ロケットのエイミングと発射方向について / ロケットの発射可能な角度一覧
このレポートは経津さんより頂いたテキストを基にかんぴょ〜が作成しました。元々は当方宛の私信的なテキストであったので若干の修正や追記などを行っています。
こちらは先に公開した射撃の縦アングルによる判定についての一部として頂いたもので、話としては大きく異なるものなので別ファイルに分けたものです。検証や追加調査、html作成に手間取って完成が物凄く遅れてしまいました。調子に乗って歩行時の変動する角度まで調べて「どうまとめよう、コレ…?」と、途方に暮れてましたが、経津さんから助言とスクリプトを頂いたことでようやく完成しました。いつもありがとうございます。ヽ( ´ー`)ノ
こちらでは一部に具体例を示す以外には数値的なことはあまり書かないようにしてあります。アセンごとの角度の変化などはロケットの発射可能な角度一覧の方を参照してください。
せっかくロケットの話題が出たのでロケの取り扱いに関係ある機体挙動の仕様を紹介します。かなり余談まみれですが。ひょっとしたらベクトル固有判定のおかげでロケットにスポットライトが当たる日が…いまさらこないか…。
PSACは立体化して動かした時の制約をそのまま仕様に組み込んだようなシミュレーター的な特徴があり、ゲーム的な使いやすさよりも構造的なリアリティーを優先せているように見受けられます。例えば描画にあわせて銃身ベクトルを予測位置へメカ的にエイム処理していたり、重二+重腕で地面を斬ったり、踊りや凪はブースト移動処理と切り離された歩行(に合わせて前後上下左右に機体を揺らして移動する)動作サイクルに中途介入することで起こるので土遁や風も似たような可動構造の動的制約が原因で起こると思われます。各要素の移動や向きなどの内部処理はポリゴンモデルのモーション描画処理とは全く別々に行われているので、わざわざ描画に合わせて連動させているわけですがその対象がゲームバランスに影響するほど細かい要素に及んでいます。ベースがメカ的構造体を動かすことなわけです…ロボティクスシミュレーターかな?
そして結果的にエンターテイメント性の損なわれるあるいは底上げしたい要素に対して救済措置的な調整を加えていて、例えば空中ブレホとそのブレホ処理に合わせた判定の調整や、腕武器の射撃が姿勢に関係なく座標を基準とした弾道に矯正されるなどの措置があります。
冒頭からやや話題が逸れましたがロケットと両肩ミサイルはこの仕様の影響が大きく、救済的調整もなされていない(ひょっとしたらベクトル固有判定がそうかもしれませんが)のでアセンによる機体動作の特徴を知っておかないとそもそも使うのが困難なくらいの制約があります。
ロケットのエイミングと発射方向には以下の原則があります。
(1)ロケットの可動範囲はコアの正面を基準に±512(上下45度)
(2)基準となるコアは姿勢によって傾きが変化し、姿勢はアセンによって異なる
(3)ロケットは可動範囲内であればコアの向きに関係なくエイム(ガイド表示)方向に自動修正する
(4)ガイド表示はロケットの可動範囲に関係なく水平を基準に±768(上下67.5度)
ロケットはコアの向きを中心に上下45度の可動範囲内でプレイヤーのエイム操作に砲口を自動アジャストするという武器です(左右方向はコアの稼動範囲なら完全にカバー)。プレイヤーがロケットの砲身を直接操作しているわけではなく火器制御システム(?)が身体構造的な動作によるコア挙動や姿勢変化をカバーしながら視線(エイム)と連動するようにロケットの弾道を安定させているわけです。そしてその基準となるコアはアセンと姿勢によって上下に30度近く動き回ります。
したがってエイム(ガイド)とロケット発射弾道は完全に連動するわけではなく追跡速度にも限界があり、特に可動範囲の基準となるコアの動きに注意しなければなりません。
例えば仮にコアの傾きが前進中に20度前傾し、停止・横移動中に水平0度、後退中に後傾20度になるアセンがあるとします。この場合、停止と横移動中は上下45度の範囲で自由にエイムできますが、前進を加えるとエイムできる範囲が下65度〜上25度になり、後退すると下25度〜上65度の範囲にシフトします。したがって例えば前進中に下60度にエイムしながら停止・横移動に切り替えると可動範囲がカンストして下45度まで引きずり上げられてしまいます。つまりこのアセンでは移動方向に関わらず正確にアジャストしてくれる共通可動範囲は下25度〜上25度で、その範囲を超えると姿勢次第で発射方向が狂ってしまいエイム通りにロケットが飛ばなくなるわけです。
アジャストできていない(視点アングル≒エイムアングル)時はガイド表示色を変えてくれればもう少し使いやすかったのですが…。
