へ散らすのが効果的なものが多いためこの加速領域では回避がより容易になる利点があるが、減速領域では予測位置が自機の前方側へズレるため回避操作の効果が安定しにくいなどの性質がある。
しかし余剰慣性は発生前に方向転換することで影響を抑えることができるので、耐久性に劣る軽量二脚は加速度を犠牲にしてまで余剰を抑えるメリットはあまりなく、運動性能を追及して増速する利点部分と最大級の加速度を生かしたい。
余剰慣性(余剰限界速度)について、高機動な軽量二脚はゼロ速度(歩行を除く)から僅か5〜7フレームで水平方向の限界速度を突破する。これは方位や運動性能によって若干異なるため、影響を抑えるために操作をパターン化する場合は低パフォーマンス側にあわせた方が不確定要素が少ない。したがって左右へ切り返す場合はおよそその2倍の10フレーム強を目安として余剰慣性による減速遅延を抑えて瞬発力を最大限発揮できる。また短時間で限界速度を突破するので一方向へ運動し続けると必然的に余剰慣性を発生させるため回避運動はそれと武器特性を加味してサテライト回避を優先するか、マージンをとって早めに切り返すかになる。例えば有視界条件ではサテライト回避は手動補正射撃やロケット狙撃のチャンスに、高速域からの切り返し運動は通常予測射撃武器の狙撃チャンスになりそれぞれ被弾リスクが高まる。またミサイルは毎フレーム追跡運動をするため余剰慣性があると切り返し回避がシビアになりやすいのでそのまま広角ブーストで振り切るか、振り切りにくいタイプはあらかじめ限界速度以下へ減速した状態で引きつけつつ切り返したほうが回避しやすい。軽量二脚はもともと耐久性に乏しいためこれら駆け引き戦術に引きずり込まれるとダメージレースに不利になりやすい。特に単一運動でも切り返しでも回避しずらい精密系マシンガンや拡散多弾発射系や武器腕やXW11やグレネードキャノンなど命中範囲を形成あるいは調整できるタイプに対しては相性が悪いので垂直運動の駆使と余剰慣性に注意しながら、接近して視界を脱するか回避有効距離まで下がって射撃戦に応じるか、回避の前提として運動性能を優位に発揮できる戦術有効距離の主導権を握り続ける必要がある。
通常歩行性能について、軽量二脚最大の長所は旋回能力でもブースト加速度でもなく突出して高いパフォーマンスを持つ通常歩行だろう。そしてそれに起因する運動特性が上空での空中戦を除くあらゆる場面で軽量二脚の機動力優位性を支える最大の原動力といってもいい。二脚系の通常歩行はそれ自体が慣性を発生させないだけでなくブースター慣性を瞬間的に解除し、地上での動作は必ずこの無慣性挙動を経由して行われるからだ。
例えば空中からの軟着地時や被弾による跳ね上げ&再着地時に無慣性歩行動作を経由して再ブーストへ移行する。そして軽量二脚は着地時の減速度が小さく水平速度のロスを最小限にブーストへつなげることができ、かつ瞬間的に移動方向を切り返して高速でブーストを再開できる(凪)。これにより小ジャンプによる移動効率と地上経由時のパフォーマンスが非常に高く、地上付近の接近戦では視線でも追いがたいほどの機動性を実現する。また硬直など停止状態からは必ず歩行予備動作を経由するが、軽量二脚は準備動作の加速度が大きいため再移動開始時の隙が小さく、通常腕部の人型二脚では唯一後退方向(左後ろ)への予備動作を最短でブースト発動できる。また軟着地からの特定後退方向へのブースト発動もレスポンスがいいなどの特性を持つ。
さらに特徴的な動作に左右へ高速に切り返して予測射撃をかわす「踊り」がある。特に軽量二脚の踊りは加速・減速比に優れ通常は回避不可能な距離でも予測射撃を左右に散らすことができる。これはチャージング時などの回避動作にも有効だが踊り中は移動やポジショニングがままらならいので機動戦で着地経由時などに瞬間的に左右へ揺さぶる駆け引きの手段として活用するといい。そしてこれに加えて軽量二脚は単純な通常歩行でも踊りながら移動する特性がある。二脚系の歩行は一歩のサイクルで加減速を繰り返す仕様があり、特に軽量二脚の振幅は予測を散らすほど大きくその周期も数フレームと短いため有効距離があれば単に広角化しながら歩行するだけでも回避運動あるいは被弾率低減動作になる。これは移動前後方向に一定の振幅で発生するので射線に直角に近いほど効果的で、かつ慣性の影響を受けずにほぼ瞬時に切り返すことができる。特にリロードと歩行周期が近い武器ではタイミングを合わせて歩行を開始するだけでもかなり被弾を抑えることができ、斜め前進歩行を組み合わせることでさらに被弾率を低減しながら高速移動ができる。なお弾速が高いほど予測が散りにくくなるので弾速によって有効な距離が異なり、集弾性や衝撃あるいは射撃システムによっても有効性が異なる。しかし攻撃側の観点では通常歩行中の軽量二脚に対しては安易に攻撃しにくいという駆け引きの要素にもなる。
脚部ジャンプは安定性や耐久性が低く予備動作が致命的な隙になりかねないので有視界条件の近距離戦で戦術に組み込むのはやや難しく、特に着地硬直や被弾硬直から脚部ジャンプしないようには注意した方がいい。一方、ジャンプ性能は悪くないので遮蔽物や死角とれる場合は積極的に活用できるとエネルギー管理やポジショニングに有利になる。なお殆ど気にする必要はないが武器腕にすると1f予備動作が長くなる。
機動力における軽量二脚の弱点は着地硬直が20f(次動作開始までを含むと二十数fは停止・低運動状態)と大きいことでこれは脚部安定性やオプションなどで緩和することはできない。そして安定性が低いため降下中に被弾するとそのまま撃墜硬直を起こしやすく耐久性も低いので致命的な追撃チャンスを与えかねない。起こしてしまった場合は予備動作が長い方向へブースト離脱はできるだけ避けるように。地上停止後の再ブーストは左右・前方と左後方へ最短で発動し、後退・右後退方向へは数f長くなる。ただし停止からのブースト初速はいずれの二脚でも低く、軽量二脚はブースト加速よりも歩行加速の方が大きいため被弾硬直の危険が無い場合などは無慣性回避ができる通常歩行で移動を開始した方がいい場合もある。また着地硬直は被弾衝撃か肩キャノンの構え動作でも解除できる。自爆キャンセルは瞬間解除&空中移行できるので特に有効だが、構え+切り替えキャンセルでも最短で10f弱まで短縮可能で旋回は即可能になる。なぜかK1+軽二脚+右肩キャノンでは構えても被弾全高が直立状態から変化しないので肩キャノンを使う場合には注意(バグかな?カメラ位置が変わらないので判別可能)。なお武器腕の場合は着地硬直は16fに短くなる。
○軽量二脚の安定性能
軽量二脚は実用範囲で無効化できる衝撃はSSVTが“1”、501が“2”、2KZ−SPはオプショナルパーツ無しで衝撃“3”、「SP−ABS/Re」で“5”まで無効化できる。また連射衝撃からダッシュジャンプで固め抜けできる最低条件は“硬直時間+7”fを被弾間隔以下に抑えること。操作や相対位置の関係で脱出境界が−1〜+2f程度前後する条件があるため若干余裕があるとベターだが、左後方へも最短時間でブースト発動できるので脱出方向をほぼ全方位に選べる利点は大きい。そして軽量側の二種は脚部安定性が低いため被弾硬直時間を低減しにくく固まると抜けられないが、歩行性能とブーストレスポンスが高いので固めが安定する前や跳ね上げ&再着地が発生した場合の対応力は優れており状況次第で二極化する。また空中での被弾硬直中はブースト操作を受け付けずこれが長くなると撃墜硬直のリスクが高くなるので降下中の被弾には特に注意。機体安定性による被弾硬直と衝撃加速などの関係は被弾安定マニアック編を、連射衝撃と固め抜けに関わる仕様については射撃特性ディープ編を参照してほしい。
軽量二脚は運動性能と特に地上の歩行性能が高く、弱衝撃武器の衝撃加速ベクトルは対象速度が高いとそれを加速する方向へ作用する性質がある。このため固め抜け不可能な武器でも1〜2発程度の被弾初期やある程度距離があれば(予測は距離が離れるほど散りやすい)続弾を回避あるいは予測を散らして対処できるだけのポテンシャルがある。そして左後方へもブースト・ダッシュジャンプできるため機体前方から被弾した場合でも急接近による被弾間隔の短縮や被弾硬直の延長(原理不明)を防ぎやすく、むしろ被弾間隔を1f伸ばして脱出するチャンスを狙いやすい。なお後退・右後退方向へは予備動作が4f余分にかかるので脱出操作にはまったく実用できない。また跳ね上げられた場合は硬直時間1ならそのまま脱出可能で、再着地しても軟着地動作で残りの硬直を解除するので安定性は関係なくなり、ダッシュジャンプが間に合わない条件でも凪や通常歩行で振り切って脱出しやすい。ただし根本的に固めが安定してしまうと抜けられない武器が多いので硬直して近距離に詰められる前に対処することが前提になる。
武器別にSSVTと501の観点から、固まると脱出不可能なリロード5はHG235、LN350、SPGUNの三種、特にHG235(衝撃3)は無効化不可能で中距離以上はともかく近距離ではキラーパーツといえるほど相性が悪く固まると運動性能が低い相手でもブレード連携を回避困難、散発的な被弾では硬直時間が対応力を左右するのでできるだけ硬直1に、散弾は水平射撃では浮くことがあるので脱出できることもあるがこれは相手次第。LN350(衝撃3)も無効化不可能だが角度射撃タイプは追跡速度が遅いので注意すれば固まることはまず無く、もし固まっても攻撃側も射撃を安定させるために運動を抑える必要があるので死角でなければ反撃可能。SPGUN(衝撃2)の無効化はSSVTはほぼ不可、501はABS/Re必須、角度射撃タイプなので初弾を受けても逆向きに動ければ振り切れるが命中範囲が広めの多弾発射と手動補正で単発回避が難しく硬直2だとツライ、固まった場合はカラサワでも撃ち勝つのは難しく相手のE残量次第か。いずれも戦術性が限定的で軽量機の選択肢にはなりづらい武器なので運動性能で優位に立てるが固まると絶望的なので不用意に撃墜されたり正面から斬りかからないように。リロード7はHG770(衝撃1)で必然的に硬直時間が1になるのでまず問題なく無効化も容易。リロード8はHG512とHG1とS50の三種。HG512(衝撃4)は無効化不可能だが初弾を受けても振り切りやすく、固めは被弾硬直2以下であれば脱出境界を超える、ただし硬直2は抜けにくくなりやすいので501はできれば硬直1に。HG1(衝撃10)は跳ね上げ&再着地が起これば直後に凪かダッシュジャンプで振り切れるが相手次第、固まるとそのまま死ねるので自爆武器が無い場合は捕まらない戦術を前提にするしかない。S50(衝撃19)は正面の至近距離などで着地硬直しない限りはほぼ無問題。リロード10はRF/5(衝撃7)で戦術的に対応可能だが着地硬直に注意、硬直5で固まると脱出不可能、硬直4ではやや微妙なので遠ざかる方向へ脱出を優先、501は硬直3にできれば安心。これらは対軽量・高機動戦用の特化武器として位置づけられるものが多く総合的には無効化しやすい部類なのでそのリスクを負ってこの手の武器を装備してくる敵には戦術や操作技術で対抗できるようにしておかなくてはなるまい。例外的に2KZ−SPはHG1以外の固まる可能性のある武器は全て無効化可能で、HG1からの固め抜けには硬直2で脱出境界だができればABS/Reで硬直1を達成しておくとほぼ安全圏になるので心強い。
○軽量二脚のアセン考
「LN−SSVT」と「LN−501」は積載量の関係から基本的には前者が斬撃戦主体、後者は射撃戦主体の機体を組みやすく、デザインなど好みで選んでもいいがもし両者で迷う場合には選択の目安としてSSVTを基準に想定する戦術のための火器に積載量が足りない場合には501を選ぶといい。どちらの脚部でも最高クラスの運動性能を前提にするなら機動性の持続力の差が明確に戦力に反映されるので、頭部・アームパーツも含めてデザインとダメージ係数と旋回性能などの境界をみながら可能な範囲でブースターの持続性を優先するといい。SSVTは武装を絞れば低消費のT2でも十分な性能を獲得しやすく、軽量二脚はE管理をしやすく銀ジェネ以外も選択肢になるのでその場合は有効E消費の差も無視できない。この2種はいずれもXRジェネか軽装であればXLジェネも選択肢になるだろう。そして旋回性能は大抵SSVTの方が速くなるが実用範囲ではどれほど軽量にしても上限に達することはなく、どちらの脚部にしてもより接近戦能力を磨く意味で無駄に積載量を埋めるのは避けたい。SSVTでは耐久性が気になるがたいしたアドバンテージにはならないのでそれを理由に501に傾くくらいなら中量二脚の502などを選ぶほうがいいかもしれない。一方で特化型の衝撃武器への対応力は501の方が確保しやすく、SSVTは接近戦で絶対的な優位性を発揮できない場合には弱点を覆しがたく、引きながらの射撃戦では総合的に501の方がやや優れる。
「LN−2KZ−SP」は強力なのでいろいろな戦術コンセプトのベースとして優秀だが、脚部特性だけでも高い回避力に安定性を両立するため武器腕を選ぶのも面白い。ついでに待機時E消費が低く武器腕もかなり低消費なので大容量ジェネレータも選択しやすいのもポイントだ。また低防御ではAPが低い影響が大きくなるので補強するなら防御力よりもAPを重視するといいが、大抵の武器腕は当ててなんぼ避けてなんぼなのでそのためにできるだけ旋回性能や機動力を追及したほうがいい。なお武器腕機は硬直停止後のブースト発動時間が変則的になるようなので固めからは操作方向によって若干抜けにくい場合があり、微妙な条件では右後ろを優先するといい。
武器についてはピンポイントに瞬間火力で抉るもよし、マシンガンで捉え続けるもよし、衝撃武器をお供にブレードで斬り回すのもいい。瞬発力と旋回力に優れる軽量二脚は接近戦で相手の移動軸に瞬間的に迫れるため効率良く命中率を高めることができる機体に仕上がり、かつ高い上昇ブースト加速度によって空中での機体制御のコストが低いことで空中戦でも多彩な射撃技術を駆使して狙撃がやりやすく単武装になりやすい機体構成や命中させづらい武器でも十分狙撃することが可能なので右手武器とは全般的に相性がいい。一方、ミサイルなど肩武器との連携戦術を狙うには積載量が不足するのであいまいな選択になってしまうよりは主力武器に重きを置いたほうが明確なコンセプトを打ちだしやすい。まずそれ一本でも戦える主力の武器を決めて、残りの余裕を機動力に回すか主力武器をサポートしうる武器で可能な限り軽量なものを選ぶのが基本だろうか。ブレードは軽量二脚にとって生命線となる場合も多いので主力武器で積載が埋まるような場合を除いてできるだけ強力な物を選択したい。なおLS−1000Wは軽量二脚の場合射出位置が高いため地上接地中は同高度の四脚・タンクには命中できないので、落下斬りでなくては直撃できない。
○軽量二脚の空中ブレード適性
軽量二脚はダッシュジャンプの加速が大きく低空での斬撃は操作コストの多い部類に属するが、運動性能が高いため空中での斬撃戦でこそ真価を発揮する。またブレードマップも対地より対空目標の方が相性がいい。ブレードホーミング中は旋回・上昇性能が飛躍的に向上するため旋回性能が高過ぎると入射位置をコントロールしにくいが、軽量二脚の場合はブレードマップが優れているためその必要性は低く、いずれにしても入射位置を選べるほどには旋回速度を落せない。軽量二脚の空中ブレードの判定形状は標準タイプと重量級腕部タイプの二種類が設定されている。詳しいマップ形状とブレホ特性は斬撃挙動ディープ編を参照してほしい。
まず標準タイプの空中ブレード判定形状は前方へ幅広くほぼ等間隔に並ぶ広い判定マップを持つ。特徴的なのは前撃が大きく右側へ傾いており、後撃の右側もほぼ正面ながら右に傾く特殊な形状で前後撃とも機体正面に判定を有する。このためブレホで正面から斬撃した場合に2fにまたがる重ヒットが発生しやすく、加えて正面から左右へ角度がある場合には比較的遠目の間合いでも単フレーム2ヒットが発生しやすい特徴も合わせ持つので空中の機動戦に適している。ただし3重ヒット以上はそう簡単には達成しえない。判定形状は斜め前方に優れ直正面にはやや劣るため必然的に重ヒットには接触距離まで踏み込む必要があり、正面から左右へずらした位置で入射する方が単フレームの2ヒット率は高くなるが旋回性能が高いので狙うのは難しい。
一方で落下斬りなど対地斬撃に限定した場合は単ヒットになりやすい問題がある。これは全高の高い二脚系は着地解除前に2fにわたるヒットが難しい点と、軽量二脚の前・後撃各判定とも機体正面では単ヒットになりやすいことによる。そして硬直などの低運動目標に対してはブレホで必然的に機体正面に捉えてしまう。つまり安定して2ヒット以上を狙うためには着地までに前後撃の2fを挟む必要がある。しかし軽量二脚の判定位置は高さ“112”なので判定範囲に捉えてから着地するまでの余裕は対二脚系で“113”、対中量二脚では“100”とシビアになり、対四脚・タンクでは僅かに“25”、対キャノン構え中の“22”などでは狙って2fを挟むのはほとんど不可能に近い。このため落下しながら速度を制御しつつ多重ヒットの斬撃タイミングをはかるのはかなり難しい。一方で前・後撃にわたってヒットできれば正面の広い範囲で2ヒットが発生し、条件が良ければ停止目標へも3重ヒットが発生しうる。多重ヒットを狙う場合は発動時の落下速度を小さく制御する必要があり、ブレホ発動までの間のブースト継続でもだいぶ変わる。例えばチャンピオンアリーナ炎刃の斬撃スタイルがそれにあたるが、低空飛行でのアプローチを要するため被弾・撃墜のリスクが高い。またほとんどの脚部カテゴリで前撃命中を前提にするタイミングの方が狙いやすいが、軽量二脚のブレードマップはやや特殊なので正面に前撃2ヒット判定を持つ他の二脚系とは若干感覚が異なる。
多重ヒットの発生しやすい例として前進中に双方の移動ベクトルが鋭角に合流するような条件があり、これは限界速度を超える速度域で衝撃加速度が加算されても実速度に反映されないあるいは最大速度で頭打ちになることで前撃ヒット後も位置関係が後撃範囲内に維持されやすいことによる。例えば右前方へ移動中に敵機も同一方向に移動しながらゆるやかに接近してくる状態つまりY字路合流のような状態が理想的な条件で、他の脚部でも同じような条件で3重ヒット以上が発生しうるが軽量二脚は左右どちらからでもかつ双方の移動軸が直角に近い状態(T字合流)でも発生する優位点がある。また離脱しようとするターゲットに斬りかかると似たような状況が発生しやすく、加えてブレホが発動しない位置であれば機体実サイズの反発をせずに多重ヒットになりやすい。狙って多重ヒットはあまり現実的ではないが適性の高い空中では偶発的に起こることもあり、条件を意識しているだけでも多少違う可能性はある。なお停止目標に対して3重ヒット以上が発生しうるのはタンク以外ではほぼこのタイプだけだが機体正面付近かつ極めて至近距離の限定的なスポットなのでやはり狙って実現は至難、ただし上記の性質があるので地上目標へは狙わないとまず起こらない。ブレホキャンセルも前方特化型の攻撃判定マップを生かして多重ヒットを狙うことも不可能ではないが、側面に判定を持たず払い抜けるような斬撃はしにくいので空振りの危険が高く、正面から斬りこんでの発動前キャンセルも標的が無抵抗でもなければリスクが高過ぎる。ベースが優秀でかつフォローにはあまり適さない判定形状なためブレホキャンセルはリスクに見合うのは難しい。
地上の被攻撃側観点では斬撃側からみて右方向(前撃)への回避は単純に2ヒットの危険が増大し、逆方向への回避は着地解除で後撃が消えればいいが相手が巧いとやはり2ヒットのリスクが増える。そして後退方向は二脚系の場合は後退レスポンスが悪いのでが被弾までに加速が間に合いにくく場合によっては多重ヒット条件になりかねず、逆に敵機側にブーストか地上ブレードをかけて実サイズで反発させて低減を狙う方法は間合いが的確なブレホの場合は有効だが不確定要素が多く適当ブレードなどでは悪化する場合もある。しゃがみガードは軽量二脚標準タイプに対しては比較的有効だが、構えは操作後すぐに被弾高が縮小するのでキャノンで反撃する場合を除いてブレード被弾に合わせて構えて即座に武器切り替えでキャンセルするように、これらは回避動作ではなく被害低減動作なのでアシカラズ。
軽量二脚は重量級腕部(3001、1A46J)を装備した場合に標準に対し全体的に左へ旋回しながら射程を短くしたような形状に変化する。足下を払うようなモーションになるが空中判定は機体全高50%固定なので落下斬りがやりやすくなるといった変化は無い。特徴は軽量二脚標準に比べて正面左前方へやや密集した判定群をもちリーチに劣る。短くなった影響で間合いが取りづらくなりかつ双方の機体実サイズの影響が相対的に強くなり2ヒットも若干シビアになる。しかし根本付近の判定が密集したことで理想的な状態で踏み込めれば2〜3ヒットはむしろ発生しやすい。3ヒットには2fヒットが必須なので地上の停止・低運動目標には難しいが、運動目標にカウンター気味にいれるか後退中のターゲットに前進しながら深く入射すると多重ヒットも可能で障害物を背負わせた状態ではより確率が高くなる。また正面やや左前方に深く入射を狙う観点からは標準タイプよりもブレホキャンセルによる多重ヒット率がやや高いが、やはり実用性に関してはリスクを吸収するにはかなりの修練が必要だろうか。重腕タイプは標準に比べ防御を固めてやや左よりにインファイター化した印象だが、その分パンチ力は充実したと考えてもいいだろう。
さらに軽量二脚には標準タイプをベースに例外的に判定形状が大きく変化する組み合わせがある、まず「AN−K1」は標準タイプと大差ないが全体的にわずかに左側へ旋回することで標準タイプの直正面の判定範囲が狭い欠点をやや緩和し前撃で捉えやすくなる傾向にあると思われる。実にわずかな差だがメモリデータを操作してフロート二脚(上昇ブースト最大速度とE消費を0にしてフロートのようにした状態)にして斬撃を繰り返してみると2〜3ヒットの確率が若干ながら上昇する結果をみた。限定的な条件での検証ではあるがK1はもともと優れたパーツなのでブレードに全てを託すつもりなら僅かな差に期待して選択してみてもいいかもしれない。
もうひとつ重コア(XCH−01)は例外的に標準タイプのリーチを短縮したような形状でむしろ軽量二脚重腕タイプに近いが、重腕タイプのメリットである左寄りに判定密度が上がるといった変化をもたない。つまり判定が短くなるデメリットが強く出る傾向にあり、標準タイプの特徴である停止・低運動状態のターゲットへブレホで3ヒットは確認できず、2ヒットすら発生しづらい。深く入射した場合はほぼ標準タイプと変わらず、総合的には重腕タイプのほうが優れると考えたほうが良いと思われる。ただしK1を装備している場合はK1マップが優先され重コアによる例外変動が無くなるので耐久性とブレードマップ特性を両立できる。また重腕を組み合わせても重腕マップが優先されて重コアは標準的な変動になるがブレオンでもなければ軽量二脚のアセンとしてはなはだ現実的ではなさそうだ。
以上のようにアセンによる判定マップ変動パターンが多いカテゴリだが積載量に乏しいので腕部にはK1や軽・中量級腕部を選ぶことが多くなるだろう。もともと安定性・耐久性ともに脆弱な脚部なため斬撃の達成には反撃で必死に近いリスクを伴うが、逆に一撃必殺にかけるだけのブレードパフォーマンスを有しているといってもいい。そしてそれを実現するための運動性能と操作技術を許容するポテンシャルを持つ軽量二脚は、技巧派でありながら強烈なハードパンチャーという相反する立場を両立しうる。
○機動戦力に見る軽量二脚の評価
瞬発力と旋回力を生かした高速フットワークで迫る避けるえぐるという戦術に最も適した脚部といえる。実は最高速度はたいしたことないとつけ込まれないように。ぺらい装甲の神速機で「かわして見せろ!」などと叫びながら弾幕の中をステップを刻みながら斬り込むか、「当たらなければどうということはない」などと不敵な笑みを浮かべながら絶妙な距離で撹乱しつつビシバシ削る。絵的にもこれがウツクシイ軽量二脚戦術だろう。炎上する機体を前に「は、速い・・・」といわせようものならそれだけでこの脚部を選んだ甲斐があったというものだ。しかし決して「ぺ、ぺらい・・・」とは言われたくない。
その特徴は運動性能からみても戦術次第でそれにあわせた幅広いアセンが可能な脚部といえる。悪くとれば特徴が無い揶揄されるかもしれないが、単純に軽量二脚と重量二脚のスキマを埋める安易なカテゴリとはなっていないことに注目したい。また例外的アセンや例外挙動などが多い脚部カテゴリでパラメータや視覚に現れない地味な隠し特性などを持つやや特殊なカテゴリでもある。
○中量二脚の運動性能と特殊性
ブースト性能は装甲や武装にどれだけつぎ込むかによってかなり変わるが、軽量二脚と同等の運動性能から、十分な機動力を維持しながら軽量級には不可能な戦術バリエーションや装甲を確保することもできる。高機動特化を狙う場合は通常歩行の特殊性を除いて軽量二脚に準ずるためそちらの説明を参照してほしい。
限界速度について、まず積載量を武装や装甲などに費やして結果的に低下する運動性能は限界速度仕様のおかげで一方的なデメリットとはならない点に注目したい。詳しくは運動特性ディープ編で解説したが二脚系は軽量級でも重量級でも各絶対軸で“4800”を実速度の上限としており、これを超える速度は余剰慣性として減速を遅延させる。つまり限界速度以上ではアセンコストに対する水平最大速度の上昇効率が低下しかつ瞬発力のメリットに対して余剰慣性による反応性の劣化があるため、限界速度までは運動性能を低下させても巡航速度の低下を小さく抑えられかつ操作レスポンスがより安定するメリットがある。余剰慣性は発生前に切り返すことで抑制できるが移動中常に実践するのは不可能なので、装甲や火力によって運動性能が低下しても結果として恒常的に余剰慣性を圧縮する利点は多彩な戦術を身上とする中量二脚にとって瞬発力の代わりに手にするメリットとして十分生かせる。例えば最大速度からの切り返しで被弾範囲外へ離脱するのに必要な時間は加速度の低下分を余剰慣性の減少分で相殺するため最高運動性能と遜色なく、限界速度に達するまでの時間的余裕により細かい切り返し運動の幅も調整しやすいなどの性質がある。ただし当然のことながらブースト加速度は小さくなるので余剰慣性を発生させない速度域では相応に瞬発力は低下する。
そして空地で共通の限界速度に対して運動性能はそれぞれで異る設定域にあり、性能が高くなるほど空地の差が無くなるが中量二脚はこの恩恵を受けやすい運動性能帯に属する。まず地上ブーストは空中に対し性能的なアドバンテージが発生するように設定されており加えてブースト消費が空中の1/2になるが、中量二脚でも比較的容易に上限の地上ブースト性能に達するため地上に関しては軽量級と同等の機動力となり空中の限界速度も突破できる。したがって装甲・火器類の重量負荷によって運動性能を多少犠牲にしても地上では剰限界速度を意識しつつ低消費かつ最大級の運動性能を、空中では余剰慣性の影響を受けにくい操作レスポンスを生かして十分な機動力を獲得できるので、空地の運動性能とその特性を明確に使い分けることで中量二脚の機動力を最大限発揮できるような戦術やアセンを目指せる。なお空中限界速度を目安にする場合、二脚系限界速度“4800”は単一運動に1f分後退するタイプの予測射撃の命中境界にあたるため若干マージンを確保しておくとサテライト回避がしやすくなる。また近距離からの連射衝撃に弱い点が中量二脚の最大の鬼門になるので、重装型にしても状況に応じて空中戦に対応できるようにしておかなくてはならない。