以下の表は標準コア+通常腕+軽2の組み合わせでLロケを地上の静止状態で上下角度を上限から下限まで変化させて撃った時の上下発射角度です(発射実角度は弾速から逆算。内部角度は実角度から逆算。小数点2位まで表示)。ロケットの上下発射角度の限界は上下45度までで上下限界(上下67.5度)を向いて発射しても上下45度と同じ発射角度になっていることに注目。この発射可能な±45度の範囲が機体の挙動によって上下に変化します。下向きは正確な角度になるのに対して上向き(マイナス側)は若干ズレるようです。
向き | 上下角度 | コア 上下角度 |
ロケ 本体角度 |
弾Z速度 (上下) |
弾X速度 (前後) |
発射 実角度 |
内部角度 換算 |
上限界 | -768 | 0 | -512 | -408 | 407 | -45.07 | -512.79 |
上45度 | -512 | 0 | -512 | -408 | 407 | -45.07 | -512.79 |
上22.5度 | -256 | 0 | -256 | -218 | 535 | -22.16 | -252.24 |
正面 | 0 | 0 | 0 | 0 | 576 | 0 | 0 |
下22.5度 | 256 | 0 | 256 | 216 | 535 | 21.98 | 250.14 |
下45度 | 512 | 0 | 512 | 407 | 407 | 45 | 512 |
下限界 | 512 | 0 | 512 | 407 | 407 | 45 | 512 |
この機体で、今度は地上ブースト前進中に上下角度を変化させた場合は以下の表のようになります。この場合はコア角度が+341され下に約30度下がり、上向きの限界が上15度程度までに、下向きの限界が下68度程度までに変化します(大体7〜8フレーム程度で変化完了?低い値から加速していき、最大になった瞬間にピタリと停止する)。下向きの限界は本来なら下105度となるはずが上下角度の限界に引っかかってしまうためにここで止まってしまいます。あくまで変化するのは発射可能な上下限であるため、上15度〜下68度の範囲内に収まっている水平や下22.5度などは地上ブースト前進しても発射角度はそのまま変化しません。
向き | 上下角度 | コア 上下角度 |
ロケ 本体角度 |
弾Z速度 (上下) |
弾X速度 (前後) |
発射 実角度 |
内部角度 換算 |
上限界 | -768 | 341 | -171 | -147 | 558 | -14.75 | -167.92 |
上45度 | -512 | 341 | -171 | -147 | 558 | -14.75 | -167.92 |
上22.5度 | -256 | 341 | -171 | -147 | 558 | -14.75 | -167.92 |
正面 | 0 | 341 | 0 | 0 | 576 | 0 | 0 |
下22.5度 | 256 | 341 | 256 | 216 | 535 | 21.98 | 250.14 |
下45度 | 512 | 341 | 512 | 407 | 407 | 45 | 512 |
下限界 | 512 | 341 | 512 | 535 | 216 | 68.01 | 773.85 |
このコアの向きはアセンと操作の組み合わせでかなり大きく変化するので、ロケットを扱うにはテクニック以前にそれを把握しておくことが重要になるわけです。なお、この例には書いていませんが、逆関を除く2脚系の歩行はコアの角度が細かく変動するため、非常に狙いにくい状態になります。
数値ばかり眺めていてもめまいがしてくるだけなので簡単な解説を付記しておきます。
角度が変化するコア+腕+足の組み合わせはかなり多く、それが各挙動ごとに変化するため、膨大なパターンになるので全てを把握しようなんて考えなくて良いと思います。中には現実的ではない組み合わせもあるし(積載の低い脚部に重コア+重量腕で積載がほとんど無くなっているアセンなど)、自分が使うアセンではどうなるか、ロケを使うと予測される相手の機体が狙いやすい状況や狙いにくい状況はどうか、といった辺りを簡単にでも把握しておく程度で良いんじゃないかと。また、AIが使うロケットであればアセンとロジックの組み合わせ次第で強化人間キャノンに匹敵する主力武器になるのでカスタムアリーナにも応用できます。
なお両肩ミサイルもコアの向きが影響しますがこれはいっさい可動構造がないのでコアの正面に向かって発射します(両肩キャノンも該当しますが2次ロック中は無関係)。このため両肩武器は姿勢によって左右にもかなり振れます。逆にこれを利用すると右移動中に左に曲げて撃つことも可能です。
一方、肩キャノンは発射反動制御のためか砲塔に横可動域がなく水平エイムはコアと連動になっていて、稼動させると強制的にコアを水平にコントロールするので上下の可動範囲は常に一定になります。ちなみにこのメカ的制約によって地上なら脚部のみで機体制御できる四脚と空中でも脚部スラスターのみで機体制御できるタンクだけが動きながら上半身をキャノンのエイムに使える設定になっているわけです(右手武器の弾グラフィックをキャノンのものにすると左右のエイムが不能になるのはこれが原因?)。
またロケットに限ったことではありませんが、限界速度の仕様によりブースト速度が高すぎると円(サテライト)運動が四葉クローバーのフチをたどるような軌道になってしまいカメラや視界が安定しにくくなります(空中より最大速度が高い地上はさらに悪化)。このためロケットを扱う場合は多少最大速度を落とした方が操作性が良くなります。そして限界速度が高く余剰慣性の小さな四脚は高速でも二脚よりカメラが安定しやすい性質がありますが、カメラを追い越して視界が反転しやすくもなります。
○軽量二脚
<空中>
全体的に対地攻撃に特化、前進で下向きに深く、特に斜め前進で下向きにカンストしますが横移動で大きく引き戻されるので深めのエイムがやや安定しにくい性質があります。一方で後退時も大きく上を向かないのでそれほど下向きに深くなければ全方位に移動しながらでもエイムが狂いにくく、前進を除けば浅めの対空にも対応できるので慣れれば扱いやすいカテゴリだと思います。さらにコアと腕部の組み合わせで後退時のピッチアップを抑え、横移動と後退全域でコアを安定させる方法もあります。
<地上>
ロケットを扱うには不向きです。前方左右ともに極端に下向きで上には僅か15度程度までしかエイムできず、後退中でも左後ろが浅いなど安定しません。
※人脚は土遁と風のデバグを経験しているので三部作で違いがあるかもしれません。MAで歩き出しの初動を調べると人型二脚ではアセンによる変動がほとんど無くカテゴリごとに共通していますが、逆関節だけ初動がアセンで多様に変化することを考えると人脚が二種類のデバグの対象だったことと関連があるかもしれません。まあそれがコアの向きにまで影響するかはわかりませんが。
<両肩ミサイル>
対地はともかく総合的に見て扱いづらい部類になると思います。標準的なアセンでは縦は操作方向に準じて上下にピッチしますが、真横移動中はほぼ正面、斜め移動中はカウンター方向に発射します。
○中量二脚
<空中>
およそ前進方向は軽量二脚とほとんど同程度で下向きに深く、横移動すると水平より上に向くうえに斜め後ろで下向きになるなど標準ではエイムが狂わない共通範囲が狭く扱いが難しいカテゴリですが、斜めに後退しながら下を狙いやすい特徴があるようです。これはK1腕にすればカンストするまで下げられ、あるいは重腕にすると真後ろのピッチアップを抑え、標準腕+CHコアで対地寄りに安定しやすくなるなど腕部とコアの組み合わせでかなり相性が変わります。
<地上>
地上で対空用途も可能なカテゴリで、前進を除けばそれなりに上への角度を維持することができます。横移動中は上視界を確保しやすい程度の角度なら小ジャンプをはさんでも狂いにくく、斜め後退で上向きに極端に深く唯一上向き角度がカンストするまで上がります。ただしアセン次第で対空適性は消失します。
<両肩ミサイル>
横の動きが大きいのでコアの動きに慣れないと扱いが難しいですが標準アセンで空地ともに上と下に角度を大きく変えて撃ち分けることができます。ただ直前進でもコアが左に傾き真横移動でもカウンター方向に大きめに傾くなど癖が強いようです。
○重量二脚
<空中>
最も安定した共通範囲を持つ扱いやすいカテゴリです。前進&横移動でやや下向きのほぼ固定なので上向きへのエイム範囲も残しつつ対地エイムが全体的に安定し、後退で上向きに姿勢を変えて対空寄りになります。アセンによる変化は小さいですがK1+CHコアにすると真後ろを残して下向きで揃い、重腕+CHコアにすると空中全域で浅い下向きにほぼ固定されます。
<地上>
前進中は深く下向きで後退中の引き撃ち以外では対空用途は難しくなるので小ジャンプで浮いた時に狙うのがベターです。空中で対地相性のいい組み合わせにすると真後ろ移動以外では空中でも対空がやりにくくなりますが、小ジャンプ移動しながら浅めの対空や対地目標を狙う場合は全アセン中でK1+CHコア+重量二脚が最もエイム角度が安定する組み合わせかもしれません。
<両肩ミサイル>