旋回性能について、旋回加速度は脚部パーツにある程度依存するが際立った性能はもたず、有効重量が増えれば旋回性能は確実に低下し近距離での機動戦はやや難しくなる。重ジェネレータを搭載するなどして機動力特化を目指す場合はそれほどの差にはならないが、やはり脚部重量による旋回性能の低下は余儀なくされる。ただし遅くなるというよりは平均的になる程度で、軽量機の接近を妨害できない場合はできるだけ大きなサイトが欲しくなるが、あまり耐久力を確保できないので接近させない戦術的アプローチの方が重要だろう。逆に対重量機戦では旋回性能的には接近した方が有利になるので軽重で戦術的に分けて対応する余裕があればベターだが、それほど積載力に余裕はないので適した戦術距離を維持できる性能とそれに見合った武装を選ぶほうが現実的だろう。中量二脚はブレードマップに優れるので使いこなせれば至近距離は左手で事足りる。
通常歩行性能について、中量二脚は唯一前進方向と平行移動方向の速度が異る脚部で、平行移動が軽量二脚の約半分の速度、前進および斜め前進が逆関節と同程度(加減速振幅は小さい)に設定されている。横歩行が遅いため歩行性能が低く感じるが前進方向はさほど悪くなく通常歩行をする場合は斜め前進を、軟着地や被弾衝撃あるいは地上停止からのブーストなど必ず通常歩行を経由するため可能であれば斜め前方か前方を優先すると効率がいい。単純な歩行は近距離ではマトになるが、踊りはややレスポンスは悪いが可能。そして後退方向へは初速も発動も遅いため、特に引いていると射線にも被りやすく小ジャンプの接地も含め後退ブースト発動は余裕がある時以外は避けた方がいい。
また脚部ジャンプ性能はあまり高くないので近距離戦では使いにくいが着地時に軽減ブーストの必要がないためチャージング時でも着地硬直せずに素ジャンプを繰り返せるのはメリットになり、連続ジャンプする場合は入力継続で自動的に引き継いで発動する。また遠距離や障害物越しであれば十分実用できるので空中戦を主体とするのであればその瞬間加速は結構重要になる。
機体全高について、中量二脚の特殊性として僅かだが他の二脚系に比べ被弾高が低いアドバンテージがある。他の二脚系機体の全高が“225”に対して中量二脚は全高が“212”に設定されている。ただしコア及び腕部パーツには全高を“225”にするものがありK1もこれに含まれる(運動特性マニアック編で解説)。このアドバンテージは様々な局面で有利に働く可能性がある。まず単純に水平投影面積が小さく被弾率が減少する。差はそれほど大きくないものの散弾系などでは停止していても若干その影響が、狙撃系でも上下方向への運動を効果的に織り交ぜることで回避効率が向上する。数発の回避が戦局を左右することもザラにあるので多少なりとも有利とあれば、活用できる戦術を模索するのが中量二脚使いのススム道だろう。
そしてブレード戦術にも若干有利で、防戦時には身長が低く落下切りのタイミングをややシビアにし、空中でも多少高度差があれば全高の差分だけ被弾率が減少する。攻撃時には空中攻撃判定が他の二脚系に比べて若干低い位置(全高50%、“106”)に発生するのでタイミングが取りやすくなる。1fの落下距離が機体半高を吸収してしまうような速度では役に立たないが、他の二脚よりも足下に余裕がありかつブレホ中に地上に接地する前に上昇する余地が残っているのも事実だ。低空飛行戦術などでこれを生かすのもいい。
二脚で肩キャノンを使いたい方のために、着地硬直発生時に構えるとその瞬間に着地硬直を解除して旋回が可能になり、即座に武器切り換えでキャノンを解除すれば構え動作を中断するので10f前後まで動作不能な時間を短縮できる(構えキャンセル)。構えと構え解除はサイトが切り替わった時点に機体被弾全高が変化し、その瞬間に予測射撃されたものは上下へ散開する。ただ残念ながら連続で切り替えると機体全高が変化しない(カメラ位置が変化しないので判別できる)バグがあるようなのでダッキングで上下に散らすのはまずムリ。そして構え時の被弾全高は134と急激に縮小するのでブレード被弾の瞬間だけ全高を低くして多重ヒット率の軽減(しゃがみガード)や構え中は硬直せず旋回可能なので固まってどうしようもなくなった場合に猫を食む用に、散弾なら地形と旋回性能次第で多少望みはあるかも。ただししゃがみガードは相手側のブレードマップや脚部特性や斬り方によって相性がだいぶ変わるので緊急回避的な最終手段として。さらに右腕武器が爆風を発生するなら構え中に武器切り替え&射撃で収納動作と移動予備動作をまとめて自爆キャンセルして直接空中へ脱出可能(リコイル&リロード中は不可、重二も不可)、湿気る地形でもアセンと水深次第で自爆できる。ついでに構え時は射撃目標位置も低くなるのでチャージング時や遠距離からの牽制に頭が出る程度の高さの構造物や遮蔽物等の影を利用した戦術などに使えなくもないかも。立体地形豊富な場所なら発射反動で足場離脱するのもありか。そして中量二脚のみの特性として3001・K1・武器腕以外と左肩装備の組み合わせで肩キャノンの準備動作が全脚部中もっとも早くなる(射撃可能になるまでの時間、右肩はむしろ遅い)。まあ実用性はともかく中量二脚使いとしては追及してみるのもオモシロイかも。しかし広いステージが少なく手頃な構造物が少ないのが残念なところだ。ステルスも両肩で併用できないし。
○中量二脚の安定性
中量二脚の衝撃の無効化目標はPX−0及び502は“2”、それ以外は“3”、衝撃“4”を無効化できるパーツは存在せず、重ジェネレータを搭載するといずれも“3”を無効化不能。連射衝撃武器全般に対しての被弾硬直時間の応急的な軽減は可能だが安全圏まで高めるのは難しく、歩行レスポンスが緩慢で後方へのブースト発動も短縮できないなど近距離で地上被弾すると振り切れずに捕まりやすい。こと固め対応力で見劣りするのは後退方向へはいずれもブースト発動が短縮できない点が大きく、これは中・重量二脚(通常腕部)だけなのでひょっとしたらPPからMAへの仕様調整が原因かもしれない。ただし左右・前方へは通常どおり最短で発動できるので被弾方向と脱出方向に注意すれば若干強化された安定性を生かすこともできるだろう。また空中では完全に安定性依存なので被弾硬直は軽量二脚よりは低減可能で、着地硬直を起こした場合も短く済む。そして中量二脚は中距離で引くか空中戦メインの機体が多くなると思われるが、空中硬直中はブーストできないので時間をできるだけ短くして撃墜硬直を抑制したい。このため可能な範囲で安定性を優先した方が良く、優先できない場合は弱点を露呈しにくい戦術に特化する必要がある。自爆抜け可能な武器を搭載する場合は安定性の優先度を下げてもいいが、アセンを大幅に制限されるため火力や戦術へのリスクが高くステージ依存性も強くなるので高い運動性能を確保できなければ難しい。
中量二脚の最短ダッシュジャンプ発動は硬直時間+7f、しかし後退ブースト発動が実用できず遠ざかる方向へのダッシュジャンプが難しいため急接近されたり硬直時間延長パターン(原理不明)に被ると容易に1〜2f分脱出がシビアになりやすい。このため固め殺し対策としてできれば1f分の余裕が欲しい。そして抜けにくい場合は横を向くなど射撃とは逆向きへのダッシュジャンプができれば脱出しやすくなる場合があり、旋回する余裕が無くても正面の広い範囲に実効火力がある場合や側・背面から強襲されるような条件では操作方向を選ぶ余地がある。なお武器腕中量二脚は停止状態から右後ろに最短でブースト発動できるので引く戦術などで衝撃への対応力が高まり脱出しやすいが、それ以外は全て僅かに長い(軽量二脚武器腕と同じ)。被弾硬直関連は被弾安定マニアック編、固め関連は射撃特性ディープ編で解説する。
武器別に見るとまず無効化次第で低安定二脚キラーになる衝撃“2〜3”が条件を左右するが、PX−0と502は衝撃3の無効化は不可能なため固まらないような戦術と操作を磨いて対応する必要があるが、それ以外の脚部はアプローチ次第で無効化できる。衝撃3のHG235、LN350は高機動特化型をのぞいてほぼ無効化可能、衝撃2のSPGUNは全脚部で無効化可能、いずれもリロード5なので無効化していない場合は地上で固まると自力脱出不可能、肩キャノンは射撃点が高くHG235は空中から射撃することが多いのでいずれも跳ね上げはあまり期待できないが浮いた瞬間に脱出できるように最低でも硬直は1にしたい。なお中量二脚は軟着地からの予備動作も緩慢なので再着地した場合はやや抜けにくくなる。衝撃“4”のHG512(リロード8)は無効化不可能だが全脚部とも安定性次第で脱出可能、硬直1ならほぼ安全圏、硬直2は脱出可能だがなかなか即座に抜けるのは難しいので固め斬りが脅威、硬直3以上で脱出不可能になるので自爆武器を積まない場合は502やTL搭載機でも自信がなければABSは除外しないように。安定性が低いとRF/5(衝撃7、リロード10)でも固まる、脱出境界は硬直4だが微妙なのでできれば硬直3に。これらは安定性によってかなり相性が変わる特化武器なので戦術や有効距離がかぶる場合は対策しておかないと分が悪くなるが、それが可能なポテンシャルを無駄にしたくない。
HG1(衝撃10、リロード8)は脱出境界の硬直2を達成可能な脚部は1001Bと8000Rで安全圏の硬直1は不可能、脱出境界に達しても命中範囲が広く衝撃加速が強力なため捕まりやすく、発射間隔でほぼ弾速距離を突破できるため急接近中の連射からの脱出は困難で空中からのブレード連携には捕まった時点で自爆かしゃがむくらいしか有効な手段が残らない。そして硬直2は硬直時間が延長される発現パターンになりやすくその発生率も非常に高いようなので苦しいが、固め殺しからは抜けられる可能はあるので諦めないように、後退以外の離脱方向への脱出を優先しよう。それ以外の脚部は固まると脱出不可能。キャノンがあれば判定サイズを縮めて旋回できるのでただでは固め殺されない・・・かも。このためHG1による固め戦術系の相手には自爆武器を用意するか正対せずに逃げ回りつつ有効範囲外や物影から攻撃するしかないが、軽装でも実効火力十分な武器なので軽量高機動機が相手となると逃げ切るのは難しい。残念ながらHG1を制限無く解禁してしまうとその占有率から中量二脚(にかぎらず大抵の脚部)は選択肢に残るのが難しくなるが、この例外を除けば安定性は致命的というほどの弱点にはならない。
○中量二脚のアセン考
まず中量二脚で機動力を特化する場合、軽量二脚と比較すると良好な歩行性能を失い安定性のアドバンテージも殆どないので連射衝撃への対応力が最大の弱点となる。このため通常歩行を多用しない空中戦が適しており、万一の着地硬直も軽量二脚より短かく、ブレードマップも秀逸で機体被弾判定もやや小さいなど空中での斬撃を交えた機動戦とも相性が良く、増加する装甲あるいは重ジェネレータの持久力を加味すれば空中では軽量二脚に勝る高機動戦ポテンシャルを秘めているといえる。そこで運動性能に特化しながら耐久力の向上を目指す場合にはLN−502という特徴的な脚部がある。何と言ってもカッコイイ(?)装甲(しかも脚と連動して動く)のおかげでビジュアルの追及にもイチ押しのパーツながら、ビジュアル系はヨワイというACの伝統にとらわれない逸品だ。この脚パーツは高い重量効率でAPと防御力の増加に成功し、ほぼ満載状態でも優秀な旋回性能に加えて最軽量ブースターで最高級の運動性能に達する軽量さを維持している。AN−K1で被弾全高が大きくなるのがちょっと残念だが中量級腕部とは全般的に相性がよく、先鋭特化と割りきってD0コアも選びやすいので装甲はもともと優れるE防御とAPを重視するとより長所を伸ばしやすい。あるいは最高クラスの運動性能と持久力の両立を目指すなら軽めで低消費のLN−1001などに重ジェネレータGBX−TLを搭載し中量級の利点を生かして燃え尽きるまで宙を舞うのも十分選択肢になりうるコンセプトだ。この場合は必然的に最大級のE回復性能と1001までなら最軽量ブースターで最大性能を達成し、持久力を存分に生かせるならT2ブースターでもいい。近いコンセプトで比較すると軽量二脚にはもともと積載が足りないが、重量二脚(S3)は重量とE管理とブレードが、逆関節は重量と積載が、四脚では積載量とE消費がそれぞれネックになるので中量二脚ならではのアプローチを生かせるハズだ。いずれも左手にブレードがあると火力的にも戦術的にもE管理的にも身長的にもビジュアル的にも生かしやすいが積載量が若干厳しいか、ついでに操作性のハードルをクリアできれば腕武器単装(ブレードは可)でも開幕から運動性能を生かした手動補正射撃も可能になる。
中量二脚による中量級戦術の展開を目指す場合、主力武器一本を基準に選ばざるを得ない軽量級に比べミサイルなどとの連携やサポート武器を選択する余裕があるため戦術のバリエーションや駆け引きの材料をより多く獲得できる点に優れ、運動性能で振り回しながらの連携戦術という意味では重量級に優る戦術性を得られる。一方で積載量を火力と装甲の両方に振り分けるほどの余裕はなく、装甲を重視してもよりベース装甲の優れた重量二脚か実弾系特化で脚部特性と体力を両立する逆関節に匹敵する特徴を出すのは難しく、中量二脚としては装甲は軽めに抑えて火力とその戦術バリエーションに注力した方が性能を発揮しやすい。ある程度運動性能が低下しても限界速度以上は余裕で維持できるので、重武装であっても明確なアプローチで中量二脚の特徴を十分に生かす戦術が展開できるハズだ。
そこで標準的な中量二脚パーツから連携も含めた戦術展開のために運動性能を両立する場合には1001が使いやすい。十分な運動性能を確保する観点からは1001Bに比べ三百を超える重量差は大きくなにより旋回性能はブースターではフォローできない。ただしさほど装甲差がないとはいえ心もとない耐久力を腕部などで補おうとすると重量差を逆転してしまいダメージ係数境界次第では1001Bが完全な上位互換になる場合もあるのでアプローチ次第だ。したがって火力・機動力型のベースとして選ぶ場合には1001が、武装がやや重い場合や比較的有効距離の離れるような戦術を考えている場合には強化型の1001Bが適しているだろうか。ほとんど同じ装備で衝撃3の無効化や苦手武器の脱出境界が分かれる場合は1001Bを優先してもいい、完全ではないが1001Bは安定性で応急的なHG1対策も可能だ。PX−0は尖った特徴が無くコンセプト的に1001か502(か501)がほぼ完全上位互換になってしまいやすいだけで産廃というほどでもないわりに衆目を(ネタではなく勝って)集められそうな脚部パーツでもある、若干ながら低消費で軽量なわりに積載力があるので耐久差がでにくい武器腕などは意外に侮れないカモ、最大の難点は初期パーツで固めてしまいたくなる点だ。特徴的なD−8000RはできるだけE耐性に特化した機体を組んでもAPにも優れるのでそれなりの実弾耐久力を確保できる。特に中距離戦で最も回避困難な武器はEサブやEスナあるいはXC65やEグレであり、手動補正射撃なども含めると得意な戦術距離にズラリとE系武器が並ぶ。ブレードもまたE兵器だ。そして近距離以外の着地硬直では無衝撃のE系の方がオソロシイ。銀ジェネ一択で衝撃3の無効化は必須に近いが、境界上ながらHG1の固めから脱しうる最低条件を満たしうる点も見逃せない。E耐性を特化しながら引く中距離戦を目指す場合は高機動の502より積載量豊富で武装を選ぶ余裕もある8000Rの方がアプローチの幅が広い。
ブースターは中量二脚にとって戦術の分岐点ともなる要のパーツで、選択した武器特性と運動能力の相性をよく見極めて選びたい。トップアタックや空中戦を積極的に仕掛ける場合は空中ブースト速度と消費効率との兼ね合いを重視する必要があり、消費が高すぎると隙となる接地回数が多くなり逆に低消費でも上昇ブースト加速度が低いと結局滞空性能も低下してしまいなにより空中の機体制御コストが大きくなる。あるいは地上起点で小ジャンプを多用する場合は戦術や選択武装次第で空地二段の運動性能帯を生かすか、あるいは空戦能力と持続力を犠牲にしてでも加速性能を優先するかなどで最適なブースター選択が分かれる。たとえば地上ブーストは入力解除しても10f弱の間は自動加速と稼動時E回復を両立するため、小ジャンプ移動は着地ブーストとダッシュジャンプそれぞれの発動時2回分のブースト消費を最小限にすることができ、このブーストスライドによる加速移動距離とダッシュジャンプ力が高いほどより損失の少ない移動効率と長い滞空時間につながる。したがって小ジャンプ移動ではより高い移動効率や上下運動による被弾率の低減と滞空中の待機E回復時間の確保という観点からも出力を優先した方が結果的にE管理にも有利になる場合がある。また二脚系は軟着地時に急減速しかつ特に後退方向へのブースト初速がかなり小さいため、引く戦術で後退効率を高めるにはできるだけ軟着地回数を減らすかブースト加速度を高める必要があるので武器や戦術次第で優先すべきブースト性能が分かれその相性も大きく異なる。
ついでにコアでは特にD0が目を引くが被弾安定性を確保するのが難しいうえミサイル迎撃機能不全という弱点があり、特に中距離以遠を主体とするタイプではオプションスロット数と迎撃機能で装甲差を補ってあまりあるのでS0コアかあわよくば初期コアも選択肢になるだろう。CLコア(とK1腕・重腕・重コア・武器腕)は被弾高が高くなるため中距離以上では小ジャンプ(上下運動)の回避効率や拡散系の被弾率に若干影響し、至近距離ではブレードの攻守にも影響するので悩むところだ。CHコアも迎撃機能不全なため増加装甲が被弾サイズの変化と重量増のリスクに見合うかは難しい。
火器について、中量二脚は軽・重対比バランスの中間に位置するため両陣営に対応可能な戦術を確保する必要があり加えて同クラスにも競り勝たなくてはならない点でハードルが高い。しかし装甲とそれによる機体負荷を抑えることで比較的強力な肩武器を搭載する余裕と機動戦にも対応できる旋回・運動性能が両立できる。そして高耐久な重量級に対するダメージソースと高機動な軽量機に対する戦術とを、主力武器で両陣営に対応するかあるいは別々に設定するかそれとも堅実に削り倒せる武装を組み合わせるかなど多彩なアプローチで選択できる。殆どの武装が選択肢になると思われるが、どちらかといえば対重量級への決定打となりうるものを起点に考えると選びやすいだろう。
以下参考までに例えば、E系武器は腕武装に豊富な種類があり最も軽量なものでも対重量級に対して十分な火力を持つが、機体負荷が大きくなり持続的な機動戦が難しくなるのでどちらかというと小ジャンプなどの地上付近の瞬発力とE管理を重要視した機体と相性がいいが、有効距離の維持を両立する必要があるので肩武装は対軽・中量級に命中率の高い多弾発射タイプか多ロック型の小型ミサイルなどが使いやすく、軽量攻撃的タイプと連携用のミサイルを組み合わせてもいい。ミサイルは全般的に対重量級にもポジショニングサポートとして優秀な性能を持つが、散開の大きいものは前進中の射出がより効果的で比較的軽量なものが多い。またE系ライフルは弾速と単発威力に優れるので重武装ぎみでも狙撃戦術を展開しやすく特に手動補正ができるなら肩武器を積極的に使うことができ、単武装の射撃戦に特化するなら衝撃サポートが無いので精密予測系の有効射程外を維持できる機体向き、例えばE系装甲重視の低身長・機動力タイプにできれば対ミサイル機能付加も、そして旋回は高い方がいいので重量がかさむならブレードは外してもいいかもしれない。実弾系武器では重量級戦にも対応できる重火力武器は弾速が遅いのでやはり機動力が必要になるが、E負荷がないのでやや空中戦寄りの持久力重視の機体でも扱いやすく、衝撃サポート性も持つのでより機動力を重視する接近戦タイプならブレードをお供に単装か、引く射撃戦でも使いやすいが狙撃にはややハードルが高いのでサポートに弾道の安定しやすいミサイルか連携ミサイルなどが扱いやすい。実弾衝撃系の軽量武器では対重量級戦への決定打を主にブレードか両肩キャノンに求めることになるので、そのいずれかと最低衝撃7以上かつ対軽・中量機へのダメージソースになりうる武器が選択肢になり、どちらかというとハンドガンは機動力重視の接近戦向きでブレードと両肩キャノンともに相性はいいが両肩キャノンは瞬発力&E管理系向き、高旋回・接近戦タイプでサイティングに自信があればS50ロケット&ブレードという手もあり扱えれば対軽量・高機動への特化武器や尖った肩武器など選択肢豊富、実弾系スナイパーライフルは対軽量機戦と対重量機戦で戦術を変えて対応するバリエーションタイプで肩武器はミサイルの方が扱いやすく、射撃武器の有効距離外からミサイル戦術メインならブレードレスかあわよくばミサイル腕でも、ミサイルを組み合わせる場合は連携用ミサイルを起点にするか射出軌道や特性の異なるものが戦術に生かしやすく上空からの戦術展開向き。精密予測系の実弾射撃武器は堅実な命中力があり機体負荷もないので重装系中量二脚でも扱いやすく対軽・中量機戦に長けるが、中量二脚が苦手とする衝撃特化系の武器と有効距離が近くなるので空中戦向きで肩武器に削り火力とサポートを要求され、堅実なミサイルか扱えればロケットもいいが対重量級への決定力に欠くなら総火力を落としてもブレードサポートが欲しい。肩キャノンは余裕があるなら構え技用に持ってもいいが実用性は微妙なので軽量でリロードが短いものを、射程外から攻撃できるものもあるが適した地形やマップがやや少ない。この他にもカテゴリでくくれない独特の性質をもつ武器が多数あり、これらを組み合わせて豊富な積載力と十分な機動力を両立する中量二脚でこその戦術バリエーションを狙いたい。
武器腕について、中量二脚はベース性能に比べて前向きに脚部特性が修正されるものの基本的な安定性と耐久力が低いので弱点を克服するには至らないが、パーツ自重が比較的軽量で積載量に優れるので武器腕のアセンもしやすい。防御力は低いがAPで多少カバーが効き、ジャンプ機能が軽量二脚並みに強化され歩行性能も若干上方修正されるので機動力やE管理性能は向上する。ただしチャージング時などで素ジャンプ&着地を硬直なしには繰り返せなくなる。また地上硬直後のブースト発動が右後ろに最短になるため後方へダッシュ&ジャンプをかけやすく使い方によっては標準よりも固まりにくくなる利点があるが、他方向は全て1f長くなるので脱出境界の武器では死角方向から被弾するとつらくなる。
いずれにせよ装甲を重視してしまうと低下した運動性能を補う火力を載せる余裕はないため総合的な火力とそれをダメージにのせる戦術バリーションの両立を目指したい。平均的なパラメータや標準と銘打つカテゴリのため汎用性を重視したくなるが、多くの脚部カテゴリが特化を余儀なくされるため結果として重要局面でいずれにも競り負けるという展開はハマリがちな落とし穴といえる。オールマイティーな機体を目指して、中量二脚はなぁ、などとは言って欲しくない。重量のわりに積載力に余裕があるという特徴は、それを明確な戦術の礎として活用してこそ中量二脚のオーソリティに一歩近づけるというものだ。
○中量二脚の空中ブレード適性
やや運動性能が落ちる場合でもブレードホーミングは限界速度を上限としているため水平方向へは容易に上限に達する。ブレホを重視する場合には上昇ブースト加速度と旋回最大速度が高いほどいいが、ブレードを主力にする場合を除いてそれほど追及する必要はないだろう。中量二脚標準のブレードマップは全脚部中最も広い攻撃範囲をもち、正面および左側方へ判定距離にして“300”を超える。軽量二脚や四脚、タンクでも正面に対して約250前後、全般的に側方斜め前方へ100〜240程度、そして実質的に機体実サイズ100(四脚・タンクは112)を減じた範囲が有効になるためリーチとそれに付随する命中率という意味では突出した性能を有しており、さらに若干低い全高が潜在的な適正を発揮する。
中量二脚の判定は前撃の2本が正面に集中するためブレホで目標を正面に捉えやすい条件では容易に2ヒットが発生し、着地解除しやすい落下斬りでも前撃だけで安定して2ヒットを達成できる。むしろ正面で前撃2ヒットしにくいのは軽量二脚標準特有の欠点(長所でもある)ともいえるが中量二脚は正面2ヒットに有利な判定をもつもののなかでは突出してリーチが長く遠ざかる相手も狙いやすい。そして後撃は右側が前撃に近い位置に配置され、左側は大きく傾斜しながら突出した長さを持つため空振りもしにくい。これにより中量二脚は広い判定範囲とともに正面の2ヒット効率と側面のフォローを両立している特徴があり、命中率と汎用性という観点からは全脚部中最も優れたブレードマップをもっているといえるだろう。一方欠点としては四本の配置が広く分散しているため間合いが遠いと単ヒットが多くなりがちなことと、前・後撃ともに左側と右側の長さが違うことぐらいか。ただこれは長い方を基準としたタイミングや間合いでのハナシで、中量二脚は単純に距離で単ヒットと2ヒットが分かれるので間合いははかりやすい。遠目でも2ヒットが容易に発生するのは軽量二脚とタンクの特権なので、中量二脚は広い範囲を空振り防止や空中戦などでの+αとして活用するつもりのほうがいい。多重ヒットは発生しにくいが全脚部とも1〜2ヒットが実用範囲ということを考えるとまったく問題ではない。
多重ヒットについては低運動目標にブレホで斬り込むとほぼ必然的に正面に捉えてしまうので前撃分2ヒットが限界となり後撃を当てることはむずかしい。移動目標に対してはカウンター気味に入射すれば前方やや左に抜けるような形で3ヒットが発生するが容易ではなく、右方向への並走状態やY字合流のような条件(左側から進入してくる出合い頭ヒット)で発生しやすくなるが狙ってできる条件ではない。停止・低運動目標に対しては困難だが比較的多重ヒット可能な範囲は広いので機動戦中や空中斬撃戦などでやや左よりに捉えると偶発的に3ヒットが発生することもある。
また中量二脚標準はブレホキャンセルが斬撃戦術に組み込みやすいカテゴリでもある(とはいっても他の脚部に比べてという意味で、他の有用な戦術のようにという意味ではないのであしからず)。これは前方から左側面にかけて広い攻撃範囲をもち、かつ深く入るとどの位置でも容易に2ヒットになり、機体実サイズに干渉されずに踏み込めるので条件がよければ3ヒットも発生しうるからだ。特に重要なのは空振りしにくい点で、ブレホの初動加速方向が絶対座標軸に左右されやすいリスクを圧縮しやすく気軽に発動できる。もちろん3ヒットはそうそう発生しないし技術的にもたやすいものではないが、自動化リスクの低減と半手動の斬撃パターンが可能というメリットもある。例えば通常はフォローに回る左側の判定を駆使して正対した状態からでも反撃されにくい側面に斬り込んで着地あるいは空中で払い抜けて限界速度のまま離脱できる。操作としては、敵機を右前方に見る状態からブレホ発動・キャンセルでブレードモーションに沿って正面を薙ぎ払うか左側面を払い抜け、左前方からでは斬り掛るように正面を薙ぎ払うか後撃を側面に突き立てる。目標を正面近くに捉えていると左右の加速方向を予測しにくいので左か右へやや角度をつけた状態あるいはつくと予想される状態から発動するといい。そして水平ブレホは慣性と加速度を無視して瞬時に最大速度に達するため発動前に水平の運動状態を考慮する必要はなく、機体角度はキャンセル時を維持するのでその後は操作はできない。ブレホ発動前にキャンセルした場合は直前の機体運動・角度を維持したまま斬り込む。唯一操作可能なブースト(垂直)は細かく調整している時間的余裕は無いため、オンかオフかを状況に応じてパターン化しておくといい。ただし位置関係が絶対軸方向に近いと比較的細かい制御で目標位置へ突入してしまうこともあり、機体右側に抜けてしまうと判定が小さいため空振りのリスクが高くなる。なおサイトギャップの影響でロックサイトは機体の向きの目安にならない。
中量二脚には判定マップが2種類あり、重量級腕部(3001、1A46J)を装備すると判定形状が変化するが、このタイプは判定範囲が全脚部中最も狭く各判定の間隔も広いため多重ヒットどころか単ヒットも難しい。そして重量級腕部は全高を大きくしてしまうデメリットまである。さらに重コアを組み合わせることで若干ながら範囲を大きく修正できるがほとんど焼け石に水なうえ現実的なアセンとはいいがたい。実践的には単ヒットが支配的で3〜4ヒットはまず不可能と考えていいが、後端の判定を利用して逆関節的ブレード戦術を踏襲できなくもない点では絶望的というほどではないか。しかし残念ながら中量二脚の優れたブレードマップが見る影もないオドロキの弱体化ぶりで全カテゴリ中もっとも相性の悪いブレードマップなため、この脚部カテゴリで通常ブレードをダメージ源と考える場合には重量級腕部は選ばないのが懸命な判断といえる。もし重量級腕部を選ぶ場合は射撃武器メインで光波ブレかもしくはブレホ専用の軽量か低消費タイプを選ぶほうがいいだろう。なお1000Wは地上で四脚・タンクにヒットできないのは軽量二脚のみなので問題はない。
以上のように中量二脚標準タイプのブレードマップは優れたパフォーマンスをもち、かつ比較的高い運動性能が確保しやすい点と全高が低いことでわずかながら被弾範囲と斬撃高位置に優れる点などからブレードをダメージ源とする戦術展開も十分可能な性能で、通常の斬撃はもちろん衝撃連携やブレホキャンセルなど斬撃技術の懐も深い。中量二脚の美点を十分生かせれば高い火力を両立しながらでも頼もしい接近戦力を約束してくれるだろう。
○機動戦力に見る中量二脚の評価
さて機動性にみる中量二脚の評価としては、意外に特徴的な立ち位置で超特化型の機体から、被弾を選択しながら戦術を展開できる最低限の耐久性を確保しつつ高い機動性と火力を両立する戦術バリエーション豊富な機体までを実現できるカテゴリといえる。中量二脚は軽二と重二の間を埋めるものではなく、ポテンシャル的にはしっかり六角形の一端を担っている。意図的にその中間を埋めるアセンを否定するものではないが、やはり中量二脚にしか出来ない戦術があるならばそれを目指すのが性能を引きだすための秘訣だろう。もう「ありきたり」とか「見た目重視」などとは呼ばせない。
重量二脚の特徴は二脚系最大の耐久力と積載力、そして安定性だろう。際立った運動特性をもたないものの、十分な積載量で高い耐久力と高火力、そして継戦能力に優れるためこの脚部のキーワードは「戦略」といえる。また運動性能は低いとはいえ致命的というわけではなく、しっかりと運動特性と武器の性質を把握することで回避やポジショニングにつなげられるだけの性能を十分に有しており、なにより戦略的に攻撃を展開するためには必要不可欠な要素でもある。
○重量二脚の運動性能と特殊性
運動性能の観点からは高い安定性で機動力を阻害されにくい点を除いて残念ながら注目すべき点はない。だが軽量二脚でも“4800”、四脚でも“5376”が限界速度ということを逆手に取れば余裕のある高火力と耐久力でプレッシャーをかけつつも高機動機に近い巡航速度で戦場を駆け抜けるのは十分に可能だ。被弾が覚悟のうえという重量二脚にとってみれば、限界速度級の最大速度を確保できれば弾幕を展開しながら目標へ最短距離を突っ走れる。例えば軽量機は例外を除いて避けることが条件の機体構成にならざるを得ないため接近するためには余分な移動距離を必要とするし、衝撃にも弱いので撃墜できればチャンスは広がる。対重量機戦では戦術と技術にみあった機動性を確保していれば射撃戦だけでなくブレードを当てるチャンスも狙えるので基本的なアセンに失敗していなければ技術次第で立回れる。
限界速度について、空中限界速度級のアプローチについては中量二脚と被るのでそちらを参照してほしいが、地上限界速度級のアプローチは空中での運動性能低下と地上の瞬発力低下のため耐久力と安定性に余裕のある重量二脚でなくては難しい。限界速度はx・y絶対軸で独立しているのでそれ以上の運動性能も無意味ではないが、高い加速度を獲得するのはもともと難しいので地上でのアドバンテージを引き出すことを主軸に戦術展開の要となる地上の限界速度にターゲットを絞るような方向性も選択の一つだ。そして限界速度は空中・地上ともに“4800”なので地上限界速度級というかなり低い運動性能でも高機動機と大差ない巡航速度で移動可能なことで重量二脚の利点を生かした戦術次第で戦略的な展開を可能にする。そしてそれによって可能になる中堅・低消費ブースターの選択と地上ブーストのエネルギー効率による高いブースト持久力に加え、結果として著しく低くなるダッシュジャンプのため地上ブーストで接近しながら迅速に空中ブレードで対地攻撃が可能になるため対重量級のダメージ源としてブレードを組み込みうる操作性も実現する。また重量二脚は鈍重な歩行特性のため空中速度が高くても接地の瞬間に大きな減速を伴い、特に後退方向への軟着地&ブーストレスポンスに劣るため着地回数が多くなるほど長期的な移動速度が遅くなる。このため引く(あるいは押す)戦術が多くなる重量二脚にとって曖昧な運動性能になるよりも空中限界速度で飛び続けるか、地上限界速度で走り続けるようなアプローチの方が移動効率が高くなる。またブースト速度だけでなく衝撃を伴う武器や牽制射撃によって移動効率の逆転をはかるのは重量二脚にとっては基本的な戦略概念となる。なお二脚系限界速度4800は1f後退タイプの予測射撃では命中境界になるため旋回の遅い重量二脚ではサテライト回避で予測を散らすのがやや難しいので若干マージンを確保しておくとサテライト回避効率が安定する。限界速度付近の運動性能上昇はさほど絶対軸の制約が大きくないので、プラスアルファとして大きく見積もっても四脚限界速度(5376)級の性能ほどもあればサテライト回避にも巡航速度にも生かしやすい。プラスアルファ分は有効距離や旋回性能などでも調整できるので、十分サテライト回避できるようならもう少し下げてもいい。
一方高出力ブースターによる重量級戦術については機動力としては中量級重武装と被るが、それに比べ高い耐久力を得られるメリットがあるので武装による火力との両立を図るか、TLジェネによる持久力の確保を優先するかの選択になるだろう。この場合では空中の限界速度+αを目標にするといい。そして中量二脚の項でも述べたがジャンプ加速の増大に伴って小ジャンプ移動のエネルギー収支が高くなるので、ブースト性能は曖昧にせずに持久力か瞬発力かはっきりコンセプトをもって組みあげたほうがいい。地上のパフォーマンスを最大限発揮するためにいかに空中を生かすかという点は重量二脚といえど例外ではない。
地上ブーストメインの難点の一つはE回復時間の確保だろう。小ジャンプについては地上ブースト中にブースト入力を解除してもブレーキングを開始するまでの10f弱の間ブースト加速(ブレーキング開始後は減速)しながら脚部稼働時E回復ができるのでこれを利用する。つまりE回復手段と割り切ってブースト入力解除後すぐに発動せずに間を置くことでブーストを継続しながらE回復し、ブレーキングやダッシュジャンプ直後の減速にあわせて切り返すように8字ジャンプするなどの工夫で被弾率の低減をはかるといい。ただし完全停止してしまうと再ブーストに時間がかかり特に後退方向へ隙が大きい。もし操作に格段の自信があればブレーキングで停止する直前に再入力するとジャンプせずに再加速するのでブーストを維持したまま方向転換や切り返し時に若干E回復ができる。なおブーストスライド中は自動制御だが旋回操作は可能(ブーストはその瞬間の機体の向きに対して加速するので軌道も変わる)で、再ブースト時に全方位へ方向転換できるので半永久的にブースト移動しながら前後左右に切り返しつづけることもできる。
そしてもう一つの難点は被弾衝撃だ。弱衝撃武器はだいたい無効化可能で実弾系のダメージはさほど脅威にはならないが、強衝撃武器やミサイルによる運動阻害はE系武器と連携されるとツライことこの上ない。連携の起点となるミサイルや単発に近い重衝撃を回避できないと判断した場合は迅速にダッシュジャンプして空中で被弾すれば地上での硬直停止を回避して連携追撃を抑制でき、高安定なので空中での被弾硬直時間は短い。ただし着地硬直は大きいので飛び過ぎや頭上からの強衝撃に注意。これらは主に武装と地形を利用した戦術によって対処せざるを得ないのでそのための準備やアセンアプローチも必須になる。安定性に関しては後述する。
回避の観点からは、加速性能がかなり低下するとはいえほとんど余剰慣性を発生しないので減速反応は良好で、サテライト回避がしにくい状況でもタイミングを見極めることで切り返し回避は十分可能になる。ただし地上と空中では運動性能換算の係数が異なり同じ最大速度でも地上の方が加速度が小さくなるのでより的確な回避操作を要求される。重量級の回避で重要なポイントは相手の火力性能から被弾と回避の割合を想定し戦略的に回避することだ。全てあるいは場当たり的に回避運動をするのは操作コストが高くまたそのための実用的な運動性能は獲得しにくいので、被弾と回避を選択することで回避効率を高め有利な戦況を展開するのに必要なダメージをマネジメントすることが重要になる。詳しくは射撃特性ディープ編でも解説したが武器カテゴリや特性によって効率のいい回避方法が異なるので相手の武装や戦術に合わせて被弾の選択も回避運動の一部としてできるだけコストやリスクの小さい最適な回避方法を選択することも必要になる。
例えば限界速度+αの巡航速度があれば2f以上後退する武器はもちろん1f後退する武器でも敵の射撃タイミングをはかりながら予測を散らす操作で単一運動でも被弾率の低減が十分に可能で、余剰慣性のない速度域であれば常に機敏に加減速の調整ができ、同様に切り返し運動でも減速の遅延は起こらないため常に安定したレスポンスがある。予測が正確な武器は切り返しで回避しやすいが、予測射撃が後退する武器は切り返し必須な条件となると加速度の小さい重量級にとっては鬼門になるのでできれば引きながら射撃に対してある程度鋭角に運動して予測射撃を後退させずにタイミングを合わせて切り返した方が回避しやすい場合もある。ただし弾速によって有効距離がかなりシビアになるので高弾速武器は十分な距離を取るかサテライト回避ができる状況に誘導した方がいい。武器腕は狭角状態と広角状態によって移動方向で相性が大きく分かれ、2次ロック射撃と手動補正射撃を選んで狙撃されると水平運動メインの重量二脚には広所での回避は難しい。また角度射撃系も単一運動では回避できないのでどちらかというと射線にやや鋭角に動いたほうが対応しやすく、特にグレネードキャノンは直撃判定に引っかからないようにできるだけ射線に並んで全速で接近するか、遠距離なら全速後退すると爆風に巻き込まれにくいなど各武器特性と回避方法の相性を把握しておくといい。
回避手段として、地上ブーストだけでは対処しにくいので各種特殊挙動を活用したい。能動的に発動できるものは踊り、ダッシュジャンプ、地上ブレードの踏み込み、空中ブレードホーミング、着地や障害物との接触による瞬間減速、自爆など。通常歩行はほとんど役にたたないが踊りは重量二脚でも可能、動作サイクルが緩慢なため加減速比はあまり大きくないが中距離以遠の予測射撃やミサイルの回避には貢献してくれる。ダッシュジャンプは大きな加速度を持たないが十分引きつけてジャンプすればミサイルを回避可能で、地上で直撃して硬直を防ぐ意味で空中で被弾する場合にも使える。後退しながらのミサイル対応にも有効なので、使う場合はブースト解除からのスライド状態で引きつけて再入力ジャンプがやりやすい。空中ブレホは追跡運動が瞬時に最大速度に達する特徴があり、現在の移動方向とブレードホーミングによる加速方向が異るほど効果的で、旋回も四倍で効くので接近時のサイティングフォローにも使える。なおブレホ中のブースト操作は無視されるがなぜかE消費はするので注意。地上限界速度級の重量二脚にとって回避の鍵になる地上ブレードの踏み込みは短時間に加速と減速がセットになっているので上空や遠距離からの狙撃やブースト加速で対応しにくいミサイルなどの回避に利用できる。地上ブレード動作時間は最短13f、地上に接地していれば硬直中を除いて瞬間的に停止して前方へ急加速・減速する。この際に前進方向を入力していると移動距離が長く加減速比が大きくなり、後退方向を入力していると歩行予備動作が干渉して発動が遅くなる。また移動中も瞬間的に停止して前方へ加速するので地上ブースト中やブースト解除からブレーキング中などでの緊急回避に、ミサイル回避には後退ブーストで引きつけて発動することでより落差が大きくなる。ただしミサイル連携を狙われた場合は追撃の回避が難しくなる。地形接触はブーストを継続したまま地上停止せずに瞬間静止できる。
旋回性能については有効重量依存なので軽量級を相手に接近戦はまず現実的ではない。したがってある程度の接近戦に対応したい場合にはサイトの大きな武器の散弾系や精密系などの命中率に優れるものを、あるいは連携用ミサイルなどを選択する必要があるが、できれば衝撃を伴う武器のほうが接近戦を打開しやすい。また旋回性能に劣る場合には側面に回り込まれると反撃の手段を失うためサテライト戦には応じずに目標と同じ方向へ広角運動しながら間合いを確保するといい。つまり正対したまま蟹走りすることで旋回戦を平行移動に近い状態にして旋回性能差を吸収し、これに後退運動を加えることでより効率が増す。逆にサテライト戦に応じて逆方向へ移動しながら旋回で追いかけると性能差が確実に響いてしまう。そのために双方平行移動状態でも攻撃可能な手段を確保しておくとなおいいが、旋回と移動方向が重なる動作なら旋回性能の劣る重量級でもロケットや手動補正射撃(要・肩武器撃ち切り)で高機動機体を攻撃できる。
歩行性能について、遠距離の踊り以外はほとんど実用に耐えないもので、とくに停止状態から移動開始のための予備動作が長いことが大きな弱点といえる。そして着地硬直も長いがブーストで軽減しにくいので高所から落下する場合は地形などを利用するなどの工夫が必要になるが耐久力は高いので実弾系の追撃はさほど脅威にならない。また硬直や予備動作は自爆キャンセルも可能だが衝撃6を無効化しているとB2180(大バズ)の爆風衝撃も無効化してしまう。
いずれにしろ重量二脚にとって重要な点は回避するものと被弾するものを選択すること、被弾を選択する場合には可能なかぎり“次”につなげられるようにポジショニングやロック作業などに尽力することだろう。そのために地形や各種仕様の効果的利用は重量二脚にとって基本中の基本といっていい。多くを回避しようとするのはエネルギーを圧迫し、戦術展開を危うくさせ、そして結局被弾するという悪循環に陥りかねず、意図的に回避せずに得た各種の余裕を攻撃につなげる戦術とそれを可能にする戦略的アセンこそが重量二脚戦術の目指す星だろう。ゆえに重量二脚は最も知的な反射神経が要求されるカテゴリといえる。重量二脚もまたレッキとした機動兵器だ。
○重量二脚の安定性
もともと安定性が非常に高いパーツが多く積載量も多いことから衝撃無効化の観点からは恵まれた立場にある。実用的なジェネレータでの無効化衝撃の目標はS3が“4”、SSVRが“5”、それ以外は限界値まで、特に1B46Jはオプション無しでも限界値を達成できる。また実質的に安定性“1537(安定Lv246)”を超える安定性は衝撃無効化にも被弾硬直軽減にも意味をなさないため無駄に安定性オプションを付けることは避けたい。重量二脚は連射衝撃武器の大半を無効化できるが硬直後の予備動作が他の二脚系よりも長く最短ブーストが1f遅くかつ後退方向へはいずれも短縮できない欠点がある。重量二脚(通常腕部)の最短ダッシュジャンプは硬直+8f、これより被弾間隔が短いと脱出不可能になり、戦術や操作でこの脱出境界を有利な方向へ軽減しにくいため無効化できない衝撃武器への対応力はむしろ低い。一方で武器腕重量二脚の最短ダッシュジャンプは硬直+7fで、さらに左後退方向へも最短脱出が可能になるため条件がかなり異なる。また空中でも硬直時間は短いほどいい、落下加速度は256なため上昇性能の低い重量級にとって硬直時間の違いが1fでも数f分の上昇ブーストに相当してしまうからだ。
まず地上戦で影響が大きいミサイル等の連携戦術への対策として、衝撃5の無効化を前提として衝撃6の無効化を目指すといい。衝撃5は武器腕R/4、マイクロミサイルTO100、およびB2180と垂直ミサイルSMSS24の爆風外縁付近。衝撃6はB2180とSMSS24の爆風中心付近。R/4は強力だが無効化さえすれば運動阻害を解消し最低でも半数は容易に回避できる。TO100は衝撃有効の場合はポジショニングに多大な影響があり連携も危険だが衝撃を無効化すれば総合的に無力化する。地上で被弾してしまうと硬直1でも常に数f分低運動状態に陥るためSMSS24の連携攻撃は一つの鬼門になるが爆風を無効化してしまえば直撃さえ回避すればいいのでかなり改善する。逆にB2180の自爆抜け・自爆キャンセルには衝撃5を無効化するとやや使い勝手が悪くなるが、衝撃6を無効化すると使用不能になるので注意。無効化不可能な被弾衝撃はダッシュジャンプして被弾すれば衝撃が小さめか弾道が水平に近ければ上向きに被弾加速できるので地上停止と連携の危険を低減できる。重量二脚の観点からはもし直撃衝撃“6”の武器があれば戦術バランスをより面白くできたと思われるが、残念ながら該当する武器が存在しない。なおSSVRの場合は衝撃“5”の無効化を優先することはやや難しく、TLジェネを選ぶ場合は不可能になるのである程度空戦能力と機動力に特化する必要があるだろう。S3は軽量かつ高防御という突出したパラメータをもつため運動性能を確保しやすい半面、特に低い安定性が致命的な弱点になりうる。この2種は安定性が低いままだと対軽中量級への特化戦術のターゲットにすらなりかねないのでオプショナルパーツは優先した方がいいだろう。
重量二脚(通常腕部)の鉄則は決して被弾硬直後に後退方向へブーストをかけないこと、アセンではリロード7以下の武器衝撃は全て無効化すること、そしてできれば無効化できない連射衝撃武器と小型ミサイルの硬直を1まで低減すること、達成可能なベース性能を無駄にしてはならない。固め武器自体は大したダメージにはならないが両肩キャノンの連携戦術や、特にブレード連携は固まった時点で回避困難になり対高機動戦では僅か2〜3発で必中距離に踏み込まれかねない。月光は当然のことながら3303でも“3630×判定数”、光波ブレで“約6200”の空中攻撃力、重量二脚のE系耐久力は4〜6万程度なので容易に固まる武器を片手に張り付かれると最大の特徴である耐久力がまさに紙のように灰燼に帰してしまう。
連射衝撃について、リロード8の武器はHG512とHG1とS50の三種で脱出境界となる硬直時間は1、他の二脚系より1fシビアなことに注意。HG512は硬直2以上では脱出不可能になるが達成は容易で、もともと衝撃3を無効化していれば硬直1になる。S50は被弾し続けるかぎり脱し得ないが固め続けるのは困難でSロケの手練もそういないので対四脚戦の至近距離などで被弾しない限り問題ない。HG1の脱出境界は硬直1以下で軽量のS3(とSSVR・TLジェネ)以外は可能、達成すれば固めでも跳ね上げでも脱出はできる。しかし重量二脚の場合は固め殺しは大した問題ではなくブレード連携が最大の脅威になる。特に固め斬りでは必然的に接近しながら連射するため高頻度で着弾間隔を1f短縮されてしまい、重量二脚は後退方向へのダッシュジャンプが不可能なのでその短縮を抑制するのが難しい。側背面からの射撃であれば抜けやすくなるが、成功しても近距離では回避困難な散弾と特に上側からの強力な衝撃によって押さえつけられかねず、重量二脚の運動性能では高機動機を相手に間合いに踏み込まれた時点でブレードを躱すのは現実的とは言い難い。したがって脱出境界となる硬直1を達成した上で盾となる衝撃武器や接近しがたい重火力あるいは反撃必中といえるだけのカウンターブレードなどの応戦対策を用意して、地形などを利用しながら近づかせない戦術や近づけばヤケドするような戦術で対処する方が重量二脚のアプローチとして無理に二兎を追うことなく特徴を追求しやすいのではないだろうか。硬直2以上では自爆抜けしか方法がない。リロード10のRF/5とリロード12のRF/Pは無効化不可能でもまず問題ないが後退ブーストでは抜けられず、後退操作はバズーカ系やRF系武器腕などでも連続被弾の危険がある。
○重量二脚のアセン考
重量二脚の特徴的な戦術を考える場合、まず限界速度+αを確保したとしても総合的な運動性能の低下は避けられないので武器同士の連携や有利に展開するためのポジショニングサポートなど戦略的な組み合わせは必須条件ともいえる。この観点から重量二脚では武装の選択から脚部パーツを決める方が明確なコンセプトをうちだしやすく、比較的軽量で運動性能を確保しやすいものからあらゆる武装を選択肢にできる積載力のものまで段階的に用意されているのも嬉しい。回避するか耐えるかという基準で見てしまうと戦術があいまいになってしまうので、戦略的な武装を組み立ててその攻撃的戦術のために必要な最低限の運動性能と被弾を選択するのに必要な耐久性能を前提にし、残った余裕の範囲で装甲を確保してダメージレースを展開するようなコンセプトにたったほうが特徴を明確に打ち出しやすいだろう。重量級でも容易に削り倒せる武器がいくつもあるので高機動機を相手に引ききるにも戦略的武装が一つのキーになるのは間違いない。例外として重量級腕部1A46Jは圧倒的な実弾耐久力を実現し肩武装を広く制約されるため、装甲特化を前提にする場合は当腕部に両肩キャノンもしくは腕武装のみという選択肢になる。
武装は中量二脚に比べると旋回性能が決定的に低下するため接近戦への対応は引きながらその性能差を吸収して展開せざるを得ないことと、ポジショニングサポートを要求すること、そして高機動機への対応力に優れたものを必要とする。特にE系武器を主体にする高機動機や固め斬り狙いの軽装機を相手に攻撃がろくに命中しないようでは重装甲はハリボテになってしまうので、相性が悪い高機動機への対抗手段になる武装は無くてはならない。しかしそれが対軽量特化だけに孤立してしまうと中・重量級に競り勝つための武装が一つ減ってしまうので中・重量級に対しても堅実に削れる、あるいはポジショニングサポートの役割が担えるものを選びたい。そしてできれば残りのスペースに対重量級戦で決定力になりうる武器か戦術があるとベターだろう。またブレードは高機動アプローチでは連射系衝撃武器がないと難しいが、地上限界速度級アプローチの場合は対地ブレードの操作性が良好なので単発衝撃やカウンターブレードでも狙いやすく、光波ブレード(1000W)は接近しなくてもミサイル連携や撃墜硬直なども追撃できるなど、サポートを交えてダメージ源にしうる戦術対象を明確に切り分ければブレードも戦力なりうる。
参考までに例えば、高機動・高旋回の軽量機まで網羅する武器としては腕武装が無難な選択肢になるが、衝撃サポートを含めた拡散ハンドガンが使いやすくブレードや主力になる肩武器のサポートにも、引く戦術なら精密予測系のマシンガンが堅実に削れるので肩武器でサポート兼対重量機戦用火力を、いずれも旋回性能を補うためにサイトサイズはできるだけ大きい方がいい。E系武器は主にE回復しながら射撃できる瞬発力型の機体向きで、引く戦術で着地による移動効率の低下を防いで飛び続けるか走り続けるような機体にはあまり向かないのでこの場合や単発威力重視で。地上限界速度級アプローチの腕武装はE負荷がなく衝撃サポートができる実弾系が適しているが、弾速が遅いので引き続ける戦術を前提にできれば対軽・中量機戦でも十分狙撃チャンスが作れる、対重量級戦では押してもいいのでブレードを戦力に計上できれば肩武器の選択肢は広い。ミサイルはどちらかというと押す戦術向きなものが多く、引くなら多角攻撃可能な連携用ミサイルと射出軌道が安定するタイプの多弾発射タイプなどを組み合わせると有効距離が広く戦術バリエーションも多い。ロケットは旋回が低いのでやや使いづらいが地上限界速度級で引く戦術機体とは相性がよくミサイル連携も可能でサポートがあればジャンプ斬りのフォローやブレホ当てにも、機雷は地形戦やブレード対策にもなる。肩キャノンは旋回性能が低すぎて使いどころがしゃがみガードぐらいだが、逃げられると追いきれない状況や構えても耐えられる状況なら地形次第で射程外や爆風攻撃できるタイプなどは使えなくはないかもしれない。また前半に積極的に総火力をつぎ込んで競り勝ち、終盤は腕武器のみで引きながら手動補正と2次ロックを撃ち分けるのも選択肢になるが、弾速は高い方がよく重量二脚は旋回性能が低いので水平運動を最大限駆使する必要があり操作性の問題も含めてハードルがやや高く引けないと難しい。
腕部に1A46Jを選択する装甲特化機の場合は数万の実弾耐久力アドバンテージとE系耐久力もほぼ腕部では最高クラスになるのでこれを壁に機動力・持久力を追求した単武装で引きまくるかステルスで暗躍してもいいかも。地上限界速度級なら肩武器も選びやすいので一長一短が激しい特性をサポートあるいは火力で十分バックアップできる腕武装があれば戦力になり、両肩ミサイルは機体ギミックを利用した軌道コントロールもできる。例えば後退で上向きに、前進で下向きに、空中移動中に左右へ迂回しすぎる場合は斜め前進・後進に逆旋回を加え機体の向きを内側へ傾けて正面方向へ発射するなど。なお9900遠距離戦特化型の攻撃的・時間火力タイプで後退中は上向きになりすぎて使いにくく前進しながらの発射や対空対地に適しており、S800/2は長期的・戦術サポート型で地上前進中は地面に喰われて使えないが後退戦術に適しており、対地戦なら至近距離やブレードサポートあるいはその逆も可能。両肩キャノンは地上走行や滞空コンセプトでは使えないので瞬発力型コンセプト向き。
装甲については、できればどちらかの防御力を重視したほうがいいと思われる。どちらかに特化すればその系列の武器に依存する相手の戦術を損なうことができる。そして重量二脚に限らず性能は発揮することより発揮させないことも戦術の基本になる。いかに性能を発揮したところで相手にそれを上回れてはいかんともしがたく、逆に相手の戦術を阻害することで結果的に上回るほうが効率がよく多彩な状況で対処しやすくなるからだ。その顕著な例が被弾衝撃だが、防御力は相手の機体や技量に関わらず自分の裁量で特化できる点で優れる。また換算されるダメージ係数は0に近づくほど飛躍的にダメージが減少するので実・Eに大きな差がある場合は低い方を補強するより高い方を増強するほうがコストパフォーマンスに優れる。例えば実ダメ係数が11でEダメ係数が21の場合に各係数を下げるために必要な防御値は同じだが、実系を1下げた場合の実耐久力は八千前後上昇に、E系を1下げた場合のE耐久力は二千前後の上昇になる。また防御オプションは防御値に対する係数で増加するためベースの防御値が高くなるほど効果が増し、低い防御力を補強するより高い防御力を増強するほうが効率がいい。そこでもともと優れる実弾防御をさらに追及し、相手の実弾戦術を大きく阻害することができれば優位な立場を確立しやすい。結果としてE耐性がやや低くなるとはいえ十分平均以上で、E兵器はタイミングと駆け引きで比較的回避しやすい部類で使用側にも大きなデメリットがあるため対応策は実弾系より多分にあり、衝撃が無いのでサテライト回避もしやすい。そもそも被弾を前提にした場合はいくらE耐性を追及してもほとんどのE兵器を耐えきることはできない側面もある。ただし斬撃にやや弱くなる点には注意が必要なので盾となる火器類で対応できるようにはしておきたい。