安定するカテゴリで横方向の傾きも斜め移動できれいにカウンター方向にそろうので旋回しなくても多少コントロールできます。横移動では操作方向に横傾斜が増幅しますがほぼ左右対象に動きます。ロケットとは違い両肩武器を装備する場合は後退のピッチアップを消さない方が扱いやすく、ドラム缶腕+CHコアでは地上真後ろブースト以外で上向きに撃てなくなります。
○逆関節
<空中>
比較的安定していますが前進中より横移動中の方が下向きになる珍しいパターンです。前進のピッチダウンと後退のピッチアップとも浅めなので横移動(サテライト)はピンポイントに深い対地用と割り切ればエイムの狂わない共通範囲が広めで対地と対空ともに扱いやすいカテゴリだと思います。空中についてはアセンによる変化は武器腕を除いてありません。
<地上>
ブースト前進中は前傾していて横移動でさらに深くなるので対空は引き撃ちになりますが、全後退方向で空地ともに上向きなので対空ロケットには適したカテゴリだと思います。いくつかのアセンで後退中のピッチアップを抑えますがロケ相性的には対空しにくくなります。
余談ですが面白い事に二脚で逆関のみ歩行中のコアが常に水平になります。実は稼動中にコアを水平制御する武器カテゴリがもう一つ、武器腕です。どちらも設定上のタイプ名はCannon、そして設定資料でも初代レイヴンACも武器腕はもっぱら逆関節か車両型が装備していて、人脚を武器腕にすると動作が全体的にやや不自然になります。ひょっとしたら開発中の武器腕は少し違う特性になる予定だったのかも?。
<両肩ミサイル>
横移動の癖に注意すればそれほど極端でもなく扱いやすいカテゴリだと思います。横軸の動きも小さめで安定していますが、横移動で多少大きくなり、斜め後退ではかなり大きく横を向きます。歩行中であれば常に水平基準で発射しますが、やはり横移動中はかなり大きく横に向けて発射します。
○四脚
<空中>
前進・横移動どちらも安定して下向きに深め、後退方向は安定して上向きに深めです。エイム中に前後・横と後退を混ぜずに使い分けられれば対空対地ともに適性があります。ただK1による変化がかなり大きいので注意が必要かもしれません。押し引きのメリハリがつけられれば標準が使いやすいと思いますが、四脚は上を取られやすいので横移動をやや対空寄りにシフトするK1+標準コアという手もありそうです。またK1+CLコアにすると真後ろに対空を残して後退を対地寄りにシフト、横移動時は左で対空、右で対地というトリッキーな仕様になります。
<地上>
地上ではコアが常時水平に保たれている唯一のカテゴリで、上下45度の範囲では全方位にわたってエイムが狂いません。空中とは結構差があり水切りすると動いてしまうので2P側でないと地上から狙い撃つのは難しいかもしれません。
<両肩ミサイル>
地上では常に水平基準で、空中では上下水平に撃ち分けられます。横への向きも前後→横→斜めと段階的にかなり大きくなるのでコントロール幅が広く精密に狙うにも適していますが、逆にコアの動きを把握していないと狙い通り撃つのが難しいカテゴリで積載力やエネ管理的なリスクも大きいです。というか四脚はいろいろ調べた結果として動作仕様的にほとんどの要素のコントロールには最も適したカテゴリで、パラメーター的には最もリスクを伴うカテゴリという印象です。
○タンク
タンクのみロケ角度の変化が加速せず一定値ずつしか変化しないため(変化値はモーションごとに固有)、他の脚部よりも完全に切り替わるまでの時間が長い。ただ、全ての動作に当てはまるわけではない?
<空中>
前進中に浅く下寄り、横移動でやや深めになり、後退方向で上向きにシフト、アセンではほとんど変化しません。地上と空中の切り替えでもほぼ変化しないのでエイムが狂いにくく対地と対空を操作で使い分けやすいカテゴリです。しかしキャノンが使えるのにロケットを積むかといわれると…。ちなみに以前どこかで書いたかもしれませんがロケはコア正面に待機しているので、コアでエイムする左肩キャノンから右肩ロケットに切り替え+発射同時入力するとその予測エイム方向水平にロケットを発射します、ただのネタ技ですが。
<地上>
常に水平かと思いきやなぜか前進・横移動で前傾、後退で後傾するという、操作で無意識に身体が動いちゃうタイプのようです。後退時のピッチアップは有り難いのですが、それ以外の前傾のせいで後退以外では対空使用しにくいというのが残念です。まあ唯一空地の切り替えでほとんど変化しないのが利点でしょうか。
<両肩ミサイル>
横傾斜も含めて空地でほぼ共通なので扱いやすいですが、前進中に地上や低空で撃つとV6ミサ以外は地面に喰われる可能性が高くなります。また前後進→斜め前進→真横移動の順でコアの横向きが大きくなり、斜め後退でカウンター側に大きめにコアが向きます。これはブースト運動や旋回より早く強く効くのでタンクに両肩ミサイルを搭載する場合は重要かもしれません。