APについて、敵の火力に等価で対応する耐久力の値は「AP×96/ダメージ係数」となり、APが耐久力に与える影響はダメージ係数が小さいほど大きくなる。例えばダメージ係数が“20”のときAP“100”あげると耐久力は“480”上昇するが、ダメージ係数“6”の場合では“1600”の上昇になる。つまりダメージ係数を上げることが出来なくてもベースとなる防御性能が高ければAPによる補強を効率良く耐久力に還元でき、戦術的にもAP差の駆け引きで有利になる。このためダメージ係数に煮詰まった場合はAPにも気を配りたい。ただし逆からみれば防御力が高くなるほど相対的にダメージ係数の重要性が増し、防御力が低くなるほど相対的にAPの重要性が増すので、防御力の低い機体はダメージ係数よりもAPと換算した各耐久力を意識した方がいい場合もある。たとえばAP“8000”を維持してダメージ係数を“10→9”にすることはダメージ係数“10”を維持してAP“8889”に相当(係数−1はAP889上昇と等価)するが、AP“8000”維持で係数“24→23”は係数“24”維持でAP“8347”に相当(係数−1はAP347上昇と等価)するので、ダメージ係数に劣る場合はAP補強の方が相対的にアセンコストが低くすむ。特に防御力の劣る武器腕機体などはAPのウェイトが高く、アセンによっては軽量コアよりも初期コアやスクリーンOPを切っても高APコアの方が耐久力が高くなる例もあり、脚部や頭部の選択基準も少し違う。
脚部の選択としては、地上を起点とする重武装アセンを狙う場合は主に3001、3001C、1B46Jが候補なるが、積載量が十分で脚部に決め手を欠くようなら全体的なバランスに優れる3001が使いやすい。3001でもSP−ABS/ReをつければTLジェネを搭載しても安定性の実質上限を、SP−ABSでも衝撃“5”を無効化できる。総合的な面で耐久性に際立った性能差はなく、待機E消費に優れる点はE管理が厳しい重量級にはありがたい。想定する戦術に要求されるパーツが積載できない場合は必然的に3001Cになるが、重量がかさむので火器なり防御力なりのより明確なコンセプトを打ち出そう。このクラスになるとこのAP差だけでも同係数での実弾耐力で二〜三千近い差になり、もし実弾ダメージ係数が下がるなら一万以上のアドバンテージになるため3001Cも魅力的になるので機動力や戦術と相談だ。1B46Jは比較的軽量な武装アセンに落ち着いて高耐久性を維持しつつ戦術的にある程度の運動性能を確保したい場合に適している。同脚部はやや軽量ながら積載力を余らせても余裕で無効化衝撃“6”を達成できるのが特徴なためコアスロットにも若干の余裕があり、難点としては待機E消費が大きくアセン次第でやや扱いが難しくなる所か。結果的にさらに軽量に済むならSSVRでもいいが、軽量化が目的になるようならS3か逆関節を選んだほうがいいだろう。中途半端な運動性能はむしろ操作性や戦術を圧迫する。S3は非常に軽量で十分な運動性能も獲得しやすく、もともとE防御に優れるので逆にエネルギー系防御力を追及してもいい。この脚部は安定性が低い弱点があり他の重量二脚とは戦術的な相性が異なるのでアセンアプローチも変える必要がある。実弾もE兵器もそれなりに回避が要求されることになるが、E系はほぼ衝撃をもたず連射にも持続限界があるため被弾覚悟の場面ではより戦術的展開が楽になる。あるいは重ジェネレータの搭載と可能な範囲で軽量化し耐久性に優れる中量二脚的戦術を展開することもできるので、空中の限界速度+αをターゲットに運動性能と耐久性との両立を目指す場合は実弾耐久力と安定性に勝るSSVRと使い分けるといい。
SSVRとS3はぜひ武器腕用の選択肢に数えたい。武器腕は防御力がゼロのため耐久性が著しく低くになりがちだが重量二脚はベース防御力の高いアドバンテージとより比重が大きくなるAPに優れており、積載量豊富でTLジェネを搭載可能なベース脚部としても軽量で機動力やサポート武装を確保しやすい。加えて最大の欠点である脚部特性が特に有利に上方修正される性質がある。まず脚部ジャンプ機能が軽量二脚並みの性能に修正され、ジャンプ予備動作と着地硬直も短くなり、特に地上硬直後の予備動作が短縮されて前方・左右および左後方へ最短7fでダッシュジャンプが可能になる。つまり固めに対して重量二脚の難点である1f分発動が遅い点を解消し、さらに後退方向への脱出経路が有効になることで結果として固めや連携などの衝撃戦術に対しては他カテゴリの武器腕機体よりも対応力が高くなる性質がある。S3に至ってはあまり日の目を見ない武器腕用の特化脚部として登場したのではと思わせるほどだ。ただし予備動作はともかく鈍重な歩行速度自体はほとんど改善されないので武器腕の場合はブーストパワーによる十分な回避性能が必要になるだろう。
ついでに武器腕の場合は全てのコアが選択肢になりうるのも面白い。参考までに機能性→耐久性の順に並べると、CLコアはスロットと迎撃範囲に優れ射撃幅を狭めて二門直撃率を高め、S0コアは最軽量でスロット数に優れる基準幅の実弾系寄りCL互換、初期コアは全般に平均的でやや重い以外の欠点が無く、重コアはミサイル迎撃機能不全だがE消費とスロットとAPを確保し射撃幅を広げ、D0コアはミサイル迎撃機能不全だが軽量で実・E両防御とAPに優れる。特に武器腕機の場合はロックオンジャマーとミサイル迎撃は中距離以上では耐久力の代償として余りある機能で、迎撃範囲は50ならFCSロック範囲の単位で200×200に相当し上下旋回有効、ミサイルは正面から飛んでくるとは限らないので広い方がより自然に迎撃しやすい。
○重量二脚の空中ブレード適性
重量二脚は運動性能が空中限界速度〜地上限界速度程度の範囲になる場合が多く、ブレホの水平速度が空中水平最大速度に依存するのでアセンによってそのブレホ挙動はかなり異る。機動力重視タイプでは空中水平速度が限界速度に近くなるので踏み込み速度が大きくなり間合いも他の二脚と大差ない程度になる。しかし重量依存の旋回性能が低くなると運動目標や角度の大きい位置へは難しく、MOONLIGHTの威力を考えるとブレードマップやブレホ挙動に優れる機体に空中での斬撃戦を挑むのは無謀かもしれない。逆に地上限界速度級ではブレホ速度はかなり低下し間合いも狭くなるので空中での斬撃戦にはほとんど絶望的だが、ダッシュジャンプが低くなることで地上ブーストで接近しながらジャンプ後すぐに地上目標や低空の目標に斬撃できるので、ホバー斬りほど汎用性は高くないものの地上限界速度で接近できる点で優れている。ただし間合いと旋回範囲が狭い分できるだけ硬直などの低運動状態を狙う必要があるのでブレードをダメージ源に考えるなら衝撃でサポートできる武器は必須といっていいだろう。なおブレード判定発生には時間がかかるので足止めはジャンプ後に発射するか撃墜硬直を狙うのが効果的。
重量二脚のブレードマップはリーチは平均的だが機体正面の前撃2判定がやや中心よりに密集しており、後撃の左側もフォローとして十分な役割をもつ。このため地上ブーストで正面方向に捉えて接近することが多い重量二脚でもほぼ正面の前撃密集配置によって2ヒットを狙いやすい。そして旋回性能で追跡しきれなくても左側へのフォロー可能な判定があり、ジャンプ斬りでは必然的に落下速度も小さくなるので前撃をはずしても後撃をヒットしやすい。このため正面からやや左寄りに入射するように斬り込むといい。重量二脚のブレホによる斬撃では1〜2ヒットが実用範囲で、固め斬りでは3ヒット以上はほとんど発生しない。
ブレホキャンセルは狙ってできなくもないが、射撃やダッシュジャンプなどかなり操作が煩雑になることや、高火力の機体構成が多いことを考えるとリスクを冒す意味はあまりない。しかし周囲の状況を落ち着いて把握できるのならキャンセル後の挙動を予想しやすく2fにまたがるヒットもしやすいので狙ってみてもいい。この場合は多重ヒットも不可能ではないがやはり運動性能が低いので確率はかなり低く、払い抜けなどの斬撃もポジショニングの余裕がないので自信がある場合を除いてブレホで確実に斬撃を達成したほうがいいだろう。
地上限界速度級の場合では射出型のLS−1000Wとも比較的相性がいい。地上あるいは低空目標や撃墜目標などに素早く斬撃を狙えるがアプローチがどうしても直線的になりやすく、安定性に優れるとはいえ衝撃武器を相手に通常ブレードの間合いまで踏み込むのは難しい。また空中目標を撃墜して地上に叩きつけてもその硬直中にブレード範囲まで接近するのも難しいが距離1000程度でも十分な有効距離なのでジャンプ斬りの操作性でその特徴を生かしやすい。そして攻撃力も最大で“6226”と強力かつE系なので、衝撃武器などと組み合わせて実効火力にのせられれば対重量級戦で十分なダメージソースになり、対タンク戦ではカウンターの範囲外からの攻撃もでき、爆風も地形戦で削りや牽制に無限に使える。欠点としては攻撃が線判定なので至近距離まで踏みこめる場合は通常ブレードのほうが命中率が高く、旋回性能が低くなるとブレホが弱くなるので発動前に自力で調整しなくてはならず、発動E消費が高いのでTLジェネとあまり相性が良くない。このため特化戦術などの連携や対重量級・タンク戦への火力サポートとして十分効果的に扱えるなら武装やアセンの選択肢を広げてくれる。
斬撃戦術という観点から重量二脚は二脚系の中では地上付近の目標に対して最も斬撃の操作コストが低いが、それを達成するためには相応の戦術とそれを可能にするアセンを要求される難しいカテゴリといえる。しかしブレード戦術の想定目標を特化して明確なコンセプトのもとに実用できれば、4つある武装全てを好みに選べる立場がより多彩な戦術バリエーションと高い戦力を約束してくれるだろう。
○機動戦力に見る重量二脚の評価
機動戦力に見る重量二脚の評価としては、知的に戦術を展開し知的な反射神経を磨くような戦術を要求される。耐久力に優れるものの、そのアドバンテージをあっさりとひっくり返されかねないような武器が多数ラインナップされているため単純に耐久力と火力でゴリ押しという戦術は通用しない。本能のままに戦うようではこの脚部の性能を引きだすことはできないのだ。双方を客観的に観察し分析しつつ、臨機応変に作戦をたて、地形も視界も衝撃も爆風をも利用しながら戦略的にリスクを選択し、最大のリターンを得るべく持ちうる機動力の全て駆使して戦う。これこそまさにタクティクスオブアリーナだ。あれっ微妙に違うかな?
逆関節は同一カテゴリとしては最大の6種類が用意され様々なスタイルに合せて微調整するようにパーツを選べる利点がある。その特徴は高い実弾防御とAPそして衝撃安定性によってもたらされる優秀な対実弾戦のポテンシャルだ。そして突出したジャンプ加速に加え機動力を持続的に発揮させることを可能にする低いエネルギー消費も重要な長所としてあげられる。その他にも全脚部中最高の旋回加速性能と軽量二脚に次ぐ通常歩行性能も忘れてはならない。一方で短所に目をむければ、重い脚部重量と心もとない積載量、そして非常に低いエネルギー防御がある。これらのパーツバランスから逆関節で最も重要な点は操作技術といえる。逆関節のパーツ自体は長短特化型でそれほど強力なパラメータを持たない一方、長所となる優越点が主に操作技術と戦術次第で相乗的に発揮できるような潜在性能に配分されているからだ。それは例えば衝撃安定性であり消費エネルギーであり旋回性能だ。
○逆関節二脚の運動性能と特殊性
まずジャンプ性能について、脚部ジャンプ加速度“6016(実速度94)”は軽量二脚や四脚に対し約1.5倍、対中量二脚の約2倍と突出している。この加速度はジャンプ発動fに発生し直後に通常の垂直速度に移行して運動性能に引き継がれるが、最高の運動性能であっても上昇ブースト加速度の約47f分の加速に相当し、最高のダッシュジャンプでも加速度2500なので若干の予備動作を余儀なくされるとはいえ脚部ジャンプによる上昇効率は非常に高い。そして高い実弾防御や安定性のためリスクもコントロールしやすく三次元戦術の展開を旨とする逆関節には極めて重要な特性といえるだろう。滞空性能という観点ではジャンプ力は大きな差にはならないが一気に高度が稼げる点で優れた特性であり、端的には同じ滞空時間でもより高度を稼げるそしてその高度に短時間で到達できることになる。また同高度を目標にするならジャンプ力によって節約できる上昇分のエネルギー消費も大きく、運動性能や機体重量に影響されずに一定のジャンプ力を約束するのでこの効果的な活用は逆関節戦術の基本ともいえる。ついでにチャージング時などの素ジャンプでは加速度の大きさがそのまま滞空時間に相当するので重宝する。注意すべき点は上昇ブースト最大速度が“6016”より低い場合には通常の上昇速度に移行した瞬間に最大速度まで減速してしまうことだ。ただしこの現象は運動性能のバランスを意図的に逸したような機体でしか起こらない。
また上昇する場合はジャンプ加速度が突出して大きいためジャンプ後すぐに上昇ブースト最大速度に達してしまうが、上限に達するとそれ以上加速しないためブースト消費が無駄になってしまう。減速しすぎると1fあたりの上昇距離が小さくなり上昇効率が落ちるため、理想としては上昇ブースト最大速度に達する直前の速度域でコントロールしながら上昇するとよりE効率が良くなる。速度計が無いため難しいがカメラは機体速度に若干遅れて追随するためロックサイトやロケットガイドが安定した位置が速度の上限なので目安にするといい。
なお脚部ジャンプは予備動作を必要とするので着地硬直から直接発動するのは停止時間が長くなるのでややリスクが高く、地上ブースト中からは発動できず停止に余計な時間と隙を生じてしまう。このため十分な距離か死角をとるか遮蔽物越しを利用するか通常歩行か地上ブレードから発動するなどでリスクを低減できるように。地上ブレードは地上で運動中は瞬間停止して前方へ急加速しブースト(単独)入力でモーション後半を短縮して直接脚部ジャンプ予備動作に引き継ぐので、ブレードモーションを広角方向に発動できれば効果的、近距離では凪で死角を取った瞬間に発動してジャンプするなど工夫したい。
通常歩行性能について、軽量二脚には及ばないもののパフォーマンスは高く中距離以上であれば通常の移動手段としても実用範囲で、慣性を受けず運動性能や機体重量にも依存しないため回避手段としても十分活用できる。歩行速度は前進と横移動はほぼ同一で斜め前方に約116%に増速し、歩行サイクルの周期はやや長めだが振幅は比較的激しい。そして歩行振幅のピークでは軽量二脚に匹敵する瞬間加速度を発生し、ミサイル回避などは横移動と斜め移動を組み合わせると効果的で、中・遠距離では敵を45度前方に据えて斜め前方へ歩くと軽量二脚ほどではないが予測射撃を散らしながら移動できる。ただしサイクル周期がやや長いため踊りのレスポンスは若干落ちる。また空中からの軟着地や被弾による跳ね上げ&再着地ではそのまま停止することなく通常歩行サイクルへ移行するためそのレスポンスやブースト初速が高い特徴がある。このため軟着地時の無慣性挙動を利用して機敏な加減速や方向転換ができるので地上付近でも軽量二脚に次ぐ機動性を持ち、特に前進方向を伴うブースト初速に秀でる(凪)。
逆関節は停止状態からの歩行は移動開始に若干時間を要するものの移動開始直後に巡航速度までごく短時間で加速する性質がある。移動開始の予備動作中ほとんど加速しないので開幕時や着地硬直解除時に若干低運動状態が長くなるが、移動開始直後に大きな加速度を伴い瞬間的にピーク域に達するのでその前後の射撃を躱しやすい。一方停止から自動的にブーストを発動させると歩行加速を開始する寸前の低速域からの加速になるため、停止状態から地上ブースト移動を開始する場合は歩行のピーク加速時にブーストを手動発動した方が加速に若干優れ数f分の省エネにもなる。見た目では一歩を踏み出すあたりがピーク加速で、上げた足が地面に接触するあたりで急減速するがタイミングは常に一定。また着地硬直や単発被弾などで足を止めた場合は歩行で予測射撃やミサイルを散らしてブースト移動やダッシュジャンプに移行してもいい。広角条件があえば斜め前方を優先するとより効果的で、切り返してブーストを開始する場合は同時操作ではなく歩行操作後にブーストを発動した方がいい。ただし連射衝撃では1f差が成否を分ける離陸の時間勝負なので状況が全く異なりダッシュジャンプが最優先になる。また逆関節は停止状態からのブースト発動がアセンによって変則的になるが一貫していずれかの後退方向へ最短で発動できるので、被弾硬直から脱するのに適した方向を選びやすく歩行性能と安定性も高いので捕まりにくい。これは地上停止扱いからの移動予備動作に共通するので後退方向へのブースト発動でも移動を開始しやすくなる、ただし軟着地からの予備動作とは共通しない。武器腕機の場合は左後方は短縮できず右後方へ最短+1f(全方向に最短で発動できない)になるようなので若干レスポンスが落ちる。
旋回性能について、旋回最大速度は有効重量のみに依存するので自重のかさむこの脚部ではやや旋回性能に劣る機体になりやすい。一方で各脚部別に旋回加速性能が設定されており逆関節は高い性能を持つ。旋回加速度は有効重量にも依存するため結果としては軽量二脚あるいは中量二脚程度の旋回加速度となるが、それらの脚部では達成できない実弾耐性に加えて同等の旋回加速度を手に入れる点で評価できる。また旋回加速度と旋回最大速度の比が高くなりやすい。例えば平均的な重量二脚が旋回を開始してから最大速度に達するまでに6〜7f程度、平均的な中量二脚では6f前後、逆関節は4〜5f程度の時間を要し、最大旋回速度から旋回を切り返して最大速度まではこの二倍になる。f単位のごく短い条件の説明が各所に見受けられるかもしれないが、なにもオニのような速度で反応しろというものではなくこういった運動性能のちょっとした優越点が無意識のうちに実際の戦術で効いてくるものと理解してほしい。たとえば接近戦や空中戦で細かくサイトを切り返すような状況では旋回最大速度よりも旋回加速度の方が効いてくる。また一方向へ追いかける場合でも最大速度に到達する前にサイト外へ離脱されては追いつけない。そして瞬間的な旋回加速は近距離での狭角射撃の効果を高めるのにも必要な性能であり、手動補正射撃ができる場合でも旋回最大速度に達するのをまたずに射撃するシーンが多くなるので旋回加速度が高い方が相性がいい。そして断続的に衝撃を受けるような状況の打開にも旋回加速度の影響は大きくなる。
問題は旋回加速性能Lvから旋回加速度に換算する際に20/64にされることで、Lv3〜4おきに旋回加速度に反映される点だ。Lvが高くなっても小数点以下の切り捨てで意味がないことが頻繁に起きるためまったくメリットにならない場合があるのはなんとも残念だが、旋回加速度は全アセンでもおよそ3〜10程度の範囲なので“1”の差でも結構効いてくる。
エネルギー消費について、逆関節の空中戦能力を支える重要な要素に待機E消費がある。なぜか隠しパラメータなためガイドブック等をみないと選択要素にならないが、このカテゴリは空中のエネルギー管理に適用される待機E消費が際立って低い。このため全体として低消費に仕上げればやや出力に劣る高容量ジェネレータでも、あるいはかなり高消費のフレームパーツを選んでも出力の高いジェネレータであれば、比較的容易にE回復速度の上限クラスに達するメリットがある。そのためやや自重が重くなっても高出力のブースターで運動性能を高めるような選択肢や、持続性に優れるブースターで滞空・空中戦に特化するような戦術を選びやすい。特に空中戦ではエネルギー管理に余裕のあるほうが確実に有利なので多少の運動性能差を十分覆すことができる。このように逆関節二脚は空中戦術を展開するために必要な性能に多岐にわたって適した脚部といえるだろう。
ブースターによる運動性能についてはアセン次第になるため軽量二脚や中量二脚の項を参照してほしい。逆関節は優れたE消費によってそれらの運動性能を高い効率で持続できる、あるいはアセンに生かせる特徴を持っている。そして空戦能力特化というアプローチでは空中サテライトを一つの効果的な回避手段にするために空中限界速度に若干の余裕を持たせると回避率も安定しやすい。空間戦闘ではこれを超える運動性能についても上昇性能などが重要になるが、機体負荷の増大に対して性能向上の効率や切り返しレスポンスが悪くなるので限界速度以上の性能は持久力やエネルギー兵器などとの兼ね合いから戦術の方向性を決めて余裕がある範囲で配分した方がいい。空中限界速度+αをコンセプトにするなら大きくても四脚限界速度程度があれば十分だろう。特にエネルギー管理の関わる要素は逆関節にはとても重要になるのでバランスを優先するよりは特化する性能に重点的に配分したほうが難しい局面を打開しやすい。特徴的な外見と極端に偏ったパーツパラメータから敬遠されがちな逆関節ではあるが、欠点となっているパラメータは技術的にフォローできるものが多くかつそのための補助的パラメータに優れている点を生かしたい。
○逆関節二脚の安定性
逆関節の実用範囲での衝撃無効化の目標は1000−P、2B45A、4400が“4”、4401および4403が“5”、H230が上限となる。全体的にそれなりの機動性を確保しつつベースの脚部安定性に加えて独特の歩行予備動作と高い実弾耐性により全脚部中最も衝撃戦術への高い対応力を持つ脚部カテゴリといっていい。ただしE装甲が低い性質上1fの差が生死の分かれ目になる固め斬りへの対処はそれに関わるいくつかの仕様を把握して実践することが重要になる。
まず連射衝撃からの脱出境界となる最短ダッシュジャンプ発動時間は硬直時間+7f。ベース安定性によって被弾硬直時間を低減しやすく、なぜか逆関節のみ予備動作の最短方向もコアと腕部の組み合わせで調整できる(全てのアセンで確認したわけではありません)。なお通常腕部機体の予備動作時間は最短か延長かの2種類しかないようなのでブレードでも判別でき、連続地上ブレードが遅れて発動するようなら延長方向、左右や前方と同じように滑らかに連続発動できるなら最短方向になる。重腕部・標準コアなど全方向へ最短発動できる組み合わせもあり硬直後の後退方向への迅速なダッシュジャンプはたとえ脱出境界に満たない機体でも固まらない戦術のために有利な性能になる。できれば脱出経路は多い方いいが調査した範囲では武器腕を除いて全ての組み合わせで左後退方向へは必ず最短発動できる。一方、武器腕機体では後退のアドバンテージは無くなり辛うじて右後ろに+1fで発動でき、CHコアではさらにレスポンスが変則的に悪化する。ただしもともと安定性が高いこともあって1fで脱出境界に乗るような条件でシビアになる以外は、右後ろの最短+1fでも十分戦術的には生かせる性質と考えていい。なおこれらは地上停止からの移動予備動作にかぎられるので難着地からのブースト予備動作とは共通しないが、軟着地時や跳ね上げ&再着地時は凪で斜め前方へ振り切る選択肢もあるので使い分けたい。また旋回加速度が高いため断続的な被弾硬直中も若干旋回が効きやすい長所もある。
機体安定性について、まず確実に脱出不可能になる衝撃3の無効化を目指し、それ以外は無効化できなくてもできるだけ脱出境界まで硬直時間の低減をはかりたい。ただし硬直2fは地上被弾硬直の延長が発現パターン(実質1f硬直解除が遅れる原理不明の現象)になりやすくその発生率も高頻度で防止しにくいので、急接近で着弾間隔が短縮されることも考えてできれば硬直1fまで低減できればベターだ。ついでに硬直1fなら固まっても跳ね上がった瞬間に脱出できる。そして重装逆関節を目指す場合は可能な範囲で衝撃の無効化を達成したい。主体となる空中戦での硬直中はブースト操作ができないので、追被弾や撃墜硬直の危険を減らす意味でも安定性は高いほうがいい。オプションで迷った場合には安定性オプションを優先していいだろう、見限って逆関節の利点を埋もれさせてしまうのも惜しい。ただし逆関節の戦力はかなり操作技術の占める割合が多くなり、アセンでバランスを重視する余裕はないのでどの性能を優先するか戦術や操作技術をしっかり見極めたうえで配分しよう。いずれも1〜2fといったかなり短い時間や目に見えにくいアドバンテージとはいえ、実際の操作の積み重ねで蓄積する差は軽視できないものとなるといっていいからだ。
武器別に見ると、逆関節もリロード5以下の連射衝撃で固まると脱出不可能になるが該当する武器は全て衝撃3以下で全脚部とも比較的容易に無効化できる。無効化不能なコンセプトではかなり機動力特化型になると予想されるので特に危険なHG235の有効距離外からでも作戦を遂行できるように、硬直は確実に1になるので被弾初期なら凪や逆方向へのダッシュ・ジャンプで振り切れる。ただし衝撃2は無効化必須、着地をSPGUNに拾われたらまさに絶望的だ。HG512(リロード8、衝撃4)は無効化できれば装甲的にも優位、できなくても硬直時間はほぼ1になるので脱出は容易だが不用意な硬直中に急接近されると危険なので適した方向を選んで迅速にダッシュジャンプを、もし硬直2の場合は要注意。S50(リロード8、衝撃19)は着地硬直で四脚とお見合いでもしない限りは無問題。R/4(衝撃5、6連射)は無効化が分水嶺といえるほど違うので可能な脚部はできれば達成したいが、できない場合は空中戦では硬直1に越した事は無いが地上硬直中は連続弾を回避できないのであまり気にする必要はなくリロード中に脱出できる、ただし平行射撃方向に注意。HG1(リロード8、衝撃10)は硬直2が脱出境界で機動力特化でなければ全脚部で可能だが、硬直延長現象の影響が直撃しやすくブレード連携も鬼門なので固まって振り切れなくなる前に着弾と逆方向を優先的に迅速な脱出操作を、そしてできるなら硬直1に。硬直1が可能な脚部は4401と4403とH230の3種だが運動性能が低めだと軽量機による固め斬りはそうそう回避できるものではないので間合いに踏み込まれる前に対処を、H230はTLジェネを搭載していても可能なので優先したい。RF/5は機動力特化アプローチでも固まる事はないが無効化は不可能なので1〜2発からブレードや両肩キャノンへの連携はあり得るので、RF/Pも含め特に降下中の撃墜硬直に注意。
このように逆関節は衝撃“3”を無効化していればほぼ全ての連射衝撃に技術的に対応可能な脚部であり、その無効化もさほど難しくない。そして最も注意すべきはHG1とE武器との連携になるが、脱出境界は超えられるので有効距離外での戦術性の確保や接近される前に脱出できるようにしておければ十分とはいえないまでも連射衝撃への対処能力には最も長けた脚部カテゴリといえる。
○逆関節二脚のアセン考
まず対実弾戦ポテンシャルの観点から、安定性により中程度までの連射衝撃を無効化しつつ高い耐久力によって被弾しながらでも機動戦術を展開できる。そしてそれを支えるための機動力の確保に十分な補助的性能が与えられている。一方で積載量のわりに重い自重と著しく低いエネルギー系防御が欠点になる。逆関節には積載量が不足して弱点を補うだけの余力はないので高い実弾耐性を重視して可能な範囲で追及するのも選択肢として考えたい。ACの武器は実弾武器のバリエーションが多く、ミサイルを含めた肩武器の多くも実弾であり被弾衝撃を受けるのもまた実弾だからだ。そして精密予測系武器や散弾など三次元戦闘や対空戦に優れる武器には実弾系が圧倒的に多い。一方で強力な火力武器こそエネルギー系に多いもののどちらかというと機動戦にはデメリットが大きく、特に空対空戦闘に秀でたE系武器はかなり少ない。一部のE系武器を除いて回避という観点からみれば対実弾武器の方がはるかに難しいのが現実だろう。また心元ないエネルギー防御を補うよりも、エネルギー系は回避することを前提に実弾防御に特化することで相手の実弾系武器の戦力と戦術を制限できるように組んだほうが利点が大きい。重量二脚ほどのアドバンテージはないものの機動力を考えれば総合的な対実弾戦能力はむしろ高いと考えていい。例えば逆関節は地上停止後に後退方向へも早くブースト発動できるが、アセン的に標準コアと重量級腕部で全方向に最短時間で発動できるようになるため3001とは特に相性がよく、標準腕部(K1を除く軽・中腕部)でもCH(重)コアで真後ろへの短縮が可能になるので重量を代償としても実弾防御を高めながら衝撃武器や高直後の対応力を高める運動特性を獲得できる。このように長所を相性のいい組み合わせなどで可能な範囲で追及し弱点は操作技術と戦術でカバーするコンセプトでそれに必要な機動力を重視しながら組み上げることを成功への礎としたい。
装甲はエネルギー系防御力が低くなるが、特に天敵化しやすい武器としてMG500/E、RF/E、IR24、XC65、両肩キャノンがあるが、MG500/Eは特に強力だが有効距離範囲がやや狭く接近しすぎても離れすぎても扱いにくくエネルギー管理にかなり余裕がないと機動戦に対応しづらいので軽装になりがちだが遠距離離脱やサテライト(予測ギャップタイプ時)など単純なブースト運動で命中率が低下するなど弱点を突かれると非力になりやすい、RF/Eはよほど重武装でないかぎり目視射撃が前提になるので上下への角度が深くなる場合や暗いステージあるいは接近戦に対応しにくく乱打戦や複雑な地形にも弱い、IR24は急接近・離脱運動に弱く空中で動き回るターゲットは狙いにくいことや肩キャノンの旋回限界などの欠点があり、XC65は逆関節でなくても簡単に灰になるが狭いサイトと高い機体負荷の弱点突けば互いに紙装甲の関係になり三次元戦闘ではむしろ有利、両肩キャノンは機体負荷がかなり大きいため空中戦は難しく連携衝撃への対応力は高いので移動方向に注意すれば戦術特性も抑制できるなど、それらの特徴を十分に把握しておけば臨機応変に対抗できる。対エネルギー武器戦では有利な距離や位置関係を意識したうえで着地硬直を起こさないことが特に重要になるだろう、またE系ライフルは対空狙撃でも広角運動やサテライト運動で狙撃チャンスや被弾率を十分に低減可能で、角度系の手動補正射撃は垂直方向にはほとんど効かないので垂直運動を駆使して振り切れる。相手次第ではブレードが最大の脅威になるかもしれない。
具体的にパーツに目をむけると脚部そのものの自重と乏しい積載量がかなり苦しいが、これもまたACのパーツバランスでそう簡単には長所を特化させてはくれない。軽量級逆関節の候補となる1000−Pは、このクラスとしては突出して高い実弾防御・AP・安定性に加えて驚くほど低い消費Eを生かして特化すると、実弾武器だけでは対応が難しいほどのポテンシャルを持った軽量高機動型に組み上げることもできる。また軽量・低消費ブースターと高容量ジェネレータを組み合わせて高い運動性能と持久力の両立を図りながら優れた対実弾戦性能の確保もしやすい。加えていずれの場合も高い旋回加速度を実現できるので、左右に旋回切り返しをしながら敵を追うことが多くなる空中戦や接近戦を有利に展開しやすく、もし可能なら手動補正射撃とも相性がいい。そして高いベースAPに加え各種運動性能とE回復性能を最高水準で両立できるので武器腕とも相性がいい。この脚部はカラスの影に隠れてしまっているが、軽量高機動型ACを組むにあたって良好かつ明確な特化型機体のベースとなる潜在性能を有している。
一方重量級逆関節の選択肢としてH230と4401はどちらかというと脚部自重により中量級になりきれないといった趣きが強いが、やはり高い実弾耐久力やジャンプ性能を生かした戦術を追及したほうが性能を有利に発揮できるので、空戦能力に特化して空を起点とした戦術を磨くことが絶対条件といえるかもしれない。したがって滞空・持久力を優先させたいが、特にジェネレータレッドゾーンは消費・回復ともに1/4になりE武器を使わない限り実質4倍容量に相当するため、上限に近い回復速度を達成した実弾系武装のTLジェネ機体は機動力にかなりのアドバンテージを発揮するので戦術と積載量が許せばぜひ検討したい。この場合はブレードも4倍消費に相当してしまい月光でも安易な発動が機動力を圧迫しかねないので無理に搭載しなくてもいい。H230はもともと全脚部中最低のE防御のため高い実弾耐久力に軽量級並のE防御という機体となるが、TLジェネを選択する場合は武器腕か単一武装でもなければほぼ逆関唯一の選択肢になるので滞空力の観点からは最も優れる選択肢といえる。なお逆関節はジャンプ力や回復力のためチャージ時の対応に優れるが、TLジェネを選ぶ場合はSP−CND−Kはチャージ時間を長くするので別のオプションを優先していい。4401は若干積載力が落ちるがより高いバランスでまとまっているのでTLを選ぶなら単装か実弾系武器腕機体のベースにも、TLを外すなら積載力に比較的余裕ができるので安定性と装甲を確保して肩武器のサポートを交えた射撃戦機体などに。いずれも低い消費Eと高いジャンプ性能そして通常歩行速度は健在で旋回加速度も中量級に匹敵する性能になるのでこれを十分に生かしたアセンを目指したい。
そして運動性能との両立を狙うのであれば中量クラス逆関節候補として4303がより空間戦闘、追撃、退撃ともに幅広く対応できるポテンシャルがあり、ABS/Reを装着すればR/4の衝撃“5”を無効化しHG1の硬直を1に抑えて固めからの脱出能力も確保できる。やはり積載が不足するので重点特化の必要はあるが、連射衝撃への対応力と耐久力・運動性能の両立という観点からは脚部全体から見てもかなり優れた立場にあり逆関節機体の中核を担う存在として脚光を浴びてもいい。4400と2B45Aはその軽量タイプだがさらに積載力に乏しいので軽武装で装甲か機動力かに尖鋭特化したほうがコンセプトを出しやすい。両者で悩む場合は軽量の2B45Aは旋回加速性能も高くより近距離戦へ対応しやすく、確実にEダメージ係数が“1”以上高くかつAPも優秀、そして逆関節剣豪機を狙う場合も相性がいい。実弾防御寄りの4400はE管理と僅かながら積載、安定性に優るのでデザインにこだわりが無ければ特化アセンで2B45Aとの微調整用の互換機になる。このクラスは必然的にE消費がかなり抑えられ高容量中出力のXRやXLジェネレータでも高い回復力になる。
武器については空中戦を主体とした場合は実弾系が使いやすいが、低消費や高い脚部ジャンプを生かせばE管理がだいぶ緩和できるのでエネルギー武器でも十分選択肢になる。また積み増すことで無効化衝撃3や苦手武器の脱出境界を超えられるなら運動性能よりも安定性を優先して火力や装甲を補強していい。
以下参考までに例えば、接近戦タイプは高機動・三次元戦闘がメインになるので高い旋回性能か広いサイトに実弾武器が適しており、マシンガンやハンドガンにサポート火力を組み合わせるか、実弾系スナイパーや単装に近い重火力系は高旋回なら接近戦も強力で相手次第では中距離射撃戦にシフト可能、サポートが載るなら前進メインでは軽量多ロックの小型ミサイルと相性がよく接近戦で使うなら垂直ミサイルなどを、腕武器に衝撃があるならブレホ利用も込みでブレードか、実弾防御重視なら機雷も使いやすく、高旋回・S50ロケットで対地足止め兼ブレードサポートなども、またブレホ当てもしやすい部類で地上ブーストではコアが安定する性質もあるので腕武装が特に軽量ならM・Lロケットでも。中距離射撃戦タイプはE系武器と相性がいいので瞬発力重視が適しており弱点になる武器と同レンジなので引けると相性差を埋めやすくAPや装甲を優先して単装でもいい、中量二脚と比較すると積載力に劣り選択肢が狭いが低消費と凪で三次元展開がしやすく実弾装甲と安定性で衝撃とミサイル耐性に優れる、サポートを積むならブレードより後退戦に適したミサイルなどを。滞空タイプは高高度もしくは遠距離の空中からの作戦展開が適しており、肩武器は射撃武器の有効距離外からでも攻撃可能なミサイルが使いやすい、できれば連携可能な組み合わせを、腕武装は接近を阻む盾になる衝撃武器か遠距離攻撃可能なものがよく、ミサイル腕を選ぶ場合は肩武器の選択肢が広くなる。
武器腕逆関節は積載力の都合で総火力を確保しにくいのでE系武器腕の軽武装か、軽量武器腕に肩火力サポートからの選択肢になりがちだが、省エネなのでXRジェネでも十分なE回復を獲得しやすく、高ジャンプ・高AP・高旋回加速とも相性がいい。とはいえ防御力はカバーできないので中距離以遠から戦術展開する場合はミサイル迎撃機能が有効なコアやロックオンジャマーを選ぶといい。なお武器腕逆関節は停止後のブースト予備動作が若干変化し、特に左後退の最短発動がなくなるようなので注意、右後退は最短+1fなので若干シビアだが後退方向への短縮は確保できる。脱出境界に近い連射衝撃に限定した場合はややネガティブな部分もあるが、やや重装よりでも旋回加速度が高いため手動補正射撃とも相性がよく、武器腕は左右に命中範囲が広く単発威力に優れるので射撃システムを使い分けて狙撃できると武器腕の真価を発揮できる。
逆関節はどう逆立ちしてもアセンだけでは弱点を補完することはできないので汎用機体のベースには向かない。やはり有利な条件を追求していかに優位な状況で戦術を展開するかという目標にむけて機体を構築し操作を磨いてこその逆関節といえるだろう。そして特化ベースとしては明確に尖った脚部性能を提供してくれるのであとはいかにそれを引き出すかだ。
○逆関節二脚の空中ブレード適性
運動性能的には重量にみあった他の二脚系と同等のブレードホーミング特性をもつが、もともと同重量の機体に比べ旋回加速度に優れるため最大速度にしか依存しないブレードホーミングが感覚的にはやや弱く感じてしまうかもしれない。このカテゴリでも空中水平最大速度4800でブレホ水平速度の上限に達する。また前脚がそこはかとなく張りだしているように見えるがブレホ制御も機体判定も二脚系で共通の円柱状なので邪魔になることはなく、斬りにくいのは他の二脚に比べて前方へ短いブレードマップが主な原因だろう。ついでに逆関節も足元を払うように見えるが空中判定高は全ての機体で全高の50%なので惑わされて頭上を空振りしないように。そしてエネルギー防御が低くブレード被弾によるダメージが比較的大きくなってしまうので結果として斬撃戦にはやや不利となるのはいたしかたがない。
逆関節二脚の空中ブレード判定形状は機体中心から左側に大きく偏っており、正面より右側への判定を持たない。前方へのリーチはやや短いものの正面から左側面の広い角度範囲に配置されており前撃を逸しても左後方の判定でフォローできる。逆関節も1〜2ヒットが実用範囲だが2ヒットには正面左寄りに深めに踏み込んで前撃を当てる必要があり、判定2fにわたるヒットは難しく3重ヒットは運をもってしても困難で4重ヒットはまず発生しえないと考えていい。したがって逆関節のブレード戦術は単ヒットを前提としてタイミングが合えば深めに2ヒットできるというのが現実的だろう。
また前方の判定範囲がやや狭いので左寄りへのエンカウントが望ましく、特に攻撃判定発生前に機体実サイズの交錯による反発が起こるとリーチが届かなくなりやすい。このため中量二脚のように適当にブレードを振ってもなかなか命中できないので、レーダー基準や空中でニアミスしてからむやみにブレードを振るのはリスクに見合わないが、しっかり間合いをはかって発動すればその差は緩和できるので上下を含めたサイティングやターゲットの目視は必須条件といえる。またブレホ終了時にロケットを射出するとやや下向きながら正面方向に射撃するのでロケットのフォローがあれば斬撃戦も楽になる。
最強のブレードが戦況を覆すシーンが多数見受けられるため逆関節にとってはややネガティブな相性に見える。しかし機体左側に大きく偏った広い範囲の攻撃分布とその後端の判定が長く全脚部で唯一後傾している特徴が利用方法次第では逆関節しか為しえない戦術を実現できる可能性を秘めている。まずブレホは機体の向いている方向と水平追跡運動には一切の関係がなく、すれ違い様に発動するような条件では旋回が間に合わなくてもそのまま側方や背後にむけてでも水平加速する。そして逆関節は特に後端の判定の長さと角度が秀逸で、モニタからターゲットが見切れるような位置でも攻撃判定に捉えることができる。やや判定が狭いとはいえ左前面から側面に深めに踏み込めれば十分2ヒットが発生し、左方向へのすれ違い様で旋回がまったく追いつかないような条件でも斬撃判定に捉えることができる。
そしてブレホキャンセルでは発動前の速度を維持したままあるいは発動時の瞬間加速をそのまま固定してブレード判定を発動することができるので、旋回性能が高くても左側面に広い判定を有効活用できる潜在的な要素がある。また機体実半径よりも深く踏み込めるので固め斬りなどでしっかり狙えれば2ヒットも若干発生しやすくなる利点もあり、ごく稀にではあるが正面やや左側にかなり深く入射あるいは払い抜けると目標が停止・移動中のいずれの状態でも3重ヒットが発生しうる。逆関節は左側に特化したマップを持つため右に抜けてしまわないかぎり狙ってあるいは偶発的にも斬撃に捉えうるため、例えばすれ違いざまに脇腹を払い抜けるあるいは突き立てるような変則的な斬撃も不可能ではない。特に後端の判定が長く後傾していることで正面から斬り込んでも反撃不可能な死角で斬撃に成功する可能性があり、空中ではブレホを継続せずにそのまま水平限界速度で移動するのでカウンターのリスクも低減する。操作的に最も安定する方法はそのまま斬れる運動状態からブレホ発動前にキャンセルすることだが、初動加速を使う場合はやや正面から角度を付けた状態から発動すると加速方向が特定しやすく機体角度の修正が間に合わずに斬り込むので狙いやすい。左右方向で斬り込む向きが変わるのでそれぞれで間合いを調整し、ごく至近距離を除いて絶対軸(方位に相当)45度方向(東南など)へ加速しやすいためそれも多少意識できれば安定させやすい。またキャンセル後はブースト操作は可能で、成功率よりもリスクの低減を優先した方が気軽に発動しやすいだろう。
もともと逆関節は実サイズ反発による空振りでカウンターされるリスクが高く、至近距離のまま応酬して斬り勝てるようなブレードマップや装甲は無いので、ロケットでも無い限りブレホ有効のまま至近距離でブレードモーションが終了すること自体がリスクになりやすい。このためブレードを戦力に計上しにくいカテゴリだが成功率が低下しても反撃されにくい方法で斬撃が可能ならブレードも装備する価値があり、逆関節は武装アセンや想定する戦術の相性次第で至近距離や対重量級戦が難しくなりやすいがブレードが使いこなせれば特化戦術のバックボーンとして選択肢を広く支えることができる。そしてむしろ逆関節二脚で剣の道にいそしむつもりなら挑戦すべき特性を持つともいえるのではなかろうか。しかしその実現には高いハードルがあるのもまた事実で、実戦に投入できるかどうかは熟練と的確な状況判断次第といったところだろうか。逆関節のブレード使いはあまり見掛けないが、側面・背面斬りを可能とするほぼ唯一の特性を生かして隠し剣をいかに当てるか。そしてそれを実現した暁には例えタンクの正面からであっても気軽に落下斬りをお見舞いできる利点も見逃せない。辻斬りスタイルでブレード相性悪しという既成概念を打ち払いたい。
○機動戦力に見る逆関節二脚の評価
まさにテクニックこそ勝利へのカギといえる。当然テクニックは全ての脚部に必要でパーツアセンとテクニックの相乗効果がACの戦力となるが、各脚部全般的にテクニックでフォローしにくい部分はパーツ性能で埋めるようなアセン傾向にある。逆に逆関節の場合は、特徴を最大限追及し、パーツ性能で見捨てられた部分をテクニックでカバーすることになる。悪くみればパーツでは補いきれない大きなデメリットをもつともいえるが、そのデメリットをテクニックで賄うだけのポテンシャルと性能配分が為されているというのが逆関節の正しい評価だろう。
四脚は固有の運動特性という意味では全脚部でも優れたパフォーマンスをもつといえる。実質単独となるの空中限界速度は二脚系のブースト移動よりも速く、空中で広角運動中の四脚に対しては1fでも後退するタイプの2次ロック(座標基準)射撃は拡散弾を除いてほぼ全般的に無力化する。特徴的なホバージャンプや落下速度の遅さも多彩な戦術を展開するための有利な要素になり、さらに全高および被弾判定が二脚系よりも著しく小さい点も見逃せない。攻撃面でもこれらの特性が最高のブレード相性を実現し、肩キャノンもその潜在的性能を最大限発揮しうるほぼ唯一のカテゴリでもある。一方で四脚は弱点もまた非常に多く持ち、これらの運動特性を優位に生かすためのアセンも、それらを発揮させた戦術を持続的に展開することも難しいという両極端な性格を持つ。
○四脚の運動性能と特殊性
まず四脚の地上移動について、四脚は地上ブーストが無く内部処理的には通常移動が地上ブースト扱いとなっており前後左右とも速度が均一でかついずれのレスポンスにも差がなくエネルギーを消費しない。また二脚系とは異なり歩行動作を持たず原則として常に慣性の影響を受けるため、空・地を離陸や着陸で移行しても水平速度をそのまま引継いで運動し続ける。ただしそれぞれの最大速度が上限になるため例えば高い空中水平速度から着地するとその瞬間に地上水平最大速度まで減速する。なお地上移動中は脚部稼動時としてE回復する。この性質により無慣性挙動を利用して瞬間的に停止や切り返す動作が出来ないので回避コストが高く、高機動であっても近距離戦での駆け引きがしにくい。一方で着地時も慣性を維持するため地上を経由する場合の移動効率が高く、特に後退方向への着地では二脚系に比べて移動速度を維持したまま引きやすい性質がある。また地上で被弾硬直中も慣性で後退するためその場で固まりにくい(ただし例外があり、操作次第で条件が変化する)。
そして四脚にはダッシュジャンプ機能がなく地上を移動しながらブーストすると慣性を引き継いだまま上昇を開始する。ホバージャンプは移動方向に関わらず離陸の瞬間2fにわたって強制的に前進方向へ空中水平加速度に対応した加速を行うため、結果として平行移動中のホバージャンプはその間2f分、後退方向へは結果的に4f分加速が遅れることになる。上昇方向はダッシュジャンプのような瞬間加速度はなく、ホバー発動時から強制的に2fの上昇ブースト加速度の適用を受ける。
水平限界速度について、四脚は5376でタンクと共通だが実質四脚でしか達成しえず二脚系の4800に比べ1割以上高い。このため水平運動は若干の蛇行を加えながらでも二脚系と同等かそれ以上の平均速度で移動することができるため、空地で慣性を引き継ぐ性質と合わせて追う場合でも引く場合でも有利な特性として活用しやすい。ただし目に見えて圧倒的に速い程のものではなく、機体性能が限界速度に達していない場合にはまったく利点にはならない。そして四脚限界速度は1f以内に機体被弾半径を大きく脱するため、単一運動に対して予測射撃が1f以上後退するタイプの2次ロック射撃では空中で広角運動中の四脚には拡散や大きめの分配誤差を除いて命中しえない。したがって同運動中の四脚に対しては二門兵器の平行射撃を利用した攻撃や、肩キャノンなどの手動補正射撃、ミサイルやロケット、あるいは後退しないCPU側条件の精密予測武器などが必要になる。
余剰限界速度について、四脚は限界速度が大きく絶対軸45度方向の限界速度範囲も運動性能の上限範囲より広い。このため限界速度以上での運動性能の上昇効率が二脚系よりも高く、もともと上限に近いほどの運動性能を達成しにくいパーツバランスもあり余剰慣性の影響は受けにくくなる。しかし機動力特化型のコンセプトとなると低い実弾防御と安定性のため空中で上下左右に切り返しながら攻撃するあるいは踏み込むような戦術には減速の遅延による移動ロスと回避能力の低下は無視できない。無慣性運動を経由できない四脚では回避はブースト加速度に依存せざるを得えないが、機動力に特化するなら瞬発力(加速度)を優先して余剰慣性は的確に切り返して抑えるほうがいい。逆に重装化する場合でも限界速度を達成していれば広角運動でのサテライト回避が容易になるので無理に運動性能を追求する必要性はないが、水切りなどを多用する場合は加速度は高いほうが効率がいい。
垂直限界速度について、四脚は7200で二脚系の10000よりもだいぶ小さく、上昇・落下ともに上限の速度がかなり遅くなる。戦術的なメリットとしては特に落下限界速度の影響が強く、自由落下が遅いため着地点の位置調整の余裕やE回復の時間、そして落下斬りのタイミングも取りやすくなる利点がある。また結果として滞空時間が長くなることを利用して空中戦能力の向上に生かしやすいが、これは限界速度による性質なのでそれに達しない垂直速度域での空中制御や三次元戦闘には影響しない。つまり脚部ジャンプなどを利用していったん上昇した後に限界速度でゆっくり落下しながら戦術を展開するような工夫が必要で、ポンピングブーストなどで機体制御しながら同高度を維持する空中戦での条件は二脚系と同じになるためむしろE効率で不利になる。
そして四脚の限界速度は水平よりもこの垂直方向への余剰域の影響が大きい。まず上昇時は7200以上の速度は実速度に反映されないため、7200以上ではブーストを継続しても加速せず、ブーストを停止した後でその余剰慣性にしたがって上昇し続ける。また上昇ブースト最大速度に達するとそれ以上ブーストを継続しても速度を維持するだけで加速できないためエネルギー効率が低下してしまうが、限界速度以上の余剰慣性は無駄にはならないのでこれをコントロールすることで滞空時間や上昇高度を稼ぐことができる。例えば上昇ブースト最大速度以下かつ垂直限界速度以上の範囲ではブーストコントロールしながら垂直限界速度で上昇し続けることができる。限界速度以下でも減速しすぎなければ上昇ブースト最大速度でブーストし続けるよりはいいが、余剰域でコントロールできれば実速度を減速させずに上昇し続けられるので余剰域が広い方が操作しやすい。なお脚部ジャンプ時に4032の加速度がかかりジャンプ後に限界速度に達する時間は運動性能にもよるが2秒弱と短かく、サイトギャプの大きさは実速度に依存するのでロックサイトと機体の相対位置が実速度の目安になり、実速度が上限に達するとサイト位置が安定する。ただし上昇中でも減速するとサイトや遠景が上へ移動し落下してるように錯覚しやすので注意、ロケットガイドやNDサイト&ガイド(特に9009)を正面に向けると垂直速度の目安(定位置より下で上昇、上で落下、固定された時点で実速度上限、動きだすと加減速開始)として分かりやすく、減速しているか程度なら下を向いて地面の描画でも判別できる。なお到達高度も到達速度も二脚系に大きく引き離されるので空対空で上を取る戦術は難しい。
一方落下時は限界速度に達した時点で実速度は頭打ちになるが余剰慣性は落下最大速度9600まで増大し続ける。そして上昇ブースト加速度はせいぜい100前後(最大でも128)なので大きな余剰慣性を発生させた状態ではブーストで減速しようとしても減速開始にかなり時間がかかってしまうためエネルギーの無駄になりやすい。ちなみに落下加速度は256なのでゼロ速度から落下を開始したとして限界速度には約28f(1秒強)、落下最大速度には約37f(2秒弱)で達する。上昇中でもブースト停止後1〜3秒程度で落下限界速度に達し比較的低空でも自由落下で余剰慣性を発生させるので、着地硬直回避のためにブーストが有効か無駄なブーストかを判断するのがやや難しい。また落下中は余剰域範囲でブースト制御してもあまり意味はないのでオンで減速するかオフで落下するか切り分け、ポンピングブーストなどの制御は上昇中もしくは滞空中など落下速度が十分小さい状態でするといい。
旋回性能について、全体的にパーツ自重によりやや遅くなり近接機動戦などへの対応はしにくい傾向にある。しかし後退方向への運動効率に優れ、空中限界速度も高く、かつ即座に空中ブレホを発動できる利点もあるので間合いの確保ができれば空地ともにそれほど苦労することはない。またサテライトを挑んでくる軽量高機動機体を相手にした場合には旋回戦は分が悪いので、それに応じずに相手と同じ方向への平行移動や引いて間合いを確保することでサテライト運動を抑制し旋回性能差を無効化しやすい。四脚は空中限界速度が高いので側面に回り込まれる危険は少なく、サテライト運動に攻撃可能な武器の選択肢も広いので反撃しやすい。
機体サイズについて、四脚の機体実全高は“150”、被弾判定高は“137”の円柱状に設定されており、一方二脚系は全高・被弾判定高ともに“225”(中量二脚は“212”)なので、全高に“75”、被弾判定には実に“88”もの差がある。これに対し被弾半径は二脚系と四脚で同じ大きさなので水平方向からの投影面積がかなり小さくなる。これにより特に弾が散るタイプの武器の命中率は距離が離れるにしたがい顕著に低下する。実測値を武器性能ベーシック編に紹介したが拡散幅の大きいハンドガンやWA−Fingerなどは僅かな距離差で著しい命中率の差になり、回避の困難なマシンガン等の有効距離を一方的に狭めることで同距離で二脚系と撃ちあった場合には有利に展開できる。また四脚の垂直運動に対しては目標移動に後退するタイプの予測射撃武器の命中境界速度が二脚に比べて際立って低く、かつ散った予測射撃にも被弾しにくい。この差は弾速や距離などで変わるが例えば上昇中に二脚系が被弾してしまう速度に比べ半分程度の速度でも被弾しないという劇的な差がある。そして手動補正射撃やロケットなどの角度射撃は上下運動への対応力に劣るため手動による狙撃もしにくい。このため射撃戦についてはあまり被弾判定サイズの差が表面化しにくい近距離よりも中距離以遠での戦術展開に適している。なお地上移動時や空中時で姿勢が大きく変化するように見えるがこれは視覚効果(射撃位置は変わる)で機体サイズ・判定サイズは空地いずれも変化しない。
一方で回避運動の観点からは、ホバージャンプは瞬間的に上昇することができないので予測射撃を上下に散らすには十分な上昇加速度が必要になる。そして無慣性歩行がないので回避能力の確保には運動性能を高めるしかないが、ホバージャンプは二脚系のように小ジャンプ加速度を高めてE回復時間を長くすることができず、運動性能を高めるほど回避運動の維持が難しくなるというジレンマをかかえる。また地上移動速度に優れるとはいえ高速移動にはエネルギーロスの大きい空中ブーストを多用せざるをえず、もともとE消費が大きいパーツバランスとあわせて一層エネルギー管理に不利な状況へと追い込まれてしまうなど、回避コストが非常に高い欠点がある。ただし回避に技術や労力等を要するだけで回避手段が無いというものとは異る。四脚には高い限界速度や低身長などの有利な点も多々あるためそれらを最大限利用してこそ四脚たる戦い方といえるだろう。
脚部ジャンプについて、予備動作は7fと短く、加速度は軽量二脚と同等の4032、ホバージャンプでは瞬間加速ができないため大きく上昇するための必須要素となり、連続被弾硬直からの脱出も主に脚部ジャンプ機能に依存することになる。四脚は全高が低く水平限界速度が高いため垂直運動と水平限界速度を組み合わせることで回避効率を高めやすい。ただし脚部ジャンプは地上停止が条件になるため着地・被弾硬直後は入力継続で自動的に発動するが、軟着地では慣性を残してしまい停止するまで脚部ジャンプができない。垂直に着陸するのはリスクが高いため水平運動をしながら着地する場合は状況に応じて着地と同時に広角方向へ地上ブレードを発動し、ブースト入力(四脚は脚部ジャンプ優先なので他の入力も可)で後半を短縮してそのまま脚部ジャンプにつなげると隙を分散できる。空中ブレード中の着地は特殊接地硬直を起こしてしまうが、遮蔽物越しに着地して脚部ジャンプする場合は地上ブレードより早く、緊急停止や狭い足場への着地などにも利用できる。ついでになぜか停止旋回中にジャンプするとホバージャンプしてしまう。
なお脚部ジャンプ予備動作中に肩キャノンを発射すると、発射反動が発生した瞬間に反動加速と予備動作を無視してジャンプを発動する。ただし発射反動中にブーストするとホバージャンプになり、同時入力などで予備動作開始前に発射すると失敗するため脚部ジャンプ操作の直後に発射操作をするといい。これは特に固め抜け手段として重宝するが硬直解除後に予備動作開始と発射分の4f程度が必要になるので安定性で硬直時間を短くしておく必要はある。ついでにチャージング時の隙軽減や垂直回避あるいは垂直着陸直後に飛び上がるなどの機動サポートにも利用できるが、四脚はもともと脚部ジャンプ予備動作が短いので通常は残弾に余裕が無い限りあまり利点にはならず、脚部ジャンプだけでも着地硬直を起こす加速度を持つので無硬直連続ジャンプもできない。
水切りについて、四脚の運動特性ではメリハリの効いた加減速がしにくく常に回避コストを増大させる欠点があるが、空中速度と地上速度を任意にかつ小刻みに切り替えることである程度落差のある加減速を行いながら予測射撃を散らして被弾率の低減をはかることができる。四脚は空・地で慣性を引き継ぐもののそれぞれが最大速度か限界速度を上限とするので、高速移動中に接地すると瞬間的に地上最大速度まで減速し離陸後に加速することで高い限界速度との落差を利用して前後へ散らすことができる。そして接地の瞬間に落下速度も0になるため運動性能が高いとホバー上昇・落下とあわせた垂直加減速で四脚の被弾高の低さを効果的に活用して上下へ散らすこともできる(特に水位の高い水上基地でより有効)。つまり接地と離陸を相手の射撃間隔や武器特性に合せてコントロールすることで回避しながら被弾率を下げることができ、加えて単発狙撃のタイミングもはかりにくくなり手動補正射撃やロケットに対しても効果を発揮する。ただし連射速度がこのサイクルを上回る場合には加減速比の小さい間の被弾は容認せざるをえない。そしてこの挙動は地上走行と空中移動の速度差が大きいほど効果が高くなるので可能な限り四脚限界速度を達成することが望ましく、細かく水切りする場合は特に空中水平加速度が高いほど効果を発揮する。一方地上速度は脚部パーツごとに固定されるのでアセンで調整することはできず、地上走行の速い四脚にはより高い水平加速度を要求されるので逆に空中運動性能が低下してしまうと水切りによる瞬間加速・減速ができなくなり回避がいっそう難しくなる。
水切りによる回避運動に影響する要素としては予測射撃武器が移動後方へそれる点、予測・着弾のギャップが大きい武器ほど加速回避寄りに有利で減速側に不利になる点、弾速が速い武器ほど予測を散らせる有効距離が長くなる点など。操作の観点からは、ホバージャンプは発動時に2fの前進加速を行う点、離陸後の加速は運動性能の加速度に依存する点、四脚限界速度で広角運動中は通常予測射撃はほぼ命中できない点、被弾硬直中の接地で8fの特殊接地硬直を起こす点などに注意しておきたい。つまり自機の加減速比と武器の性質によって有効な距離や着地間隔などをコントロールする必要があり、敵機との高度差が大きくなると上下方向の回避効率が落ちるので距離は遠いほど有利で位置関係は水平に近い方が効率がよく、四脚は被弾硬直中の着地で大きな隙を生むので衝撃武器には相性が悪い。また離陸時に2f前進方向へ強制加速するので加速度が大きいほどあるいは水切りサイクルが短いほど広角化する目標を正面より若干斜め後方へずらす方が効率がよくなり、水切りで回避しにくい場合は空中限界速度で広角運動するだけでも一部の武器や角度系射撃を除いて十分な回避になる。そしてこの運動はミサイルロックや射撃操作と両立しやすく、接地による肩キャノン射撃とも組み合わせて攻撃と回避を一体化させることができる。
以上のように四脚は長所となりうる特徴を数多く有するが一方で欠点もまた多く存在する。常に慣性に制約されるなどの点もあるが、四脚機動力の最大の欠点ともいえる被弾硬直中およびブレードモーション中の着地によって8fの特殊接地硬直を発生し、基本的な安定性の低さがそれに拍車をかけるため状況次第で大きく機動性や戦術を阻害されやすい。またアセンとエネルギー管理の制約が大きく持続的な回避能力を維持するのが難しい問題もあり、かつダッシュジャンプや通常歩行等の瞬間加速・減速が出来ず技術的にフォローを要する部分もかなり大きいので可能な限り水平限界速度の達成を優先したほうがいい。それ以上については無理に追及する必要はないがもともと高い限界速度がx軸とy軸で独立していることや加速度による水切りの効率上昇を考えると機動性に重きをおくなら余裕のある範囲で運動性能を追及しても損はないだろう。
しかし、心もとない耐久力を気にして回避に機動力を割きすぎては引くも押すもかなわない、たとえ引く場合であってもこの機動力は攻撃のために最大限生かすべきであり、野獣のごとく宙を舞う姿こそ四脚の求めるコンセプトだろう。そして野獣の合言葉は殺ラレル前ニ殺レ、だ。
○四脚の安定性
四脚は低い脚部安定性能に加え、特殊接地硬直や固め抜けに関わる仕様がおしなべて四脚に不利に働きやすいなど他の脚部では考えられない弱点を満載する。これらの性質により他の脚部カテゴリに比べて武器特性や射撃条件と自機の安定性能そして被弾条件などから臨機応変に的確に対処方法を変えなくてはならないというハードルがかなり高い。しかし四脚には他の脚部が持たない優越な運動特性や、二脚系に比べてかなり小さな当たり判定などの卓越したメリットも存在するのでめげてはいけない。
各脚部の無効化目標は205−SF、X3、TR−0が“2”、DEX−1とX5Xが“3”、重ジェネレータを積んだ場合は全パーツ“2”(205−SFは不可)となる。そして脚部ジャンプの最短発動が7fなので脱出境界自体は二脚系と差はないが、脚部ジャンプ操作と後退運動を両立できない(脚部ジャンプ動作に移行するとその場で瞬間停止する)ため着弾間隔の短縮を防ぐのが難しいうえに、脱出境界が被る武器が多い硬直2f(と4f)での被弾硬直延長現象を抑制する操作と脚部ジャンプを両立できず特に地形接触するとほとんど完全再現してしまう。しかし後退を優先させてもホバーと脚部ジャンプの操作的な競合(硬直中にブースト操作を開始すると脚部ジャンプが優先されてしまう)によってかなり脱出操作の切り分けや成功率がシビアにならざるをえないという操作上のリスクが大きく、後退を誤ると地上走行速度の高さと機体実サイズの大きさのため障害物に引っかかりやすくさらにエリア押し出しの危険まで増大する。そして硬直時間が長く衝撃加速が大きい武器ほどホバー直後や低空飛行中の撃墜あるいは跳ね上げ&再着地などの特殊接地硬直を発生させやすく、この場合は旋回すらできなくなる。これは特に低安定の脚部特性と上昇速度が遅いホバージャンプもあって戦術的に甚大な影響を受けかねないため連射武器以外(バズーカなどの強衝撃武器やミサイル、爆風衝撃、連携攻撃など)にも注意する必要がある。
このため四脚の脱出境界となる硬直時間+7fでは不足しがちでホバージャンプの操作性のためにも被弾硬直は短いほどいい。特に硬直時間を1fまで低減していればホバー操作を成功させやすく、かつ被弾硬直が延長される現象(バグ?)の影響もほぼ無く、なんといっても特殊接地硬直をほぼ防ぎきることができるので二脚系では無効化しないかぎり脱出困難な弱衝撃武器からも脱しうる。そして四脚は硬直解除後も特殊接地硬直と脚部ジャンプによる急停止を起こさなければ慣性で後退し続けることができるのでその場で固まって斬撃されるリスクは低く、安定性では根本的に対処し得なくても後退しながら反撃するチャンスが残されている点では優れている。したがって断続的な被弾中でも後退しながらサイティングやポジショニングする余裕のために可能な範囲で硬直を軽減できるとベターだ。戦術的には連射系衝撃武器が相手の場合にはあまり地上走行や低空飛行をしないこと、回避やホバージャンプの有効射程と武器の特性を把握すること、脱出や反撃のためのサポート火力や後方の空間的余裕などを確保しておくこと、そして地上硬直を起こした場合は脚部ジャンプか後退しながらホバーや反撃を試みるかを迅速に判断して障害物に押し付けられて詰む前に対処を試みたい。
また肩キャノンの発射反動でジャンプ予備動作をキャンセルして固め抜けを狙う場合でも硬直時間+4f程度が必要で、かつジャンプ予備動作中に発射しなくてはならないためやはり被弾硬直は短いほど成功させやすく、失敗時には繰り返すため肩キャノンのリロードは連射衝撃より短く弾数も多いほどいい。したがってキャノンを使う場合でも安定性による被弾硬直低減は必要な要素で、成功率も操作次第になるため肩キャノンを搭載すれば確実に固め抜けできるというわけではない。そして四脚は自爆でも特殊接地硬直を発生させる危険があり、右手武器の射撃点などの影響もあって二脚系に比べて自爆抜けはややしにくい。
武器別に見ると、まず四脚は低空で被弾して撃墜硬直を起こしてしまうと普通のミサイルでも容易に連携追撃を受けるためミサイル回避時はできるだけ低空飛行は避け、地上にいる場合は間に合うなら脚部ジャンプが安全で地上ブレードやキャノン発射による短縮と組み合わせてもいいが、水切りやホバージャンプはリスクが高く特に下向きに着弾しやすい条件は避けたい。小型ミサイルの衝撃は12、硬直時間は3〜5。垂直ミサイルSMSS24は地上付近で爆風による跳ね上げと特殊接地硬直を発生させることがあり、爆風衝撃は5〜6、衝撃6範囲は狭いので衝撃5を硬直1にできればかなり防げるがABSで可能なのはX5Xのみ、205−SFはReでも不可能。同じ衝撃5はR/4、無効化は不可能だが硬直1にしていれば空中でもだいぶ楽になる、硬直2以上では地表付近での撃墜硬直が危険で特に対四脚(移動中)戦では水平射撃で跳ね上げ&特殊接地硬直を起こす。また同リロード15のRF105は対四脚戦の地対地で近距離被弾すると肩キャノンが無いかぎり絶望的。同様にB2120程度のリロードまでは特殊接地硬直を起こすと追被弾の危険が高くなり、単ロックタイプ小型ミサイルの18X連射をホバーで回避しようとするとループしやすい。
連射衝撃武器では衝撃3以下の3種はできれば無効化しておくとベターだが無効化できなくても二脚系と違って対処方法がある。LN350とSPGUNの肩キャノンは追随速度が遅いので慣性を利用して振り切りやすく空中から連射される懸念も少ないので硬直1ならほぼ無問題、HG235もホバー脱出必須なので退路が無いと難しいが衝撃加速が小さいのでやはり硬直1なら特殊接地硬直や脚部ジャンプ操作との競合を防いで対応できる、ただし硬直が2以上だと危険。衝撃3までを硬直1にするのは全脚部でさほど難しくないので達成しておきたい。HG512(リロード8、衝撃4)は硬直1でほぼ安全圏、硬直時間2が脚部ジャンプの脱出境界だが被弾条件次第で微妙、3以上になると脱出困難なので脚部ジャンプは諦めて後退から展開するしかない。HG1(リロード8、衝撃10)の脱出境界は硬直2以下でX5Xのみ可能だが仕様や戦術的に見ても硬直2で抜けるのは難しく、四脚は少しでも離れると散弾の命中率が減少するため一回外せば全脚部で脱出可能になるが操作が競合して賭けに近いので硬直は短いほどいい、衝撃が強いため上からの射撃にホバージャンプは極めて危険、このため地形に接触して動けなくなる前に脱出しなくてはならず地上走行で後退しながら距離を離すには壁となる火力(と旋回・サイティングするために硬直時間の軽減)がほぼ必須になるが、肩キャノンと被弾硬直の低減ができていれば脱出は難しくない。なお散弾は左右に振っても散りにくいため単純に遠ざかる方向へ後退したほうがいい。しかし空中で連射しながらしっかし張り付いてくる相手には脱出を諦めて反撃するしかなく、水平射撃で1〜2発命中する条件で跳ね上げ&特殊接地硬直を起こす危険がありこれは安定性で軽減できず(硬直1で解消するが実現不可能)旋回もできなくなるので射撃点の低い対四脚・タンク戦では特に注意(地上ブースト中や歩行方向によっては二脚でも起こる)。RF/5(リロード10、衝撃7)の脚部ジャンプ脱出境界は硬直4以下で硬直3であれば安全圏、ホバー操作をする余裕があり中距離では単発被弾しても散らしやすいので近距離に詰められる前に対処を。
以上のように脚部ジャンプが可能な条件ではまず脚部ジャンプを、そして後退を要する条件では障害物やエリアオーバーラインを背負った状態で被弾するのはタブーといっていい。また中距離や長リロードでも強衝撃武器や上空からの射撃などでは容易に撃墜硬直を起こすためホバージャンプや低空飛行には十分注意したい。基本的に安定性が低く固めに関わる各仕様が不利に働きやすい弱点もあるが、脱出操作を抑えれば動き続けることはできるので固め斬りのリスクは低く、空間的余裕と手段さえあれば連続被弾中でも状況を打開しうるという点では二脚系に比べて優れるともいえるなお肩キャノンがあれば脚部ジャンプを短縮して固め抜けができるので自爆武器より使いやすく、対応にどうしても苦慮する機体や戦術の場合は搭載しておくいい。硬直は短いほど(硬直解除後の時間的余裕が長いほど)成功させやすくなり、グレネードキャノンでも可能で時限爆破やグレネードバリア(自爆回避は無理)とも併用できる。
○四脚のアセン考
四脚はホバージャンプや限界速度などの脚部特性によって運動性能という観点からは独特かつ高い性能を持っているといえる。ところがその特性を引きだすために必要なパラメータが全般的に低く設定されているという極端な性格付けをなされている。単純にアセン面からみるとパーツが重い、積載量が少ない、エネルギー防御は高いが実弾防御が低い、被弾衝撃耐性が低い、そしてこれらに追い討ちをかけるように運動性能の維持に重要な消費エネルギーがバカでかい、それもとてつもなく。運動特性は優れるがそれを発揮するための補助的パラメータが軒並み不利という徹底したパーツバランスになっている。極端な特化型パーツによるカテゴリという点では逆関節と通じる所があるが、ダイレクトな性能が恵まれている半面補助的能力がのきなみ不利という点でその性格は対極に位置する。つまり、磨き抜いた操作技術をベースにアセンで戦術を研ぎ澄ます逆関節に対し、練り込まれたアセンを前提に操作技術で戦局を切り開くのが四脚というわけだ。したがって、四脚の場合基本的な機体構築に失敗してしまってはいかなる技術をもってしても覆しがたい弱点を抱えることになる。くそう、やってくれるぜ。しかしこれでこそAC、やはり容易には有利な点を特化させてはくれない。
さて、四脚の特徴である突出した限界性能を生かすには“引く”にしろ“押す”にしろできるだけ軽量にする必要がある。なにしろ出力の高いブースターを持続させるのがとても難しいからだ。そして高出力ブースターほど重い。しかし四脚は同一カテゴリ内ながら戦術次第で脚部の選択を変えられる充実したラインナップがあり、この限界性能を生かして戦術を特化するなら、軽量機でブレード主体に迫るか、高火力で有効距離を維持しながら射撃戦を挑む戦術などが適している。もともと極端な長短所に特化されている四脚にとってオールラウンドに、といったアセンは不幸を招く。不利な状況の打開は高い限界性能を駆使した操作技術で切り開く、これが孤高の四脚たる戦いの御印だろう。
まずブレード主体の軽量高機動を狙うなら205−SFが特に適している。全脚部最低積載量に最低の実弾防御のためぺらぺら装甲機体になりやすいが、最軽量のT001ブースターでも最大級の運動性能を、そして四脚特性&ホバージャンプが生み出すブレード戦術は全脚部中最高の相性を持っているといっても過言ではあるまい。四脚はブレードと相性がいいものの自重のため二脚系の軽量機に比べて上昇と特に旋回性能に不利という側面もあるが、軽量に仕上げた205−SFはこれらの特性を有利な立場で両立しうる。したがって205−SFはブレードを主体とした戦術に最も適しており、ブレードと相性のいい近距離戦用武器や退かれた場合に接近をサポートできる武器を組み合わせると戦いやすい。右手武器に軽量かつ攻撃的なものを選ぶなら、ポジショニングのための軽量ミサイルや高い旋回性能と安定した上半身挙動などの特性を生かせる肩キャノンやロケット・機雷系などを組み合わせると使いやすい。右手にサポートを選ぶなら比較的強力なものを選んで肩は軽量高火力のものか、あるいは完全にブレードを主武器として軽量サポート武器のみで十分な戦力を発揮できるほど操作共に特化できるなら意外に耐久力を確保できる側面もある。
X3とTR−0はブレード主体の205−SFに比べ積載力とE消費が改善されており近〜中距離射撃戦用の機体として相性がいいので高い限界速度と小さい被弾判定を生かしたい。自重により旋回性能が若干落ちるが至近距離はブレードでも十分。機動力は高いので近距離戦でも可能だが歩行と小ジャンプができない四脚は回避コストが高くケースバイケースの切り分けが重要で、例えばCPU側の精密予測武器は近距離では回避運動がほとんど意味をなさないので至近距離までつめて死角をとるあるいは回避運動を捨てて競り勝つか、それとも十分予測を散らせるあるいは四脚被弾サイズでマシンガンや散弾が散逸する程度の距離まで引くかを状況に応じて選択できる機体構成が望ましい。また衝撃にも弱いので接近戦は弱点も露呈しやすいが押せば後方に空間的余裕が、引けばポジショニングにはより注意を要するが被弾率が一気に低下するので武装次第。そして予測射撃が後退するタイプの武器に対しては四脚限界速度の広角運動は距離に関係なく有効で、近距離では手動補正射撃もまず追いつけないので相性が悪い武器以外は接近した方が有利、特にD0コアを選択する場合は対ミサイル性能という最大の欠点を吸収できる。
X3の装甲は205−SFと実・Eが逆転した程度で大きな差はなく、増加した積載量も装甲に回す余裕はほとんどないので主力となる武器に注力した方がいい。垂直運動を軸にするには積載と装甲が乏しいのでE系武器単装は難しいが、対重量級戦でブレードのサポートにもできる実弾系なら単装でも十分戦える。また最軽量ブースターでも十分な機動力になり若干低下した地上速度が水切りの回避効率を高めるので、中距離射撃戦に対応可能な主力武器に近距離戦用の軽量な特化武器を組み合わせるなども。肩キャノンが扱えれば選択肢は広く、衝撃の弱点もカバーできる。
TR−0は全体的に高性能で積載力もあるのでアプローチの幅が広く、装甲に配分する余裕もあるが火力を重視すれば主力武器とサポート武器を存分に選択できる。ただし高く設定された防御力もAPが低いため実際には実弾耐久力は多少秀でてもE系耐久力はむしろ低くなりやすい。また水平方向主体で機動戦術に特化する場合はTLジェネレータがほぼ唯一機能する脚部で、さらに低消費の武器腕と組み合わせれば高いE回復力と持久力が両立できる。逆に運動性能が低下すると地上走行が速いことで水切りの回避効率が悪くなりやすいので、押すにしろ引くにしろ装甲よりも機動力に重きをおいたほうがより有効に性能を発揮できるだろう。銀ジェネで満載に近い状態ならブースター出力を高めるか、より遠距離での戦術展開ができるようにしたい。
DEX−1は四脚の中ではやや特殊な位置づけで、扱いは非常に難しいが使いこなせれば射撃戦に幅広く対応する。E系耐久力はやや低めになるが実弾耐久力は四脚では最も高く、脚部全体では実・E防御ともに平均的ながら四脚の小さい被弾判定を生かせる距離や戦術で被弾率を下げられれば高耐久機体とも渡り合える。まず四脚は空中限界速度で広角運動をすると1f分後退するタイプの命中境界を安定して超えるが、この突出して低い地上走行速度でも広角運動が2f分後退する予測射撃の命中境界より微妙に高い。そして空中と地上を分けてどちらもサテライト回避な範囲で地上速度と空中限界速度とに最大限の落差を持ち、これにより水切りなどタッチダウンによる加減速動作が射撃全般に対して高い効果を発揮する。具体的にこの脚部の接地減速は地上最大速度からの瞬間停止よりも大きいため特に切り返しや減速に弱いタイプの予測射撃に効果的だが、任意かつ変則的に散らせるため後退するタイプや手動補正射撃に対しても有効で、他の四脚に比べて水切り回避の有効距離をより短くできる。特に無衝撃のE系武器や精密予測武器はこの特性を生かして被弾率を低減しやすく、低い身長は拡散する武器に対してと垂直回避にも有利で、実弾系やミサイルに対しては四脚中最も高い実弾耐久力が貢献するなどの性質がある。そして中・重装系の四脚は全体的に回避よりも被弾率の低減が主体になるがDEX−1の特性はそれに絶妙に適したバランスになっており、やや運動性能を落としても被弾率の低減能力を維持できる性質がある。一方で非常に高いE消費とかさむ自重によりそのための運動性能と実用的な火力の両立は容易ではなく、特に戦術的にE収支をどうやりくりするかが最大の難関ともいえる。このため脚部ジャンプの効果的な活用がキーになるが、若干の安定性と実弾寄りの装甲に加えて四脚特性の低い身長と短い予備動作により脚部ジャンプのリスクは低めで、ブレードや肩キャノンがあればそのリスクをさらに低減できる。そして垂直運動を軸にした戦術はE管理のカバーにも適しており四脚は高い水平速度と遅い落下速度を生かした空中戦や空対地戦にも相性がよく、積載力には比較的余裕があるのでアセンの幅は結構広い。
余談だがチャージング中のカタカタ移動で踊りながら前進するといった性質もある。四脚はエネルギー残量が無くてもホバージャンプ自体は可能で、チャージング中に移動しながらブーストすると離陸時の2fに前方への空中水平加速度と上方に上昇ブースト加速度が発生し、直後の着地で地上移動速度まで減速するサイクルを数フレーム程度の振幅で繰り返す。特に地上速度の遅いDEX−1に高めのブースト加速度があれば相手に直角に回頭して前進ブーストすると予測を散らしながら移動できるうえ、空中での加速過程を経るので通常移動よりも速くかつジェネレータ回復まで早めることができる。まあアセン的にブースト加速度の要求が高いうえ真横を向く必要があるので実用性はネタの域を出ないが、あっと驚くトンデモ回避で精神的ダメージと無駄撃ちを誘えるかも。
最重量のX5Xは主に有利な距離を支配しつつ狙撃やミサイルとの連携という展開が主戦場になるだろう。しかしDEX−1よりもさらに悪化したE消費に脚部重量、そして空中限界速度はその達成だけでなく運動維持も難しい。地上速度も高いため減速を含めた機動力が低下しやすくE管理も大変なX5Xでは水切りで被弾率の低減をはかるのは難しい。しかし四脚特性は健在なので1f後退するタイプやミサイルには脚部ジャンプによる上昇と落下を活用しながらの広角運動を、後退2f分のタイプは地上走行による広角運動を基本として可能な戦術を明確に特化しながら組み立てるといい。E消費が甚大なのでどちらかというと脚部ジャンプを活用した垂直運動で戦術を展開するのに適しているが、この場合はE管理には余裕ができるので高容量ジェネレーターに限界速度が達成できる程度のブースト性能を組み合わせ空中で引きながら戦術展開できるアプローチが使いやすい。また地上走行にも優れるのでもし地上付近を起点にするなら地上走行や低運動性能でも被弾率を抑えられる操作の習得や、乱打戦でも打ち勝てる重火力や装甲が必要になるだろう。そして衝撃武器の硬直時間を可能な範囲で短くして反撃できる体勢を整え、地上付近では回避が難しい攻撃の緊急回避手段としてブレード避けや脚部ジャンプからの着地硬直回避そして水切り効率のために高めのブースト出力を獲得するといい。X5Xは地上付近を起点にする戦術と高度をとる垂直運動を軸にする戦術とを効果的に組み合わせるのは難しい。E消費以外のベース性能は優秀で特に積載力豊富でパーツ選択肢が広いが、バランスを重視できる脚部カテゴリではないので火力か装甲に重点特化したほうがいいだろう。しかし特化するとステージ相性が大きくなりやすいので四脚の特性を存分に生かせるようにアセンや戦術を磨いておきたい。
垂直運動を軸にする場合、四脚は低い身長によって垂直運動で予測射撃を振り切りやすい性質と、落下速度が遅いことで着地までにE回復の余裕が大きく、水平方向への高い限界速度によるポジショニングに有利な性質などで、高高度から自由落下しながら戦術を展開するコンセプトにも適している。脚部ジャンプによる垂直運動を軸にする場合、着地硬直とジャンプ予備動作の無防備になる時間的割合を減らしかつE回復時間を確保するために一旦やや高めの高度までジャンプし、遅い落下速度を生かしてブースター使用を抑えつつ戦術を展開できると強みになる。まず四脚は被弾高が低いため広角化しながら上昇・落下するだけでも被弾率を低減することができる。そして予測射撃が1f後退するタイプも水平限界速度で振り切れるため落下中はブースト消費をしなくてもこれらを両立することができる。ただし水平と違い垂直方向への射撃は角度が深くなるほど精度に欠けて運が絡みやすくなる(誤差が出る方向次第で命中しやすくなる)ことと、機体被弾直径は二脚系と同じなので高度差が大きくなると身長差による利点が小さくなり、必然的に垂直運動(特に地上目標に対して上昇しながら遠ざかる、落下しながら接近する運動)が射線に対して狭角状態になるので水平運動との組み合わせが重要になる。
遠距離で展開する場合はミサイルや長射程武器など射程外から攻撃できる武器種が適しているができれば連携戦術があると戦いやすい。特化するならあまりブレードやキャノンは必要なく、実弾系射撃武器の有効距離外を目指することになるので腕部にはE系武器かミサイル腕でジェネ選択肢や肩武器を充実させるなどが選択肢だがE管理には比較的余裕ができる。近距離で頭上を強襲するヒット&アウェイタイプは上下旋回が大きくなるのでサイトは広い方が扱いやすく、落下中にE回復しながら攻撃もできるため連射系のE系武器も可能だが落下を減速している余裕はなく、必然的に敵の近距離で着地硬直を起こしやすくなるのでサポート武器は必要になる。ブレードも着地硬直と脚部ジャンプの隙を分散させたりブレホを含め空中戦でも重要、腕武器主力なら連携用ミサイルなどが使いやすくフォロー用にはロケットや着地時用のキャノンなども選択肢になるだろう。ハンドガンや武器腕と両肩キャノンの組み合わせも面白いかも。重装機体もコンセプトになるが水平ポジションを有利にコントロールできないと成り立たないので空中限界速度の達成を優先したい。ミサイル迎撃機能は真上・真下を取り続ける場合は旋回限界を超えるので優先度は低く、レーダーは垂直距離無限のようなので狭い方が扱いやすい。
装甲について、四脚は実弾系とE系防御力のどちらを優先するか、あるいはバランスをとるかは悩ましい。まず脚部のベース性能のため基本的にはE系に特化しやすい。このため中距離以上の射撃戦を主眼にした機体で間合いの確保やミサイルの回避に自信があればE系を優先してもいい、実弾武器は弾速が遅いものが多いので中距離以上や対空戦でミサイル以外に有効なものは少なく、散開する射撃武器も対四脚にはある程度距離を詰めないと効率よく命中できない。一方で実弾武器に有利な接近戦や空中機動戦を主体とする機体あるいは遠距離でミサイルに苦慮する重機体の場合には実弾防御を高めておきたいが、同時に近距離ではブレード、中距離以上でもE系狙撃という戦術にさらされるもののバランス良く配分して十分なパフォーマンスを得られるだけの余裕はない。苦手を補うか、得意を追及するか戦術と技術次第としかいいようがない。ただコアは耐久性に優れる重コアとD0コアはミサイル迎撃機能が不完全で期待できず、S0コアとCLコアはAPの低さが基本防御の低さにダメを押す両極端な位置づけになりがちなので防御力よりは戦術距離や天敵となりやすい武器、選択武器の拡張性などを重視して選ぶといい。そして腕部は高負荷に過ぎるので装甲増強を目的とした選択肢は少なく、頭部は装甲特化でもないかぎり大差ないので脚部依存になりやすい装甲は最低限にとどめて運動性能と火力に注力するのも一つの選択肢といえる。
武器腕について、武器腕は防御力が皆無なので命中率と回避率のために高い運動性能が要求されるが、同時に実弾系の場合には耐久性に優れる重量級への対応に苦慮する側面がある。そして四脚には軽量な高火力肩キャノンによるサポートと命中境界よりも高い限界速度という利点があり、加えて武器腕の低燃費により相互に弱点をカバーできるため相性のいい選択肢といえる。また肩キャノンと腕武器で同じサイトタイプを共有できる組み合わせが多いのも大きな利点で、軽量な武器腕でも火力性能は十分優秀なので肩武器に通常腕部では選択肢にならない重火力武器を搭載するコンセプトも可能だ。なお武器腕を選択すると防御力の低下が気になるのでD0コアがとてもマブシイがミサ迎撃機能不全に低スロットという欠点があるので、同程度の初期APとジャマー分のスロット確保ついでに低消費という初期コアや、多スロットにミサ迎撃最高かつ射撃幅を狭めるCLコア、あるいは低E消費に高APの重コアか、など戦術によって選択の基準が異なる。重量調整用になるS0コアが一番影が薄くなるのも面白いが、ミサイル迎撃機能が必要のない戦術の場合はAP重視のD0・重コアで防御スクリーンを別のオプションに回してもいい。武器腕は接地中や上空に向けて射撃できなくなるステージもあるが、基本的に地上での射撃戦はハイリスクなため地上戦特化にする場合を除いてあまり気にする必要はない。
四脚の肩キャノンについて、接地中でしか射撃できない四脚はやや扱いやすさに劣る欠点があるが動きながら射撃できる利点と高い火力性能に手動で予測を補正できる特性をぜひ戦力に組み込みたい。そして肩キャノンは脚部ジャンプを射撃と引き換えに短縮できるため弱点となる連射衝撃への対応用を兼ね搭載するメリットがあり、特にHG1から抜けるための手段にもなる。また特化系武器の多くは戦術性や火力的な対象が狭くなりがちのため選択肢としての説得力に欠けるが、肩キャノンによってそれをカバーする十分な戦術性と実用火力を確保し、ついでにもう一つの肩武器やブレードを加えて相互に連携ないしサポートできれば対象を限定されやすい特化武器に十分な存在意義を見出すことが出来る。例えば対軽量機用の特化型武器に重火力キャノンを、あるいは軽量キャノンをサポートに強力な特化型腕武装とを組み合わせ、かつ四脚の運動特性やブレード相性を生かせれば幅広い機体コンセプトに対して有効な戦術性を確保しやすい。肩キャノンは全般的に高火力かつ弾数豊富なので牽制として死過重にもなりにくい。なお四脚の肩キャノン戦術には水切りなど着地の瞬間と手動補正射撃が重要になり、空中ではロックサイトが表示されないのでサイト幅はできるだけ大きい方が使いやすい。SP型キャノンは他武装との相性がいいのでFCSの選択肢は広く、ND型キャノンをダメージソースとして考える場合はできればQX−9009が欲しい。しかしNDサイトは相性のいい武器腕は多いがミサイルはともかく右腕武器にはつらく、次ぐFCSは21だが近距離戦専用、続いて18Xはミサイル連携や地上戦にはいいが縦に狭い、AFかQUADは右手武装優先の性能でいずれも一長一短の落差が大きく一番悩む所かも。そして重要な旋回性能も機体が重くなると必然的に低下するので手動補正射撃には旋回と同方向の平行運動を組み合わせるか引きながら旋回と連射を組み合わせると効率がいい。ついでに肩キャノンではないが機雷は軽量で四脚の特性と相性がいいので引く戦術や地形戦などでも使いやすく、肩キャノンとも組み合わせやすい。
肩キャノンの戦術的には、着弾が後退するタイプの2次ロック射撃ではサテライト運動を攻撃するのは難しいので手動補正射撃ができる肩キャノンは相手側が衝撃武器でなければ接地してでも使う価値があり、結果として接近・離脱運動を引き出しやすく腕武装と相互に長所と弱点を補完するので駆け引き要素にもなる。そして手動補正射撃は水平二次元的な運動ほど相性がいいので地上付近をメインにする重量級や運動性能の低いタンクに対してより効果的で、特に地上走行で予測射撃を回避できる条件では落ち着いて攻撃できるのでより使いやすく、なかには状況次第で回避を捨てて手動補正に専念しても打ち勝てるだけの火力を持つものもある。対空攻撃は視界の影響でやや難しいが、空中では全ての機体が慣性の制約をうけるので瞬間加速による回避ができず、かつ落下加速度に束縛されるで狭角化射撃の必要性が低い肩キャノンはむしろ命中させやすい。ただし地上制約と手動補正射撃の操作性のため命中率を高めるためには相応に被弾リスクが高まる。
そして四脚ホバージャンプは高度を操作しやすく任意のタイミングで着地をコントロールできるので四脚の肩キャノン制約を逆に利用して射撃する方法もある。肩キャノンは射撃方向が常に銃口の向きと一致し、非エイミング中は機体正面に銃口が向いており、接地の瞬間に待機位置からエイミングを開始する。つまりあらかじめ射撃したい方向に機体の向きを調整しながら着地し、エイミング範囲内ならFCSサポートを受けながら任意の方向へ射撃できる。特にグレネードキャノンは1次ロックで相対距離を取得するため時限信管による広大な爆風でかなりあいまいな射撃角度でも命中力が高く、かつ近接信管(エンカウント範囲)も併せ持つため操作技術を存分に生かしたかなり自由度の高い予測射撃ができる。またリロードと単発威力に優れるキャノンでは目標の移動前方からエイミングを開始するようにコントロールして連射すれば短時間の接地でも何発かを命中圏に置いてくるような戦術が可能で、このタイプは軽量でも弾数と総火力に優れるものが多いので牽制やサポートを含めて使いやすい。戦術的には回避運動と強力な射撃を両立しうる利点があり、単純な手動補正射撃に比べ機体旋回性能への依存度が小さいため重量級四脚でも扱える。四脚は脚部特性や運動性能を生かして射撃技術を複合的に活用しながら戦術を組み立てることができれば肩キャノンの性能を最も引出しうるカテゴリといえる。
○四脚の空中ブレード適性
四脚は地上走行中でもホバージャンプで迅速に空中ブレードを発動できる。そしてブレホは双方の機体実全高の50%を基準に追跡運動するので、それが二脚系よりもかなり低い四脚は対地目標であってもブレホで上昇加速する余地がある。さらに落下斬りでも攻撃判定が二脚判定高に達する時点で足下に“150”の空間的余裕(四脚判定高75、二脚被弾全高225の差)があるためタイミングが取りやすく、逆に二脚系の落下斬りで四脚の地上目標を狙う場合には僅かに“25”(二脚判定高112、四脚被弾全高137の差)の余裕しかない。加えて二脚に比べて落下限界速度が小さく水平限界速度が大きい特性により落下斬りでもタイミングが取りやすくかつブレホによる追跡速度とその有効な間合いが大きくなる特性がある。これにより四脚はブレード戦術において非常に高い相性を持ち、特に地上付近でその優越点を最大に発揮する。ただし脚部重量が比較的重いため旋回性能や上昇性能を確保するのが難しく、二脚の軽量級と比べると性能の四倍で効く旋回・上昇追跡が大きな差になることや、ブレードの判定形状の相性など一方的に優れるわけでもない。また四脚とタンクはブレード動作中に接地すると落下速度に関わらず“8f”の特殊接地硬直が発生する大きな欠点もあり、斬撃に成功しても正面の至近距離で硬直を起こせば反撃は必至に近い。
四脚のブレホ特性は限界速度が高いことで有効な間合いが広く、判定形状は機体正面から左側にかけて密集しており、前撃が両方とも機体ほぼ正面に配置され左側の後撃もフォローとして十分。そしてホバー斬りの場合は前・後撃2fにわたるヒットが比較的容易なため広い範囲で高い確率で2ヒットが発生し、落下斬りでも正面の前撃だけでも容易に2ヒットが発生する。そして空中戦も含めて機動戦で条件がいいと3ヒット以上が発生することもある。一方で大きい機体実サイズの影響で離脱挙動を発生させやすく、この離脱挙動と高い限界速度によってブレホ発動有効距離は二脚系に比べて遠くピーキーになり、判定は密集型でリーチも短めなので軽・中量二脚に空中戦を挑む場合は高い限界速度と低い全高を生かして太刀回る必要がある。特に四脚・タンクを相手にする場合は双方の身長の低さと大きい機体実半径で斬りにくいうえ成功しても目の前で特殊接地硬直を起こしやすく、もし失敗して起こすとカウンターブレードがほぼ確定してしまう。このため四脚・タンクの地上目標へはブレード入力からブレホ発動までの間もブーストを継続すると落下速度を抑えて斬撃を成功させやすいが、正面からの斬撃はリスクが高すぎる。
一応参考までに、3重ヒット以上の条件として比較的確率の高いものは自機から見て目標が左前方に肉薄した状態で右前方へ並走する状況、つまりY字合流や近接距離で右方向へ並走中や左方向からの出合い頭などが最も発生させやすい。原理的には他のカテゴリにも共通するがブレホは予測追跡によって速度調整するため後退する目標にはブレホ速度を維持しながら踏み込みやすく、かつ目標の移動方向と前撃による衝撃加速方向が近いと限界速度を越えた分が実質的に吸収無効化されるので後撃がヒットしやすくなる。敵の運動状態にも依存するので自力で狙うのは容易ではないが、四脚はホバージャンプからの斬撃が可能なため地上や低空移動中のターゲットを近い条件で狙うチャンスがあり、後退する目標に迫れる高い限界速度というメリットもあるので知っておいて損はない。また四脚ブレホは機体実サイズで離脱してしまいやすいため、偶発的な多重ヒットの多くはブレホ有効角度外で発動した結果として発生する。ブレホ有効範囲は機体中心を頂点とする四角錐形状をしているので敵機体の一部が機体正面近くにあっても機体中心自体がその四角錐の範囲から逸脱しているとブレホが発動しない。このため機体左前方に肉薄した状態から攻撃発生まで位置関係をキープできれば必然的に多重ヒットの発生条件になる。他にもカウンター気味に前撃を当てて速度を殺して後撃を当てることも原理的には可能だと思われるが、目標の速度ベクトルや位置関係などで加速度の与える方向も不確定になりやすく相対速度もかなり速くなるのでこちらも偶発的な産物で狙ってできるものではない。
ブレホキャンセルについて、四脚は機体実サイズが大きくブレホが有効な場合には3ヒット可能なほど深く踏み込むのが困難だが、ブレホを無効化して正面左よりに深く入射するように踏み込むめば停止・低運動目標に3ヒットを狙うこともでき、ターゲットの運動状態によってはごく稀に4重ヒットも発生しうる。そして多重ヒット狙いでなくても対四脚・タンク戦で特に接地解除しやすい地上目標への斬撃にはブレホキャンセルしたほうが命中しやすい場合もあり、キャンセルしてブーストをかければ特殊接地硬直を起こすリスクも低減できる。四脚は機体正面から左側への密集配置なので狙う場合は左正面深くに突っ込むか左脇を払い抜ける方法が有効で、ブレホの初速を利用する場合は絶対軸に影響を受けやすいので左右にやや角度をつけた状態から発動したほうが失敗が少ない。また地上走行からのホバージャンプや低空飛行でそのまま斬撃ポイントへアプローチできるなら発動前にキャンセルしてそのまま払い抜ける方法が絶対軸にも左右されず安定しリスクも小さい。ただし四脚は正面より右側には判定を持たないので必ず左前方をかすめるか入射できるように、またサイトギャップやエイミングによるシフトがあるのでロックサイトは斬撃位置の目安としては適さない。
なおそう簡単にビシバシ3ヒット以上が発生するようなものではないので誤解の無きよう、一撃でAPを8000近く削ぎ落とす光景はかなり衝撃的だが対二脚系へは斬撃後もブレホで浮遊しながら連続して斬撃できるパターン(連続へにょ)があるので地上では明らかにそちらのほうが強力かつ実用的だろう。
選択肢としてはMOONLIGHTは対二脚では安定して2ヒットできるので持っているだけで近づき難いプレッシャーを漂わせ、やや重いが四脚はE管理が大変なので消費が低い方が使いやすく積載量が許せばブレード避けやブレホ用にもぜひ装備しておきたい。衝撃が低い他の通常ブレードは硬直が短くなるので対地目標に斬撃を成功させても特殊接地硬直で反撃が回避不可能になりかねないので攻撃用には向かない。また連携の追撃用に1000Wも強力で、特に有効距離で撃墜硬直が狙える武器があるとMOONLIGHTを凌ぐ選択肢になりうる。これは空中で六千以上の高威力E系射撃を際限なく行使できるうえに、地上からミサイルや射撃武器を発射した後でも素早く空中光波を発動できる四脚では中距離戦や引き撃ち戦術の中〜重量級でも撃墜や硬直への追撃を十分命中させられる。ただしブレード光波は角度射撃に相当するうえ弾速がかなり遅いので離れすぎると命中しにくくなり、近いと爆風で自爆しやすい。ついでに四脚の地上ブレードはほぼサポート用で、攻撃用には1000Wを除いて実用的とはいいがたい。地上ブレードについてはほとんど調査していないが空中とは異り各脚部ともそれぞれの動作に近い判定を持っているようで(おそらく空中はブレホ基準を双方の機体中心にしているため判定位置をわざと機体高50%の機体中心位置に固定している)、四脚は前進しながら突くので近接側面から前方にかけて複数の判定が数fにわたって発生する。理想的に命中すれば最大10ヒットするので空中ブレードに匹敵するほどのダメージになるが、前方に判定が発生するのが遅いうえ機体の真正面に判定が無いなど命中させること自体が難しい。そもそもホバー斬りの方が迅速かつブレホ性能も威力も圧倒的に強力なため、地上で通常ブレードを攻撃のために発動する価値はあまりない。
以上のように四脚は優秀な脚部特性がありそれを生かせるブレードマップが与えられている。特に地上では瞬間的なチャンスにも斬撃可能で、操作コストが圧倒的に低いことでブレード連携との相性もいいなどのアドバンテージは大きい。地上付近で衝撃武器ももたずに四脚に対して斬り合いを挑むことは無謀といっていいだろう。
○機動戦力にみる四脚の評価
さて、運動性能にみる四脚の評価としては、高い限界性能と使いこなすのが難しいパーツパラメータ、そして特徴的な機体挙動のため全脚部中最も明確なコンセプトの特化型アセンを要求される脚部といえる。特に地上硬直仕様や限界速度あるいは被弾全高など認識しているかどうかだけもかなり状況が変わってくる特殊な性質を満載する。しかし、ブレード戦術、運動性能を駆使した狭角化狙撃、肩キャノンの手動補正、武器腕からミサイル戦術までと様々なパーツの持つ能力をあますことなく引きだすことができる魅力的な脚部なのだ。
タンクの限界性能は四脚と同じ設定になっているが、固定されてしまう低出力ブースターと極端に重いパーツのため事実上その性能を引きだすことは不可能になる。したがってタンクに注目すべき運動性能は残念ながらほとんど無いのが現実だ。まあ四脚ばりの機動力で飛び回るタンクなんて考えただけでも恐ろしいが。
そんなわけでタンクを選択肢として考える場合、主導権を握られ被弾し続けるシチュエーションであっても常に冷静に状況を分析して戦術を展開するための精神的耐久性が求められ、かつ駆け引きのなかで相手にこそ精神的なプレッシャーをかけることがタンク戦術の基本になる。具体的には、タンクには高いAPと防御力が備わっているためタンクを圧倒するためには大抵の武器で高い命中率が必要になるが、適度に攻撃を回避することで相手の継戦能力を圧迫し戦術の転換を余儀なくさせることで有利な状況に引き込みたい。もちろん全ての攻撃に回避を試みる必要はなく、相手のアセンに応じた戦術を臨機応変に選ぶ必要がある。そのためにまず最低限全武器の総弾数・火力などを把握しておきその武装アセンの中でそれぞれ何割を回避できれば敵戦術を圧迫できるか、何割まで耐久できるかは即座に分析できるようにしておきたい。なぜなら、行き当たりで回避を試みるよりも予想される割合に従って回避すべき攻撃に照準を合せて回避したほうがより高い確率で目的を遂行できるからだ。また敵が遠距離から散発的に狙撃してくるような場合には回避に専念するのも一つの戦術だが、やはり常に敵のAPを削りとる手段を用意しておきたい。継戦能力と双方のAP・耐久力を天秤にかけ、要所でこちらに傾かせるにはやはり攻撃なくしては成り立たない。
このような観点からタンクのアセンに求められるものは高い耐久力を当然のこととして、常にプレッシャーをかけられる攻撃力あるいは命中力と継戦能力、そして意外な回避力だろう。技術的には各パーツや運動特性、地理や仕様に至るまでの深い知識、そしてタンクで実現可能な回避手段の研究と習熟など、要求されるものは多くそしてその水準は高い。
○タンクの運動性能と特殊性
さて、そんななかでタンクの利点としてあげられる特徴は、機体挙動と補助的運動性能だ。機体挙動としては四脚と同じホバー上昇、低い落下限界速度、さらに全高により被弾判定が小さい点も忘れてはならない。補助的な性能として比較的低いエネルギー消費と高い安定性。そして唯一タンクだけがもつ特権として、着地硬直を起こさない点と、空中で肩キャノンを発射できるメリットは是非とも戦術に生かしたい。
ブースト性能による回避について、着地や地上ブレードほどの効果は発揮できないがタンクの運動性能でも予測射撃を回避できるかどうかの条件を大まかに把握しておくといい。まず予測射撃武器には予測ギャップの1fと弾の移動遅延1fの有無により、ごく単純化すると武器は条件によって0〜2f分移動後方へそれる性質がある(HG770は分裂時にさらに1f)。これに手動補正による角度射撃やミサイルなどを加味して状況に応じて効果的な回避動作を選択し、回避運動そのものがまったく意味をなさない条件では無駄な運動を抑えてポジショニングや攻撃に注力すべきで、臨機応変かつ的確に動作を切り替えることでタンクでも回避が大きな戦術要素として生きてくる。まずタンクの運動性能は地上は脚部依存、空中では重量依存になるが水平最大速度はおよそ二〜三千前後に推移し、それに対し2f分の後退を伴うタイプの予測射撃の命中境界はおよそ速度2400前後になる。操作や弾道のブレなど若干の余裕をみて二千台後半の空中最大速度を獲得すればサテライトなど単純な広角運動でも十分な被弾率の低減を実現できる。ただし絶対的な運動性能に劣るため広角運動の維持も容易ではなく、これは2f以上後退するタイプ(1P側の通常予測射撃武器の二次ロック射撃)に限定したものなのでこの性質を拠り所に特化アセンを組むにはかなり軽装甲にならざるを得ずリスクが高い。ホバータンクの場合は運動性能帯が被るのでむしろこれを狙えるアセンに活路を見出したい。
切り返し回避について、タンクは確実に余剰慣性を発生させないので減速のレスポンスはよく、武器特性に応じた回避が有効な距離さえ確保していれば十分に切り返し回避が可能になる。有効な条件は射撃から着弾までに機体の被弾範囲を着弾地点から脱出させること。そして武器種によって正確な予測位置に着弾するものから1〜2f分の移動距離だけ後退するものがある。参考までに例えばホバタンを運動性能Lv26〜27程度、無限軌道タンクを運動性能Lv18〜20程度と仮定して、一定運動を維持した場合に対して加速や減速で機体半径75の距離を変化させるのに必要な時間はホバタンが5〜6f、無限軌道が6〜7f、機体直径150ではホバタンが8〜9f、無限軌道が9〜10f程度になる。射撃後の操作で回避はまず不可能なので射撃時に減速を開始していることを目安に考えると、これは完璧な予測射撃を行う武器種に対しては弾速×5〜7程度の距離があれば回避が可能ということになり、逆に弾速×4程度まで距離では空中での切り返し運動による回避は意味をなさなくなる。そしてこの例で2f後退するタイプはタンクの空中速度(実速度35〜45程度)で広角運動中はおよそ機体半径前後の距離だけ後退することになり、機体半径を越えれば振り切れるが無理な場合は切り返しを要する。しかし切り返しでは後退した機体半径前後の余計な距離を移動しないと回避できないことになるので、さらに2〜3f分の飛距離だけ遠ざからないと回避できなくなってしまう。もちろん射撃タイミングに切り返し後の低速域を合わせれば後退距離を小さくできるが瞬発力が低すぎて狙って合わせるのは難しく、むしろ不利な瞬間を狙撃されかねない。
そもそもタンクの運動性能で機動戦中に広角状態を維持する余裕も回避に注力しての射撃戦もあまり現実的ではない。しかしおおよそ回避運動が有効な間合いと、ほとんど意味をなさない間合い、あるいは完全に回避に注力してもいい間合いを把握して回避と攻撃の比重を切り替えることが効率のいい戦術展開の要になり、特に十分な距離で回避できるか否かはタンクの戦術有効距離に大きく影響する。
特殊挙動を利用したタンクの回避手段としては、落下加速度、着地減速、ブレード踏み込み、ブレードホーミング加速、キャノン発射反動などがある。まず基本は運動性能に依存しない落下加速度で、身長が低いタンクは垂直運動での回避効率がいい。予測射撃が後退するタイプの武器は落下するタンクの被弾半高を比較的容易に逸してしまうので狙撃するのは容易ではない。ただし垂直角度が深くなると予測射撃がおおまかになる(弾速分配誤差が大きくなる?)傾向があり運が絡みやすくなる。また垂直運動は高度差が大きくなると必然的に狭角状態になりタンクは水平運動で回避しづらいので回避効率を重視する場合は高度を上げるよりも相対位置が水平に近い方がいい。そしてタンクは着地硬直を起こさないので落下速度を軽減する必要もなく、低空からでも着地による瞬間減速がタンクで実現しうる最大の加速度になり、射撃武器もミサイルも未来位置を予測する仕様なので地面に散らせて消滅させられる。着地硬直を起こさない点はタンクの大きなメリットだが、着地後に狙撃を回避できるだけの運動性能をがないため着地の瞬間が無防備になる点はタンクであってもあまり変わりない。そして落下限界速度が小さいものの運動性能も低いので水平方向へポジショニングする余裕も少ない。したがって離着陸を繰り返すような戦術でも地形の利用は必須条件で地上付近に背の低い遮蔽物や上空に足場があるような場所などを活用したい。そして平地で戦闘を余儀なくされた場合は常に応戦できるように準備しておくか、回避を選択する場合には敵の射線に対して角度をつけて着地して即地上ブレードかグレネードブースターを使うなどの工夫が必要になる。
またブレードモーション中と被弾硬直中の着地で“8f”の特殊接地硬直を起こす仕様はタンクにもあるので若干注意が必要になる。
中でも地上ブレードの踏み込みは運動性能に左右されず比較的高い加減速ができる。地上ブレード動作の加減速は二脚系と異り方向操作で移動距離は変化せず、通常歩行の干渉がないので後退中でも同レスポンスで連続発動できる。特にこの加減速はタンクにとっては任意にかつ瞬間的に発動可能な最も大きな加減速になるので射線やミサイル軌道に角度をつけての回避や上空を取られた場合など予測射撃を散らすのに大いに活用できるので障害物とも効果的に組み合わせて活用したい。ミサイルを引きつける際などではやや地上速度の速い脚部であれば後退しながら地上ブレードを発動することでより時間加速を高めて回避できる。ただし着弾が後退するタイプの武器を回避する場合はその限りではない。
ブレードホーミングは空中では垂直方向以外の加速度を無視するため近距離戦での旋回による追跡や回避にも便利。空中ブレホの旋回性能は機体性能の4倍で15f間(空中水平最大速度2688以下では16f)、地上ブレホ機体性能の1倍で13f(短縮しない場合は最大26f)間の旋回追跡を行う。また継戦能力の駆け引き上、相手にブレードによる攻撃を余儀なくさせることもタンクの戦略要素になるので攻撃力にも長けたものを選ぶ方がいいだろう。
タンクの飛行能力について、戦術次第で飛行・滞空能力も重要になるがタンクのブースターは全て出力9800、消費は2680で統一されている。このため滞空性能を重視する場合はTLジェネレータを選ぶか低消費化あるいは軽量化程度しかアセンの方向性を選べないのであとは技術的にカバーするしかない。まず上昇は脚部ジャンプが無いのでゼロ速度からが基本になるが、加速度と最大速度の比は一定なので運動性能に関わらず上昇ブースト最大速度まで80f(約3秒半)で達する。タンクの性能では上昇限界速度の達成はほぼ不可能で、上昇ブースト最大速度に達してしまうとそれ以上は一切加速しなくなるがタンクの性能では最大速度付近でブースト制御しながら上昇し続けるのは難しく減速しすぎてしまうと上昇効率が悪化する。一方落下ではゼロ速度から約28f(約1.3秒)で限界速度に達するが低いブースト性能のため余剰慣性を解消するのは難しく着地硬直もないので落下中にあえてブーストする意味はほとんどない。このため上昇を目的としている場合は目標高度付近までブーストオンのままが無難、滞空する場合は落下より上昇状態で制御した方が効率よく、下降を始めたらそのまま落下した方が回避にもE管理にも都合がいい。いずれにしろ有効重量が増えるほど上昇性能も回避能力も低下するのでタンクといえど運動性能は無視できない。
キャノン発射反動や爆風利用は弾の消費や自爆ダメージなどデメリットも多いためしっかりマネージメントして攻撃や戦術展開と一体になるよう慎重に扱う必要がある。発射反動が利用できるのは肩グレネード2種、爆風反動は同グレネード、WRR−10などだろうか。ロケットと肩キャノンは旋回限界があるのであまり下を向いても意味は無く、肩キャノンの発射反動は射撃安定性の向上で低下するので安定性や有効重量は低い方が都合がいい。またキャノン発射反動は接地中は垂直方向の加速度を無視するため、グレネードブースターを狙う場合は空中にいる必要があり射撃角度によっても変化する。そして上昇最大速度を超える加速度は実質無効化してしまうので発射反動や衝撃加速度など特殊な上昇加速度を利用する場合は上昇最大速度は高い方が生かしやすい。爆風による衝撃加速は地上にいても垂直方向に働き安定性には関係なくグレ2種と機雷クラスでは無限軌道タンクでも最大速度に容易に達するが、そこから硬直時間分の落下加速度が加わり硬直中に着地すると特殊接地硬直を発生させる。相手も爆風衝撃に巻き込むならWG−PB26が下を向くことなく肩武器から切り替えてのグレネードバリアも可能で無限軌道なら硬直時間も1になる、爆風の衝撃加速度は千数百程度。また敵弾の被弾反動も利用できるので、ミサイルなどは上昇中に被弾するようにコントロールして高度を稼ぐことができる。
そしてタンクはステージ相性が大きく特化もしやすいが、丘にあがった亀にならないように地形の利用は基本というよりも生命線だろう。常に敵機との位置関係を駆け引きできる運動性能がないので開幕と同時に自機に有利な地形へ移動して待ちつつこちらの有効距離に引き込むなどの工夫も必要にある。例えば、旋回性能が低いため後ろに回り込まれないように障害物やエリアラインを背負うことや、ブレード踏み込みや落下などのワンアクションで遮蔽物を利用できるポジショニングなどを考えて戦術をたてたい。空中の背後を取られにくい足場なども利用しやすい。また相手がサテライトで回り込もうとするなら後退しながら同方向へ移動する方法がある。双方逆向きの旋回戦となると円半径が縮小し確実に性能差に押し負けるが、双方平行移動になるような条件では移動速度差分が円運動になるので必然的にサテライト半径が拡大し旋回性能差を低減しやすい。そしてタンクは同運動での射撃戦に対応可能な選択肢が広く、ついでにそうして膨張させたサテライト運動と自機のサイティング限界をフォローできるような遮蔽物が左右や上方にあればなおベターだ。そして押す戦術であってもそれぞれのステージに臨機応変に対応する必要もあり自ら選んだ地形に見合った武装アセンをしておくのも前提条件といっていいだろう。戦いは始まる前に勝負の根幹は決しているといってもいい、タンクの辞書に行き当たりばったりという文字はないのだ。
○タンクの安定性
無限軌道タイプについては最も脚部安定性に優れるカテゴリで、3種ともオプション無しでTLジェネレータを搭載しても限界まで被弾安定性を高めることができる。硬直時間も重要になるので低いと困るが、基本的には被弾安定オプションを選ぶ必要はないので無駄にオプションスロットを消費しないように注意したい。また四脚の項で解説した仕様上の弱点はタンクにも多少当てはまるが、基本となる安定性能が高くかつ通常移動が遅いため慣性による運動の制約やエリアオーバーなどのリスクは圧倒的に小さく、衝撃12程度までの硬直時間がほぼ1になるため特殊接地硬直も問題ない。そして衝撃武器は主に実弾系なので無理やりエネルギー耐久性に重点配分していないかぎりダメージもあまり問題ないが、後ろを取られると反撃不能なまま斬撃される危険があるのでポジショニングには注意を払いたい。連射衝撃は斬撃さえ成功させなければあまり問題ないので攻撃範囲に捉えて乱打戦に持ち込めるような準備をしておいたほうがいい。
一方ホバータイプでは無効化できる衝撃はHTP−AAAが“2”、HTP−H5が“3”という貧弱さで、実弾防御にも特化できないので対軽量級特化戦術のターゲットにすらなりうる。通常移動が遅いとはいえ硬直時間が長くなるのでエリアオーバーの危険も高く、加えて脚部ジャンプがないため脱出にはホバージャンプしかないが被弾硬直中の特殊接地硬直がもはやイカンともしがたくほとんどの衝撃武器で固められたまま削り倒されかねない。このため安定性オプションを装備する余裕があればば優先してもいいが、重量的には安定性よりも運動性能の方が重要なので僅かな積み増しで境界にかからないかぎり運動性能を優先した方がいい。グレネードキャノンがあれば打開しやすいが、ない場合に連射衝撃に捕縛されると空中への脱出はほぼ不可能になり押されるまま後退せざるを得ず、特殊接地硬直を起こすと旋回すらできなくなるのでブーストは諦めて射撃で応戦する以外にない。
このように両極端な特性の脚部がカテゴリ内に混在する。
○タンクのアセン考
タンクでは武装アセンがそれぞれ相互に戦術的な価値を高めるあるいは補完するような関係を重視する必要がある。単に強力なものを選んで火力を積み増すあるいは短・中・遠距離それぞれに対応するような武装アセンでは、主導権を取りにくいタンクにとって相手の得意とする有効距離距離に張り付かれると戦術が限られてしまい駆け引きが難しくなる。一方で武装の選択肢が広いタンクは強力かつ戦術有効範囲が広いものを選びやすいのでそれらをサポートに高い耐久力を生かして相手側に追わせつつ有利な地形を利用しながらダメージレースに上回りつづけることを目指したい。つまり戦術距離はAPと装甲を盾に戦略的な回避と地形戦を駆使してコントロールし、それで展開可能な距離を重視した戦術対応力を磨くほうが戦いやすい。また継戦能力が重要とはいえ対重量級・タンク戦で同等に戦える火力と戦術を確保できるなら、さらに高火力を積み増すよりは高機動機を捉えられる特化ないしサポート戦術の確保を優先したほうがいいだろう。
まず腕部に1A46J(ドラム缶腕)を選択するか否かでコンセプトがかなり変わる。1A46Jは一部の武器以外は装備不能という制約の代償として数万の実弾耐久力のアドバンテージを獲得し、かつ実弾ダメージ係数がかなり小さくなるため頭部やコアによる僅かな防御・AP差で耐久性能の差がかなり大きくなり、E耐久力への影響も大きい。しかし肩武装の選択肢が両肩武器(S800−GFを除く)に限られるので戦術的なバリエーションや継戦能力の低下を余儀なくされるが、高い耐久力をダメージレースの駆け引きの材料にして実弾系に対してはかなり優位に展開できる。しかしE系耐久力には大したアドバンテージが無く肩キャノンが搭載できないので攻撃に専念してE系武器に競り勝てないとかなり苦しくなる。また肩の選択肢が制約されることで肩キャノンが積めなくなるが、耐久力では重量二脚と差が無いクラスなのでメリットが着地硬直無効程度になってしまうためタンクの特徴を生かしにくい。なお武器腕はその低装甲とタンクの低運動性能が相互に長所を打ち消しあってしまうので特性を生かすのはかなり難しい。
装甲について、可能な範囲で追求したいが実弾系E系防御はどちらを優先的に配分するかも悩むところだ。タンクは如何に被害を軽減しつつ最大の攻撃を実現できるかが勝負になる場合が多いのでAPを含めて総合的に防御力を高めたいが、やはりベースが実弾防御に優れるのでその優位性と回避能力も含めて実弾系武器だけではやすやすとは削り倒されない状況を確立できるようにしたい。なにより被弾しながら攻撃するシーンが支配的になるので実弾防御を追及すれば実弾系武器相手にはかなり優位になり、E系にはいかに特化したところで耐久しきれないので装甲を盾にした戦術展開は難しい。そして脚部とコアは選択肢としてのコンセプトがはっきりしているので、悩むのは恐らく頭部パーツと腕分パーツの兼ね合いによる防御バランスということになるだろう。なお耐久性に秀でるコアはいずれもミサイル迎撃機能不全で、D0コアはE耐久力と軽量さに若干優れるが、重コアは省エネでオプションスロット数に余裕があるのでミサイルジャマーの余裕やもし実弾ダメージ係数が変化するなら優先していい性能をもつ。なお重量二脚の項でも解説したがダメージ係数は小さくなるほど“1”の差による耐久差が飛躍的に大きくなりAPの重要性も高まる。このため同程度のアセンコストならやや劣るEダメージ係数を“1”修正するよりも、高い実弾ダメージ係数を“1”修正するほうが耐久力への影響が大きい。タンクの場合は頭部パーツやバランス互換にみえる腕部でも軽量級AC1機分ほどの耐久力差になる場合があるのでしっかり吟味した方がいいだろう。
そしてエネルギー兵器全般に対しては被弾率を低減できなければほとんどの武器に削り倒されてしまうので、回避や弾が散る有効距離を確保するかブレードや落下などの特殊動作を活用する必要があり、状況に最前の戦術や操作を瞬時に見極める判断力も要求される。追いつけないのに無駄に旋回や追跡に労力をさくことも、回避できないのに回避を試みて装甲やエネルギーを浪費することも状況を悪化させるだけなので、相性の悪いエネルギー系兵器を相手にした時には常に先手を取るつもりで動かなくてはならない。ただし相性が悪いとはいえ高い耐久性を駆使してある程度の回避を実現させることだけで相手にプレッシャーを与えることができる点では変わりはない。
武器について、対軽・高機動機への対応に右手武器をメインにする場合、タンクは旋回性能が低く有効距離の主導権を相手が握ることになるのでできるだけサイトサイズが広いものを、そしてできれば衝撃によるサポートが可能であればベターだろう。ハンドガンはだいぶ近距離戦用に偏るので地形戦やブレードのサポートになれば心強いが逃げられると詰む可能性があるのでダメージレースに上回り続けられる強力かつ戦術性の高い肩武器との組み合わせが欲しい。マシンガン系は堅実な削り用なので総火力に余裕があれば使いやすいが、対重量級へのダメージソースもしくはブレードサポートになる肩武器を。狙撃系の重火力武器は条件次第で使い勝手が激変する可能性がありやや選択しづらく、実用性は対戦ルール次第になりやすい。肩武器を撃ち切ったあとであれば腕武装でも手動補正射撃ができるが旋回性能も水平速度も低いので補正角度が小さく遠距離か引く必要があり、その時点でAPで十分な優位に立っていなくては戦術的に難しい。この場合は弾速の速いE系ライフルなどが比較的使いやすく、RF/Eであればタンクでも十分狙撃できる。タンクではいずれも一長一短の性格が特に強く出るのでそれらを的確に把握して効果的に活用できるようにしたい。
ミサイルについては、近接適性を求めると必然的に連携用ミサイルにならざるを得ないが肩キャノンや腕武装と連携できるならその価値は十分にある。一方攻撃的なミサイルは機体運動でコントロールしにくいため相手のスキル次第になってしまいやすく、有効距離をキープするのも難しい。もし二種装備するなら連携適性の高いものを起点に攻撃・命中性能の高いものを中継に腕武装との連携ができるなら戦術バリエーションが多くなるが、やはり機動力で相性差を覆しにくいためタンクには扱いにくいと思われる。
ブレードはMOONLIGHTがE消費が少なく回避にも最も使いやすく、斬撃や接近戦に対する反撃・抑止力としても優れる。後述するがタンクのブレードマップはかなり特異的な形状でホバージャンプ特性も含めて通常ブレードの実用威力が非常に高く、タンクはAPと相手側の継戦能力との駆け引きから強力なカウンター攻撃力を持っているだけで戦術の一端になる。逆に持っていないとミサイル等の回避が困難なだけでなく斬撃のハードルが一気に下がってしまうので意図的に除外するコンセプトを除いて装備しておいた方がいい。あるいは積極的な攻撃や連携の観点からは1000Wも候補になるが1000程度の距離範囲で撃墜や連続衝撃での足止めの必要があるのでサポート武器次第だろう。ブレードの想定対象を限定してでも戦術に組み込めると武装の選択肢の幅がだいぶ違う。
肩キャノンについて、タンク最大の特徴は肩キャノンの空中発射といってもいいので肩武器にはやはりグレネードキャノン(GN230、IR24)が筆頭候補だろう。タンクは運動性能が低いので手動補正射撃の効果はあまり期待ではないが、その旋回・水平速度でどの程度弾道が補正されるかは把握しておく必要がある。近距離では難しいが中〜遠距離などでは十分狙うことができ、かつ空中発射や被弾しながらでも手動補正に専念できる点では四脚よりも優れる。またグレネードキャノンはエイミング範囲に捉えた瞬間に自動爆破が有効になるので至近距離では移動前方であればかなりおおまかな射撃でも爆風圏内に巻き込みやすい。また時限信管は1次ロックでも有効で近接信管(判定範囲)も実装するため、キャノン展開完了の瞬間や視点リセットなどを利用してエイミングに制約されない変則的な射撃&自動爆破もでき、無理やり命中させる意味でも全武器の中で最も使いやすい。
IR24は発射E消費があるのでTLジェネでは若干使いづらいがダメージソースとしては全般に有効で対重量級・タンク戦も十分な火力性能なので特化武器など軽量級対応武器と組み合わせやすく、逆にGN230は爆破精度が高くエネルギー管理の制約がなくグレネードバリアもやりやすいのでより対軽・中量級に有効なやや近距離寄りの機動戦向きなので対重量級・タンク戦用の武器や総火力で全般を堅実に削り倒せる組み合わせと相性がいい。なにより肩キャノンを空中で発射できるのはタンクのみの特権でありグレネードキャノンは傾きかけた天秤をひっくり返すだけの性能を持っているので、その仕様を深く理解して至近距離であっても狙って射撃できるように練習を重ねる価値がある。難点は肩キャノンの旋回限界で特に下方向のキャノン稼働範囲が約40度(上は約60度でそれほど死角は大きくない)とサイト旋回範囲に比べてかなり狭く、上空にあがってしまうと射撃範囲が限定的になるためロックに惑わされないように射撃可能範囲を感覚的に把握しておく必要がある。また目標が急激に接近・離脱している状態では自動爆破には巻き込みにくいので地形に当てて巻き込むか直撃を狙うかサポートあるいはその運動を利用できる武器を組み合わせるといい、例えば連携タイプのミサイルで横方向への回避運動に制約させてミサイルもろとも巻き込むか、グレネードキャノンのプレッシャーを切り返しや急接近で対応しようとする運動を腕武装で狙撃する、あるいは爆風衝撃で撃墜して着地硬直を高火力武器や光波ブレードで追撃するなど連携バリエーションも広い。なお自動爆破は必ず相対距離の背後側にセットされるため空対地攻撃では爆破精度は関係なく非ロックでも実用できるのでグレネードを嫌って下に潜り込ませるように誘導するのも一つの手段だろう。最大の悩みどころはFCSの選択だろうか。ついでにもしグレネードを両肩に搭載する場合は戦術要素の異なる実・E系2種を選んだ方がいいが展開動作がツライ。
他の肩キャノンではXC8000はE消費が大きすぎるのが最大の欠点だが高弾速で手動補正が強く効くので有効距離が広めで火力性能も非常に高い。SPGUNはTLジェネでは使えないが武器特性やサイト相性などから肩キャノンでは最も汎用性に優れ、瞬間火力も高いため近〜中距離での乱打戦や遠距離の牽制・削り用にも使える。実弾系ではLN350は対軽量級寄りのサポート武器なので使い方次第だが不確定要素の多いミサイルを除外している場合は選択肢になるかもしれない。
ジェネレータについて、優先度は非常に悩むところだが実弾系武器を軸にして十分な耐久力を得ている場合にはぜひともGBX−TLを選択したい。ただレッドゾーンとE武器の相性は悪いので、単発系高威力のIR24やRF/Eならばそれほど負荷は大きくないが、連射系や絶え間ない射撃が要求されるタイプのE武器などは攻撃にも運動にも大きな支障をきたしてしまうのでGBG−10000かGBX−XLの方がいい。ブレードを頻発する場合もレッドゾーンでの消費は無視できない。またジェネレータ回復はレッドゾーン(1/4)よりもチャージング時(1/2)の方が優れるのでTLジェネで地形を利用しながら使い切り・チャージングが想定される場合にはジェネレータオプションSP−CND−Kは装備しない方がいい。
さて、ここまでのハナシは主に無限軌道系タンクを前提としたものだが、選択の目安としてはまずMOS4545が最も使いやすい。この脚部パーツはタンクの中では特に優れており消費Eがやや高い欠点を除いて突出した耐久力にもかかわらず通常移動速度が意外に速く安定性も高いわりに重量が軽いので戦術にも生かしやすい。装甲を追及しても武装で比較的軽量に仕上げることができれば多少マシな上昇速度と切り返しによる回避性能を確保しやすくかつオプション無しで十分な安定性も達成できるのでアセンのバリエーションも広い。またかなり軽装コンセプトであれば空中水平速度で2f後退タイプの予測射撃の命中境界を上回ることもできるが、安定性が高すぎるのでホバタンのようなグレネードブースターを利用したアプローチは難しい。
MOS18は全体的にやや見劣りするものの省エネなので、TLジェネによる体力と最大級のE回復速度で空中浮遊タンクなどブースターを多用する戦術を目指す、またはXLジェネ&連射系エネルギー兵器等を軸に有利な地形を盾に空中を交える戦術、あるいは確実な戦力を見込めるもののMOS4545にはどうしても積載できない武装アセンなど戦術を特化してコンセプトを明確にできれば候補になるだろう。若干重いが運動性能レベルの境界は重量が増すにつれて間隔が広くなるのでこのクラスになるとブースト速度レベルには1前後と大差なく、最大の弱点はその重量と脚部パラメータの差によって旋回加速度がほぼ確実に1低下してしまうことだ。加速度はダメージ係数のように0に近づくほど飛躍的に影響が大きくなり、結果的に旋回最大速度に達するのに10f前後もかかってしまい、近距離では攻撃チャンスの確保がよりシビアになる。このためジェネレータ容量と回復速度を生かして地形・空中戦と中距離以上を前提とできる戦術を目指そう、汎用性はやや低下するがアセンや戦術によってはMOS4545に遜色ない選択肢になりうる。UKI60はMOS18の微調整版という位置づけで積載量の制約がやや厳しく弱体化しているようにも見えるが、上半身によってはほとんど実・E耐久力に差が無いかむしろE耐性に勝る事があり、かつ旋回加速度が改善するアセンなど限定的な条件ではあるものの高容量ジェネベースの上位互換的な存在になりうる。
ホバー系タンクについては事情が異る。まずパーツのベース性能と積載量から必然的にかなりの耐久力低下を余儀なくされ、実弾防御は実質中量級に僅かなアドバンテージを持つ程度になり、エネルギー系武器に耐久することもできない。さらにブースターパワーが全タンク共通なため軽いといっても耐久より回避に重きをおけるほどの運動性もない。これに追い打ちをかけるのが低い安定性により固めに弱く、ダメ押しとして四脚に匹敵するほどの消費Eの高さがなんとも苦しい。MAでホバタンまで防御力を下方修正したのはマイナーいヂめか?。新パーツもホバーなので何か特別な裏設定がっ、とも思ったが基本的にタンクカテゴリなのでパーツパラメータ以外の差はないようだ。
そんな中でホバタンが持ちうる特徴は2f後退するタイプの命中境界速度を空中で超えうることだが、逆に超えられないと切り返しでの回避がやたらと難しくなるのでホバタンに残された生命線でもある。このため空中水平最大速度を最低限2400に分配誤差とぺらい装甲などのマージンも考えた+αとしてせめて200、できればそれ以上の性能が欲しい。しかしサテライト回避ができるといっても武器種とその条件が限られ手動補正射撃では比較的近距離のタンクでも狙撃できる速度なので回避には垂直運動を組み合わせる必要がある。手動補正は垂直方向へはほとんど効かず、全高が低いので距離があれば精度が高い武器でも垂直運動の上・下死点付近以外はなんとかなる。そしてホバタンのもう一つの特徴は著しく低い安定性によりグレネードブースターの加速度を最大限に生かせる点にある。そして制約のない肩キャノン、ブレード判定、着地硬直無効の特性をなんとか生かして活路を見出したい。したがってまずはいかに軽量化するか、そして低消費化するかが目標になるだろう。ブースターは選べないので運動性能の向上には軽量化を、持久力には低消費化しか方法はなく、広角サテライトで回避できる条件は限定的なので戦術距離でなんとか回避できる程度の運動性能なくしては勝機を見出すのは難しい。そして特に空中を主体にせざるを得ない事情から滞空能力にも作戦高度にも、そしてグレネードブースターの利用にも上昇ブースト最大速度は高いほどよく、グレネードキャノンの射撃には旋回性能が高いほどいい。そんなわけで防御力に特化する意味はほとんどないのでできるだけ軽量なフレームに、そして戦術的にもタンクのアイデンティティーからも肩にグレネードキャノンは外せまい。脚部はHTP−AAAは重量も待機E消費もやや低く、銀ジェネで満載に近くても空中水平速度の二千台後半を達成する、HTP−H5はまるでタンクに見えないがAAAにギリギリ載らない場合かTLジェネの選択肢に。なおホバタンにとって2f後退タイプの境界を超えることは目標ではなく最低限の必要条件で、それを達成しタイトなロープには乗れても僅かな差で転げ落ちかねないシビアさが常につきまとうので必要性の低いものは極力外そう。
参考までにホバタンのアプローチとしては例えば遠距離対応武器で引くか、グレネードキャノンをサポートにブレードの特性を追求するのはどうだろう。後述するがタンクのブレードマップはかなり特異的な形状をしており、踏み込み速度さえ確保できればほぼ確実に2ヒット、そして3ヒットを偶発的ではなく狙って達成しうるといえる程度の確率をもつ唯一のカテゴリで、4ヒットが発生しようものなら接近を許した時点のAPで耐きれる機体はまずいまい。つまり月光の爪が届きさえすれば一撃で数千のAPを削りとるチャンスがある。そのためにはいかにそこまで踏み込むか、そして連続で斬れないかぎりおそらく2撃目のチャンスは無いのでそこに至る過程で十分なダメージを計上するか、あるいは前後の射撃戦でトドメを刺せる必要がある。キャノンはIR24一本でも大半の機体を撃破可能な火力があり近〜遠距離にも対応し接近してこない重量級やタンクは追わなくても当てるチャンスはある、あとは右手に出来るだけ足止め効果の高い軽量の衝撃武器をといったところか。どうしても詰め切れないなら1000Wでグレと連携する手もあるがホバタンである必然性が低い。
あるいはもし腕が生えてるなんてタンクじゃないとおっしゃるなら武器腕はどうだろうか、無限軌道ではほぼ勝負を捨てたようなものだがもともとぺらいホバタンなら低消費&軽量化のメリットが生かせるかもしれない。なによりコンセプトがイイ、連装機関砲に大口径砲搭載の車両型AC、まさに理想を絵に描いたような餅だ。ただ連装機関砲は削りには非常に優秀だがサポートと割り切ってもその有効射程でやわらかタンクが撃ち勝てるのかというとキビシイことこの上なく、メインのグレネードキャノンとのFCS相性もイマイチなのがとってもツライ。一方で連装ミサイルならナント二門載る、まあ運動性能的にも一門で火力がナントカなるならそのほうが圧倒的に戦いやすいが。H5ならTLジェネに実グレ二門で衛星砲を目指してもいいかも、デザインも飛んでることだし。参考までにざっと測定したところグレネードキャノン2種とも発射反動による加速度は安定性の低いホバタン2種ともほぼ上限(約9600程度)に達する。このためキャノン旋回限界(下約40度)まで下げると垂直方向へ約6000(加速度分配で水平方向へ約7500)の瞬間加速度が発生するので、若干下降中でも上昇ブースト最大速度まで、そしてやや浅い角度でも十分な上昇加速度になる。SAP付きだと実グレが七〜八千強、Eグレが六〜七千に落ちるので着けないように、ただ発射反動が著しく上限を逸脱するとループして(?)ほぼ無反動になってしまうので主要パーツの重量調整で解消できない場合はSAPを付けざるをえない。また地上接地中は上昇方向の発射反動が不思議パワーによって無効化する(爆風衝撃では浮く)ので僅かでも浮いてから発射するように、運動性能(最大速度)が低くなければホバー発射でグレネードバリアからも無傷で抜けられる、難しいようなら後退を加えよう。他に発射反動が使えそうなLN350は水平発射で水平加速度6〜7百、下方発射では上昇加速度5百前後でリロードが短かく高回復ならE収支が拮抗するので残弾のかぎり浮遊できるがホバタンで逃げ切れるとも思えないので、多少は攻撃にならないと意味が無く衝撃が効く相手にはなんとか固めを狙い空中速度が遅い相手は空から惜しみなくばらまこう。SPGUNなどもオモシロイそうだが広い平地だとどうしようもないのでむしろ最後の砦は時間制限やステージ選択などのルール設定かも、これがあればもう少しアセンの幅は広くなり勝機も見出しやすくなるかもしれない。
○タンクの空中ブレード適性
タンクは積極的にブレードを狙っていくだけの運動性能を確保することは難しいので接近戦に衝撃武器やミサイルでたたき落とすか、敵にブレード攻撃や接近を余儀なくさせるように戦術展開しておびき寄せるかという条件になるが、ホバージャンプと前方特化型の密集判定によって持っているだけでもプレッシャーとなるだけの性能を有する。
タンクの空中ブレード判定形状は完全な前方特化型で長く、四本全てが機体前方に密集しているため多重ヒットは発生しやすいが、踏み込み速度と機体実半径のために3ヒット以上は難しく1〜2ヒットが実用範囲になる。また判定が正面にしかなく横方向への運動に追いつけない場合は空振りのリスクが高くなるのでできるだけ低運動状態を狙わないと命中自体が難しい。
多重ヒットについて、原理的には単純に正面へ深く当てるだけで発生するので全カテゴリで唯一3重ヒットを狙って達成しうるといってもいい。しかしそのためにはある程度の運動性能を確保しつつブレホで踏み込める距離と旋回角度内に目標を捉える必要があり、実践的には敵のブレード戦術への反撃か連射衝撃や撃墜硬直を起点に無理やり踏み込むなどの方法が要求される。そしてチャンスを引き寄せても機体実サイズによる反発や前撃の衝撃加速でその機会を逸してしまいやすいので、うまくカウンター気味に入射するか、障害物を背後に背負わせるか、きっかり後撃フレームに実サイズ内に踏み込むか、あるいはブレホキャンセルを利用するなどのパターンがあり運動性能が低いといずれにしても難しい。また前撃判定の2本ともかなり右側に傾斜しており後撃から遠ざかる方向への衝撃加速度が大きく絶対軸の向きにも左右されやすいが、少ないチャンスにそんなポジショニングをしている余裕もない。ブレホキャンセルは機体実サイズ内に踏み込める利点はあるが、機体被弾サイズ同士がエンカウントすると反発してしまうので発動する間合いを調節する必要はあり、側面に判定を持たない性質も含めて空振りのリスクが高くなる。またタンクも四脚と同様に身長が低く、対二脚の対地斬撃では接地前に上昇可能な余裕があり浮いたまま連続で斬撃するチャンスがある。ただしブレードモーション中の着地で8fの特殊接地硬直を起こしてしまう性質もある。
まあ3重ヒット以上を狙えるポイントが判断を狂わせてしまうかもしれないが、前方密集型の判定形状は操作コストの少ないホバージャンプで正面に踏み込むのがメインとなるタンクにとってはかなり理想的なブレードマップで、ブレホによる自動制御でも2ヒットは発生しやすく間合いが遠くなっても単ヒットでフォローできるのでMOONLIGHTであれば十分なパフォーマンスといえる。そもそもそうカンタンに3〜4重ヒットされてはたまったものではない。なにしろ4ヒットとなると一撃で沈むこともザラにあり、3ヒットでも5〜7千前後のダメージになるのだ。タンクがもし高運動性能だったらオソロシイなんてものではない。しかし重量級すら一撃で薙ぎ倒す魔爪のごとき斬撃を実現できるのならばリスクが高かろうと狙えるなら狙いたいというのもうなずけるので、その実現にむけて努力してみるのもタンクユーザーとしては捨てがたい魅力かもしれない。
○機動戦力にみるタンクの評価
さてタンクの評価としては、高い耐久力を背景に常に火力によるプレッシャーをかけつつ「戦略的に回避」することでパワーバランスの天秤をこちらに傾けさせる展開を如何に演出できるかが勝利へのカギといえるだろう。したがってタンクといえど自身が機動兵器であることを忘れてはその扉に手をかけることすら適わない。そしてそのための条件としてあらゆる脚部の運動特性、あらゆる武器の火力と性質そして相性、あらゆるステージの地形とその利用方法を研究しておきたい。そして豊富な積載量とその脚部特性から多彩な武装アセンやその連携が可能な脚部でもあり、同時に苦しい展開の中から最も達成感を味わうことができるシブイオヤヂ達のためのカテゴリともいえるだろう。もちろん乙女が駆ってもかまわないが。